逢坂大河の憂鬱 (09/3/22) 次へ 前へ
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前回書き上がらなかったやつを何とか書き上げました。
なんとトータルで10時間以上かかってたりします(爆)。
さらにこれ以外に(書こうとしたことを)箇条書きにしたメモや
一度は書いたけど再構成で削った内容も50行以上あったりして……


「小説 とらドラ! 1〜7巻」
アニメがそろそろ佳境(次回が最終回)になろうという今日この頃。
何度も見返してたらすっかり気分が抜けなくなってしまいました(笑)。
サントラは無限リピート中だし、楽曲リストはもう作っちゃったし、
他に何か浸れるものはないのか!と原作にまで手を出してしまいました。
放送終わったら読もうかなと、読んでもいいとは思ってたんですがね。
我慢できなくなって放送済みの分だけでも読んでしまうことに。
実は既に10巻(最終巻)まで買ってあって7巻まで読み終わってたりして。
原作とアニメの内容の違いもそこまでほぼ把握しました。
(8巻と9巻もざっと内容の確認はした)

と言うわけで原作の印象も含めてそのへんにざっと触れておきます。
実は前回凄い長い時間かけて書き続けて終わらなかったものです(汗)。
収拾つかなくなってたので内容を整理して構成しなおしました。
原作とアニメの詳細な比較は気が向いたら改めてやるかもしれません。
(ハルヒもやろうとか思いつつ結局やらなかったけどな)

まず原作を読んでの感想はアニメは思ってたより原作に近い、かな。
ライトノベルの1巻は頁数にもよるけどだいたい3〜4話程度は必要で、
だけどこのアニメでは1巻分が2話で終わると言う話を耳にしてたので。
てっきりもっと原作から中身を削った感じになってるんだとばかり。
確かに削っては有るんだけど筋はかなりきちんと再現されてるので、
よく2話で収まったものだと逆に感心してしまったぐらいです。

ちなみに原作とアニメの対応はこんな感じになってます。
1巻→1〜2話、2巻→5〜6話、3巻→7〜8話、
4巻→9〜10話、5巻→11〜13話、6巻→14〜16話、
7巻→17〜19話、8巻→20〜21話、9巻→22〜23話。

上のリストを見てもらえばわかる通り1巻がほぼ2話で構成されてます。
そしてどうやらアニメで最後までやるつもりらしいのもわかります。
と言うか物語の最後までやるのが制作の大前提だったんじゃないかな。
中盤以降の展開を考えたら中途で投げないその方針は正しいと思うし、
たぶんそれが原作者の希望でもあったんじゃないかと思った。
最後までやる前提で構成してあるから1巻がほぼ2話配分なんだろうね。
この作品は途中の内容を削りようが無いので全体を圧縮したのでしょう。

原作からアニメだとあまり重要でないシーンが削られてたりもしますが
多くはセリフのやりとりを整理することで内容を詰めてるみたいです。
原作を読んでてアレ?ずいぶんセリフが多いなとか思ったぐらいだし。
このセリフをそのまま全部映像化したら相当くどそうだなと思ったり。
(ローテンポで喋りまくってウザイことになってる作品も有ったっけ)
あと小説は全て言葉で説明しなきゃいけないので冗長でも有るかも。
これは原作はセリフが多くてダメという意味ではないので念のため。
小説は言葉を連ねることで魅せる媒体なのでこれはこれでいいのです。
むしろこのセリフの多さは作品の魅力の一端だしクセになる面白さだよ。
(アニメのキャストで脳内で喋らせるととても楽しい)
でなきゃ他のことを(いっぱい)放置して一気に読んだりしないさ。

つまり原作とアニメのセリフの量の違いは媒体の特性の違いなのです。
アニメは視覚で雄弁に説明してしまえる映像の特性を最大限に利用して、
セリフや説明(語り)を贅肉を落とすみたいに整理してしまったのです。
だからセリフが大幅に減ってるわりにそれほど内容が違わないのです。
ただその削り落とした贅肉こそが小説っぽい要素とも言えるわけで。
キノやハルヒみたく小説が原作だと実感できるようにはなってません。
(ライトノベル原作で小説っぽさを感じるアニメって滅多にないが)
恐らくこの作品の本質は小説っぽさではないと割り切ったのでしょう。

アニメで小説っぽい雰囲気をあえて出さなかったのかなとも思った。
もしもセリフや語りも含めて原作の内容をかなり忠実に再現したら、
ハルヒそっくりになっちゃいそうだなと原作を読んでて思ったから。
体裁がハルヒそっくりなのはアニメでも気付いてはいたんだけど。
あ、ストーリーとかは全く似てないので念のため。

例えば大河は凄い美少女だけど中身は恐ろしく規格外であるとか。
入学当時に外見(だけ)に惹かれて告白してくる人が多かったけど、
それらを片ッ端から切って捨ててた逸話なんかもそっくり同じだし。
竜児が当人の意思とは無関係に大河のフォロー役に回るのもそっくり。
とんでもないヤツと思ってたのに次第に惹かれてくのもそっくり。
原作だと竜児の語りっぽいのがいっぱい入ってるのでさらに似てる。
そして原作の大河のセリフ回しがなんかとってもハルヒっぽい……
アニメと違って結構べらべらと捲くし立てるのも似てる所ですな。
3巻(アニメは7〜8話)の大河の自分の感情を持て余した不機嫌な姿に、
思わず「逢坂大河の憂鬱」とタイトルつけたくなったぐらいだよ(笑)。

アニメではセリフを整理したさいに口調も多少変えてあったりします。
意図したのかは定かではないけどハルヒっぽさがキレイに消えてます。
ハルヒっぽいリアクションをしてるところが変えてあったりもするし。
(ハルヒっぽくないセリフは原作そのままだったりもする)
アニメだけだと大河がハルヒに似てる?どこが?って感じになってるね。
既存の(しかも超人気な)作品に印象が似るのはあまり得策ではないし。
意図してハルヒっぽさを消したのだとしたらそれは正しいと思われます。
キャラが似てなくても構図的にやっぱりハルヒに似てるんだから。

アニメではセリフだけではなくてキャラも微妙に変えてあったりします。
口調なんか特にそうだけど原作よりもずいぶん柔らかくなってるのです。
かなりボロクソ言いまくってる最初の方ですら原作よりマシなのだよ(笑)。
底意地の悪さが見え隠れしてた部分をキレイサッパリ削ったのも含めて、
わがままな暴れん坊ではあるけど性根は悪くないみたいにしてあります。
原作のままでも大河が竜児を好きになる理由は十分に伝わってくるので、
アニメでは竜児が大河を好きになる理由づけをより補強したんだろうね。

互いの距離感は言葉で説明せずに見せて感じさせないといけないので、
セリフのやり取りはハッキリと変化を感じられるようにしてあります。
19話(7巻)の最後の自分の気持ちを自覚する前後で特に大きく変わってて、
最近(終盤)の回なんか暴言がほとんど無くなって穏やかな感じすらするよ。
確かに原作も変化はしていってるけどここまで大きくは変わらないのです。
セリフの裏にある内面の変化を言葉であれこれと説明はしてくれるけどね。
映像作品でその手法はよほど上手くやらないと陳腐になってしまうから、
もっと視覚的に皮膚感覚に訴えるように内容をいじってあるのでした。
23話(9巻)の大河が自分からバイトすると言い出す前後のシーンなんか、
アニメでは原作に比べてビックリするほど素直で可愛くなってるよ。

アニメでは互いの距離感や感情を丁寧かつ絶妙に表現しています。
そのへん原作だとどう記述してあるのだろうととても興味が有りました。
で、実際に読んでみて知ったよ。全部、懇切丁寧に書いてあることを。
そうなんです。アニメだとそれっぽく匂わせる態度や表情やセリフは、
原作では心情から行為の理由から何から何まで全部書いてあるのです。
いくら言葉で魅せる小説と言えど書きすぎなのでは?と思うぐらいに。

例えば5話(3巻)で亜美が竜児に自分は悪くないと主張するシーンの後。
アニメだと口元に笑みを浮かべて高須クンてチョロイな表情のところ。
原作は「チョロすぎじゃん」とかそのまま書いてあって唖然としたよ。
この手のってもう少し回りくどく形容だけ書くもんだと思ってたから。
※教室に戻りしな亜美は口元に悪戯っぽい笑みを浮かべた、とか
こんな感じで原作だと直接的に書いてあることが少なくありません。
アニメは言葉で説明せずに些細な表情や行動で感情を表現してるから
観察力や洞察力(経験値)が無いと状況を完全には理解しきれないけど、
原作なら読めばほとんど全てが理解できるようになってるのでした。
つまりアニメでわからない部分があったら原作を読めばいいのです。

もちろんアニメだけでもちゃんと理解できるように作ってはあります。
些細な表情の意味も先に進めば必ずハッキリとした形になってくから。
その瞬間に理解しきれなくともさほど大きな問題にはならないのです。
ふりかえった時にあのシーンはそういう意味だったとわかるハズだから。
アニメは原作ほど簡単ではないけど決して不親切でもないと思うのです。

全体の尺の都合でアニメは原作より内容を圧縮した感じになってますが、
ただ単純に詰めてあるだけではなく細部の構成を結構変えてあります。
そしてアニメにしかないシーンやセリフが追加されてたりもします。
えっ?このシーンやセリフって原作に無いんだ、と驚いたりもしました。
例えば1話(1巻)の最後の大河が自分の部屋でご飯を食べるシーンとか。
ここは大河と竜児の関係が始まった象徴的なシーンと言えるのだけど、
原作だと掃除を始めようとするところまででこのシーンが無かったり。
起きたら恐らくこんな場面が展開するだろうとは書いてはあるけど。
それを膨らませて実際の映像として見せたのは上手いなと思ったよ。

存在してるはずのシーンを実際の映像にしてあるのは他にもあります。
12話(5巻)で大河が竜児にみのりんに謝りなさいよと言ってるシーン。
正しいとか間違ってるとかは問題じゃなくて、とにかく謝ってのところ。
このセリフはその言い回しも印象的だし、意味合いもとても重いのです。
しかしこのシーンもセリフも原作には影も形も無かったのでした……
当然のように存在してると思ってたので読んでて凄くビックリしたよ。
ここなんかほんの少し内容を追加しただけなのに劇的に良くなってます。

原作からアニメでシーケンス(流れ)を入れ替えてある部分も有ります。
例えば2話(1巻)の付き合ってると誤解された後のファミレスのシーン。
ここアニメだと、竜児の家に入り浸ったのは「居心地良かったから」→
わかってくれない「みんなむかつくんじゃー!」と電柱を蹴り倒し→
「明日、北村クンに告白する」それで終わりにする、という流れです。
しかし原作だと告白する→居心地良かった→むかつくの順だったりして。
じっくり見比べた限りはここはアニメの方が流れに無駄が無いっすね。
「居心地良かったから」をストレートに言ったのもとてもいいと思う。
原作だと回りくどくそれっぽい意味の言葉を羅列してただけだから。

セリフの位置が変わって意味合いや重みが変わってる部分も有ります。
例えば10話(4巻)の「高須クンってたまに優しいんだから」のセリフ。
そこに至るやり取りから亜美の本心が透けて見える意味深なセリフ。
なんと驚いたことに原作にはここにこのセリフは存在しないのでした。
「たまに優しいくせに」ってセリフはここ外れる〜なシーンに有って、
※部屋に呼びに行ったら姿見でポーズ取っていたあのシーン
移動したというより削ったセリフの言い回しを再利用した感じですが。
セリフの持つ意味合いをくっきり際立たせるようにしてあるのでした。

もうひとつ。20話(8巻)の「わお、衝撃の告白じゃん」ってセリフ。
アニメは「そりゃよく見てるからな」な一種の告白に対する反応です。
竜児のさりげないアピールに対するみのりんの微妙な受け答えなのです。
しかし原作では昨日の挙動不審の説明(腹痛)に対する返事だったりして。
原作からアニメで対応するセリフを変えて意味を全く変えてるのです。
原作では大して意味のないセリフに重要な意味を与えてるわけです。
ここも原作のセリフ(だけ)を再利用して内容を掘り下げた感じっすね。

原作とアニメの対応表に漏れてる3話と4話のこと。
アニメの1〜2話が原作の1巻にほぼ沿って構成された内容だったから、
2巻でいきなり亜美が登場して5話の内容に飛んだのにはビックリしたよ。
3話と4話は原作の内容を少し使ってるけどほぼオリジナルなのでした。
(スピンオフも読んで存在しないのは確認しました)
つまり「北村クンの見てくれない世界なんて〜」って印象的なセリフも、
「俺だけが本当の彼女を分かってやれる、ってやつ」な鋭いセリフも、
全部アニメで追加されたセリフだったのです。なんともビックリです。
実は「俺だけが〜」でこの作品は只者じゃないと認識したんですが……

オリジナル入れるより原作分に余裕を持たせろよと思う人もいるかも。
確かに2話の余裕があれば終盤の構成が今よりも楽だったと思われます。
でも3〜4話にあえてあの内容を入れたことは評価できると思ったかな。
原作通り3話から5話に飛ぶと竜児と大河の片恋同盟的な状況が短いから。
奇妙な形で安定した二人の関係の構図を視聴者に実感させないうちに
亜美が登場して竜児と大河の関係を引っ掻き回してしまうわけだし。
亜美をさっさと登場させるとハーレムっぽい構図にも見えてしまうから。
だからこれはあくまで竜児と大河の物語だと印象づけをしたのでしょう。
好きな相手の魅力と相手への想いの深さを描いたのもとても良かったね。
考えてみたら原作にはそのへんあんまり描かれてなかったりして。

こんな感じで原作のストーリーや魅力をしっかりアニメでは再現しつつ、
より内容を掘り下げるように細部の構成を変えたり追加してあるのです。
媒体の特性の違いを生かしてより直感的に伝わるようにしてあるのです。
アニメが面白いのは面白い原作の筋を忠実になぞったからだけではなく、
魅力がより伝わるようにアニメスタッフが頑張ってるからなのです。
今までにとても面白い(好き)と思ったアニメは例外なくそうだったよ。


自己否定せよとか何とか (09/3/10) 次へ 前へ
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更新予定日をぶっちぎってるのでいきなり本題です。
実はもう1本(本命が)有ったんだけど書きあがりませんでした……


「RIDEBACK 1〜7話」
1月から一部の民放(6局)で深夜に放送してる新番組。
AT-Xでも放送してるので地上波で見れない人はそちらで。
原作はマニア誌(IKKI)のマンガで1巻だけ読んだことが有ります。
※セル・レンタルDVDのリリースは4/24から
今より少し未来。世界は今とは違う新たな秩序によって支配されていた。
しかし多くの人々の暮らしは表面的には以前とほとんど変わらなかった
今の人たちと同様の夢を持って学び、仕事をして日々を過ごしていた。
主人公の尾形琳もバレエの道で生きることが当然のように過ごしてきた。
両親の才を受け継ぎ英才教育を受け将来を嘱望される存在になっていた。
しかし舞台で靭帯を断裂して目標への道は永遠に閉ざされてしまった。
(一流を目指さなければ続けるのは可能だったけど)
突然自分の道を見失ったまま大学に入学して日々を無為に過ごす琳。
そんな彼女はある日、雨宿りで偶然立ち寄った部室で出会うのだった。
自らの手足の延長のように駆ることの出来る鉄馬、ライドバックに。
※ライドバックはRIDE ON BACKから来てるらしい

この原作者の作品ではこれ以外に「空想科学エジソン」も知ってるけど
好きな人(だけ)は好きそうななんともマニアックな作風なのでした。
絵柄もアニメでは主流なスマートな絵とはかけ離れた泥臭い絵だし。
(アニメはこれでも原作よりは多少洗練した感じになってます)
こんなのまでアニメ化するのかとか話を聞いた時にみょーな感慨が。
まぁでも似たような作品をアニメにするよりは差別化できるかも。
原作の知名度の高い低いってアニメの人気とあまり関係しないしね。
(だだしアニメが人気出たら原作の売れ行きは大幅に伸びます)

マニアックな作風とはどんなのかと言うと、、、
この作品を例に取るとまずはメカ回りの設定が凄く細かいところっすね。
アニメでもこのへんはわりと再現されてたので実感はできるかなと。
もう一つはライドバック部のある大学の日常の光景の作りこみというか。
立て看が有ったりヘルメットかぶってたり部活持ち回りでデモしてたり
生徒会と自治会が別個にあったり警察と小競り合いしてたりとか……
全編に漂う変な熱気も含めて全共闘?とか言いたくなる雰囲気(笑)。
うちらはノンポリでモラトリアムを満喫とか言ってるしな。
そんな一般受けよりも自分の描きたい物を描いたのを実感する作品で。
※IKKIは読者に一切媚びないのがコンセプトの雑誌
ああ、なんか押井さんが好きそうな作風だなとか思ったりしたよ。

で肝心のアニメのことですが。
ライドバック絡みのメカ描写は原作のテイストをかなり再現できてます。
琳がバレエの技術を生かして華麗にライドするのも見事に再現されてるし。
アニメを見ながらそうそうこんな感じだったとか思ったよ。
でも全共闘っぽい大学の日常風景はキレイサッパリ無くなってたりして。
確かに原作の雰囲気は時代錯誤的ではあるけどこれ舞台は現代じゃないし
原作のテイストをそのまま再現しても独特で良かったと思うんだけどね。
てゆーか原作を確認してて気付いたけど内容が全然違うのでした。

原作の1巻には珠代と競争するシーンは有る(ここはわりと似てる)し
しょう子のピンチを助けに飛び出すシーンも有るのです。
でもそれ以外の筋立てや周囲の状況はかなり違ってたりして。
1話でライドバックが制御不能で暴走するのも原作とは違ってるし。
まぁ、ここはアニメのほうがドラマチックでいいと思ったけど。
しょう子がピンチになるのも原作だと学生デモと機動隊の衝突だから。
原作の筋をなんとなくなぞってるだけの全く別の作品のようです

そもそも原作は全10巻有って駆け足で映像化しても30話程度有ります。
どう頑張ったって1クールのアニメでは原作の筋は再現不可能です。
だからオリジナルっぽい内容にしちゃったのかなと思ったりしたよ。
内容を大幅にアレンジしたことに関しては有りだとは思います。
見てて結構面白いからアニメとしての出来はそう悪くないと思うし。
桜吹雪の情景とかとても美しくて映像としての雰囲気は抜群だしね。
ただ原作の内容をアレもコレも詰め込んだせいか展開が忙しないです。
3話までの琳がライドバックの自在な走法の魅力にはまっていく展開と
4話以降のGGPとの戦いに巻き込まれていく展開との繋がりも悪いし。

原作だとバックボーンとして学生運度VS警察権力という構図があって、
BMAは学生運動に影で繋がってるという設定が有ったりするのです。
だからしょう子を助けることから反武力闘争の女神になっていくのも
物語展開としてそんなに不自然ではなかったりするのです。
(原作は1巻しか持ってないから実際のところは知らんが)
尺の都合で学生運動みたいなのを無かったことにしちゃったのに
原作の筋をなんとか再現しようとしたので無理が出てる気がするよ。
面白いようで今ひとつ引きが弱いのは筋を追うのだけで精一杯で
物語や空間やキャラの奥行きが欠けてるせいなんじゃないのかなと。
1クールしかないならもっと大胆に内容を整理すべきだったような。
もしくは最後までやろうと思わず雰囲気を完璧に再現すべきだったかも。
(続きはマンガで、でもいいと思うんだ)


「明日のよいち 1〜5話」
1月からTBS系(3局)で木曜日の深夜に放送してる新番組。
BS-iでも放送してるので地上波で見れない人はそちらで。
原作は少年誌(チャンピオン)のマンガで1巻だけ読んだことが有ります。
※セル・レンタルDVDのリリースは3/25から
時は現代。未だに時代錯誤とも言える侍の魂を持った少年が存在していた。
少年・烏丸与一は浮羽神風流の後継者として父と二人山で暮らしていた。
日々剣術の訓練に明け暮れて世の文明とは隔絶に近い生活を送っていた。
そんな烏丸与一は父の命で都会に出て新たな修行をすることになった。
(すでに父より強くなってしまったからが真実だったりして)
彼は祖を同じくして同じ浮羽神風流を受け継ぐ斑鳩道場へとやって来た。
しかし与一が辿り付いた道場にはうら若き4人の姉妹しかいなかった。
ずっと父と二人暮らしだった彼にとって、他者との生活、特に女子との
同じ屋根の下の生活は、山での修行に勝る刺激の連続だった。みたいな。

第一印象としてはあれこんな導入だったっけ?でした。
確かすぐに斑鳩家に到着して偶然にもセクハラしまくる展開だった記憶が。
見た後に原作を確認してみたらおぼろげな記憶通りそんな導入だったよ。
つまりアニメの1話は原作とはかなり違う内容になってるのでした。
かなり違うんだけど斑鳩姉妹と初接触する部分だけはかなり似てたりして。
ちょっとエッチなラブコメのお約束とはいえ無理有り過ぎな原作に比べて
それぞれのシーンが多少は自然な事故に見えそうな展開になってるのです。
迷子のかごめを助けてよいちの人柄を示してるのも大きな違いかも。
セクハラはあくまで偶然の産物でむしろ中身は好感できるみたいな感じで。
そもそもセクハラはちょっとエッチなラブコメの神様の悪戯だしね(笑)。
とりあえず1話の大胆なアレンジは原作と比べて結構良くなってると思った。

2話以降は1話みたいな原作と大幅に違っちゃうアレンジはしてなくて
原作の内容をキャラごとに組み直した(入れ替えた)感じになってます。
(手元には1巻しかないので1巻との比較ですが)
なので原作よりもそれぞれのキャラに思い入れ易くなってると思います。
例えば2話のあやめ。最初は(セクハラされたから)変態扱いだったのに、
途中で真っ直ぐな姿を見て見直して、最後に優しさにポッとしてしまう。
物語としてはシンプルかつ記号的だけどツボは押えてるし面白いかなと。
ところどころで(よいちの意思と関係なく)セクハラになるのも含めて、
ちょっとエッチなラブコメの基本をしっかり押えた作品になってます。

キャラを描くと言う意味で内容を組み直したのはいいと思うのです。
しかしエピソードの内容を入れ替えた時に間抜けなミスをしています。
原作とは前後関係が変わってるのに内容をそのまま使ってるので、
まだ出てない内容を既に出てきたかのように触れてしまってる……
具体例を挙げると3話でよいちが斑鳩道場について
「ここの師範代が暴力的過ぎて門下生はわずかしかおらぬが」
と言うのです。つまりこの時点でその事実を知っている。しかし
4話では「ひょっとして暴力的だから生徒が4人しかいないんじゃ」
とか明らかに前後関係が狂ってることを口走るのであった。
よーするに原作だと4話のシーンのほうが前だからそうなってるわけで。
構成を組み直す時にそのへんをきっちり直さなきゃダメだろう。

もしかして3話と4話は放送はこうなってるけど本来は逆なのか?
3話でちはやがあやめにアドバイスするシーンで明らかに気付いてるのに
4話のお風呂に入ってるシーンでは最近あやしいみたいに言ってるし。
それにあやめも4話よりも3話の方がよいちへの態度がハッキリ出てるし。
さすがにどっちも素直とは言いがたい(ツンデレ!ツンデレ!)態度ですが。
でもこの二つのシーンでは前後関係以上の不整合も起こしてたりします。
3話でちはやはあやめに道場に出るべきとアドバイスをしてるのに、
4話では最近道場にも顔出してるみたいであやしい〜とか言っているから。
これどっちを前にしても筋が通らないんですが……

今までにいろいろな作品を原作と比較してきたけど
こんな感じで構成をミスってる作品は初めて見たような気がする。
特にラブコメの肝であるキャラの距離感でのミスは致命的だろうに。
いったい誰の不手際でこんな結果になってしまったのでしょう?
キャラを崩したコメディ表現も時々みょーに間抜けだったりするし。
作り手の経験値が足りてない?とか見てて思ってしまったですよ。
まぁ、それでもなお今期の作品の中では面白い方だったりしますが。
今期は小粒だったりぱっとしない作品が多すぎだから。

最後に。あえて触れずにいようと思ったけどやっぱり書いておきます。
それはおっぱいのこと。ってまたそれですか(笑)
原作を読んだことが有る人には説明するまでもないと思うけど、
この作品はみょーにおっぱいを強調するような見せ方をします。
巨乳のいぶきがそれを強調するコスチューム(制服)を着てるもんで。
原作の1話なんかアニメと違ってほぼずっとその格好をしてたし。
なんというおっぱい漫画!とか思いながら読んでました(爆)。
(セキレイと同じで視覚的にはエロだけど中身はわりとまとも)
アニメだと1話のゆったりした服を含めて制服以外の姿も多いので
原作ほどの露骨過ぎる印象は受けないなとか思ったよ。これでも。
胸を触っちゃったりおっぱいネタを多用するのは変わってませんが。

おっぱいマイスターの人にオススメ!(そんなオチでいいのか)


「屍姫 玄 2〜6話」
1月から一部の民放(7局)で深夜に放送してる新番組。
AT-XとBS11でも放送してるので地上波で見れない人はそちらで。
原作はスクエニ系(ガンガン)のマンガで1巻だけ読んだことが有ります。
※セルDVDのリリースは5/13から(レンタルは6/26から)

屍姫の2クール目です。
タイトルが変わってるけど内容はそのまま続きみたいです。
オープニングなんて曲も映像もほぼそのまんまだしね。
(ロゴが赫から玄に変わってるだけ)
エンディングの曲も2話なんか赫と同じ曲だったよ。
それどころから話がいきなり始まってて、えっ?とか思ったりして。
後で気付いたけどどうやら開始日を間違えて2話から録画してた模様(汗)。
タイトル変わったのにあの導入ってどうよ?と思ったら……

見てた感じではそのまま続きなのは違いないようですが。
景世が死んでから半年ほど経過したところで玄が始まるらしいし。
公式サイトでは話数がそのまま続きでふられてるし(玄は14話〜)。
オープニングなんて曲も映像もほぼそのまんまだしね。
そんな感じなので見るなら赫から見た方がわかりやすいよとだけ。

作品内容の把握と言う意味では赫から見た方がわかりやすいですが、
題材的にはいまいちピントがハッキリしない赫の序盤に比べると
このへんの内容のほうが構図が見えてる分面白いなとは思ったよ。
嵩柾と異月が互いに惹かれてしまうのは切なくて結構良かったし。
どーせならあんなあっさりでは無くじっくり描いて欲しかったけど。
眞姫那が景世を想い続けながら旺里との契約に応ずるところもね。
ただの道具である屍姫との絆を紡ごうとする話がいい感じだったから。
むしろ最初からこの方向性に徹してくれた方が面白かった気がする。
まぁ、それだと誰かが書いてた屍版GUNSLINGER GIRLになるけどな。

もう言い尽くされてるCVの話。
赫の序盤のビックリするほど下手だったのに比べると……マシ。かも。
とりあえず感情を吐き出すシーンじゃなければそんなに酷くないし。
問題は眞姫那には感情を吐き出す見せ場が結構有ることですが(爆)。
旺里は赫の序盤の普通の少年だった頃はまぁ何とか似合ってたけど、
それなりの役割が与えられた玄ではかなりキツイことになってます。
主役の二人だけでも十分過ぎるぐらいなのに更に増員されてるね、、、
噂では聞いてたけどこいつ(異月)か!!!
この作品は視聴者がどこまで耐えられるか挑戦でもしてるのか?
「異月の貌」では延々と喋ってくれるから何の罰ゲーム?とか思ったよ。
せっかくのいい話なのに……

補足みたいなこと。
原作の1巻が処分箱の中に残ってたのでちょっと内容を確認してみました。
そしたら赫の序盤と内容が全く違ってたりして。
大幅にアレンジされてるとかではなく全く別のエピソードなのでした。
伊佐木なんか1巻の118ページの段階で屍姫と一緒にいきなり死んでるぞ。
原作とアニメっていったいどんな関係になってるんだろうね?
ちなみに赫の序盤が原作1巻より劣化してるみたいなのは無いっすね。
内容は全然違うけどレベル的には大差ないです。どっちもどっち。


「ドルアーガの塔 〜the Sword of URUK〜 1〜8話」
1月から一部の民放(10局)で深夜に放送してる新番組。
AT-X・アニマックス・BS日テレでも放送してるので見れない人はそちらで。
大元の原作になるのが20年以上前の「ドルアーガの塔」というゲームで、
その未来の話であるオンラインゲームと連動したプロジェクト(らしい)。
※セル・レンタルDVDのリリースは3/27から

去年やったthe Aegis of URUKの続編です。
ドルアーガを倒して塔から魔物が消えて平和になったその後の話です。
見かけ上は平和になったのだけど異変は進行していたみたいな感じ。
8話までの内容から理解したのは全ての元凶は王にかけられた呪いで、
そこからもう一人の闇のギルガメス(王)が分離してしまったらしい。
その闇のギルガメスがドルアーガも復活させたみたいな話になってる。
つまりドルアーガを倒したのは真の敵への道に過ぎなかったみたいな。
今度こそ異変の真の原因である闇の王を倒すために再び塔を登るのです。
みたいな内容。たぶん。

前の戦いの後カーヤとニーバが二人で幻の塔に消えてしまった(らしい)し、
ドルアーガとの戦いでアーメイとカリーは死んでしまった(らしい)ので、
寂しくなった前回の二つのパーティーの残った人同士が集まるのでした。
お調子者のメルトは変に立ち回ったつけで役人の手伝いを強制されるけど。
(クーパはアホなご主人様のせいでそちらに参加することに)
それ以外にも前回の親衛隊の人たちがさりげに目立っていたりして。
前作を見てた人にとって親しみ易いキャラの配置になってます。
まぁ、続編なんだから当然と言えば当然ですが。

新シリーズなので新たなキャラも当然登場します。
成り行きでジルのパーティに強制参加させられたヘナロとかね。
既に7話でヘナロの(隠されてた)正体が明らかになってましたが。
その設定だと巻き込まれたようにしか見えないのはどーなんだろう。
よくよく見れば自分の意志だった、と思える描写にはなってないから。
思い返せばよく考えられてる設定、ではなくとってつけた感満点ですよ。
まぁ、この作品はいつも行き当たりばったり感が満点ですがね……

1期との印象の違いについて。
塔の頂点にいる魔物を倒すみたいに目的が漠然としすぎてた1期に比べて
今回はハッキリした目的意識があるので先を見ようという気はします。
軍に追われてるのでぐだぐだだらだらしてられない緊迫感も有るし。
(幻の塔に入ったら追っ手はあっという間に瓦解してしまうけど)
先の戦いでジルが上達したので前回の序盤のようなチープさもない。
ずいぶんゲームファンタジーの王道っぽい作品になった感じです。
その分この作品ならではの特徴が薄くなってしまった気もしますが。
すぐに幻の塔に入って塔の中を進んでる感じも薄れてしまったし。
(幻の塔は王の心象世界らしいから)
ステージ構成の自由度が増したという言い方も出来ますが。
もう少しキャラ以外で作品の色を実感できる内容だと良かったなと。
例えば遊びの部分とシリアスな内容を違和感なく両立させるとかね。


「鋼殻のレギオス 1〜5話」
1月から一部の民放(8局)で深夜に放送してる新番組。
原作はライトノベル(ファンタジア文庫)で読んだことは有りません。
※セル・レンタルDVDのリリースは3/27から
遠い未来(だそうな)。世界は汚染物質にまみれ大地は荒廃していた。
地上には汚染獣という怪物が闊歩し人々の生存を著しく脅かしていた。
人は自ら意識を持ち移動するドーム型の都市の中でだけ生きていた。
※レギオスとはその移動都市の形態の名称(みたい)
そんな世界でもなお人々は互いの存亡をかける争いをやめなかった。
それぞれの都市には都市戦に備える部隊が組織されていたのである。

レイフォンは都市全体が学校である学園都市ツェルニへとやって来た。
比類なき力を持ちながらそれを隠し、自分だけの道を見つけるために。
しかし彼の真実を知る生徒会長が裏で仕組んだトラブルに巻き込まれ、
それを収拾した能力を買った口実で武芸科へと転属させられてしまう。
(レイフォンの意思とかはいっさい無視して)
さらに偶然トラブルを目撃したニーナ・アントークの希望によって
彼女が率いる第十七小隊に所属することになってしまうのだった。
直前に隊員が抜けて存続の危機にあった彼女の第十七小隊にとって
どの部隊にも属さないレイフォンの存在は唯一の光明だったのだ。
しかし全てが生徒会長のシナリオ通りだとニーナは知らなかった。

日常の光景は等身大だし表情豊かでいいんだけどね……
バトルの派手さとキャラとのスケールが違いすぎで素直に楽しめないよ。
派手だし良く動いてるし絵柄もスマートだから見た目はいい感じなのに。
武芸者(能力者)の大多数すらまるで歯が立たない汚染獣が存在していて。
そんな汚染獣が跋扈する地平に移動都市が存在してるにもかかわらず
なぜか汚染獣から都市を守るための守備隊らしきものが存在しないのです。
さらに汚染獣には役に立たない軍隊で都市戦なんてオママゴトをしてるし。
(汚染獣のために作った軍隊で都市戦を始めた方が筋が通るハズだが)
生存を脅かされてるわりには今ひとつ緊迫感の欠けてる舞台装置だなと。
これがスレイヤーズみたいな現実味や説得力の欠片もない世界描写なら
はなからパワースケールの整合性なんて全然気にもならないのだけど、
なまじ日常の街や生活が等身大に描かれてるので違和感が凄いのです。
天剣授受者の異常な強さもこの表現スタイルだと化け物みたいだし。
それもスレイヤーズな世界ならそんなに珍しくもなかったりするわけで。
最近の表現スタイルと作品のテイストが釣り合わないってことなのかも。

私的には4話みたいな等身大な内容で全編やってくれれば良かったなと。
フェリのツンツンメイド姿も(特に黒いほうが)良かったしね(笑)。


「スレイヤーズEVOLUTION-R 1〜4話」
1月からAT-X(のみ)で放送してる新番組。
原作はライトノベル(ファンタジア文庫)で読んだことはありません。
※セル・レンタルDVDのリリースは3/25から

タイトルが変わってるけど実質REVOLUTIONの2クール目です。
※最近よくある分割2クール放送
一応区切りのいいところで1クール目は終わったみたいですが。
しかし問題はまだ解決していなかった的な感じで続いてます。
目的らしきものは有るけど切迫感の欠けるストーリーとして。
軽くてバカっぽい1話読みきりストーリーみたいな体裁なので
いきなりここから見てもあまり問題は無さそうな気すらします。
1話ぐらい見忘れても余裕でリカバリー出来そうな中身のなさだし。
バカっぽいと言っても仕掛けもギャグもゆるゆるでグダグダだし。
最近の短期決戦で密度の濃い深夜アニメとは根本的に別物ですよ。
どうせバカをやるなら毎回4話みたいに徹底的に突っ走って欲しいよ。

ところでナーマってナーガだよね……

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