極めて現実に近い未来像 (08/10/27) 次へ 前へ
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すっかり更新日が押しまくりな今日この頃ですが
予定していたコミックお薦めはなんとか更新しました。9月分です。
10日間隔の更新日すら維持できてないので当然追加はありません。
現状では読み終わるのさえギリギリだったりするので……

ところで最近発売になったコミックスのことについて。
今まで読んだことが無い「高嶋ひろみ」という人の本があったので
未読チェックの一貫で買ってみて本を開いてみたのです、、、
そしたらよく知ってる人の絵のタッチに極似してるじゃないですか。
もしやと思って名前を並べてググったら雑誌の公式ページに情報が。
極似してるのも当然、南京ぐれ子さんご本人が改名したのだそうで。
雑誌をチェックしてないから全く知らなかったよ。
改名したんだったらコミックスにも書いておいて欲しかったなと。


今回のアニメネタは懐かしい作品です。
懐かしくて一気見してしまったので見るのも書くのもえらい時間が……

「機動警察パトレイバー アーリーデイズ 1〜2巻」
1988年頃にリリースされた30分×7話のOVA。DVDレンタル。
※レンタルDVDにはそれぞれ4話、3話と収録
現実に極めて近い世界。技術がほんの少しだけ進んでいるごく近い未来。
レイバーと呼ばれる人型の汎用重機が登場して工事などに使われていた。
そしてバビロンプロジェクトという国家プロジェクトに関連した工事が
首都圏の各所で行われた関係でレイバーの需要は急速に拡大していった。
しかしレイバーの急増はそれを用いた犯罪の急増をも意味していた。
さらに強引な開発手法への反発から環境ゲリラによるテロも頻発していた。
そんな事態に際し警視庁はレイバーを要した部隊である特科車両ニ課
パトロールレイバー(通称パトレイバー)中隊を新設しこれに対抗した。
この物語は特車ニ課の平穏と緊迫と喜劇の日々を描いたものである。

(註)バビロンプロジェクトとは
温暖化による海面上昇に対して東京湾に長大な護岸工事をしようという計画。
正確には川崎から木更津にかけて巨大な堤防を築いて東京湾を閉め切って、
内部を干拓し首都圏の土地不足も解消しようという壮大かつ無謀な計画です。
水質や海流の問題やら計画の強引さやらまんま諫早湾干拓だよ……
(東京湾アクアラインが堤防をイメージしてる場所)

と言うわけでパトレイバーの一番最初のOVAです。
※製作順は、これ→映画1→ON TV→NEW OVA→映画2
実はアーリーデイズからNEW OVAまでは全部LDを買って持ってたりして。
でも扱いが面倒なのと今では画質が、、、なのでDVDを借りてみました。
改めて買いなおすお金があれば良かったんだけどね……
ちなみにリリース当初はタイトルに何も付加されてなかったのですが
後から区別のためにアーリーデイズと呼ばれるようになりました。

この作品が製作されてから既に15〜20年程経ってるわけで、、、
仕方ないけど見るからに古くなってるところがいっぱいあります。
特に主題歌がカビが生えるほど古くなってるね……
後は今のに比べて描画の解像度が低いのと色使いが荒いってとこかな。
このへんはデジタル彩色の副産物みたいなものかもしれない。
手で塗る場合はルーペを使っても細部の再現には限界があるから。
まぁ、デジタル彩色も初期はかなり大味な色使いだったけどさ。
(デジタル彩色の色の出方がまだ分かってなかったから)

20年経った今でもまだ最先端な部分もあります。
この作品を制作した当時、とても近い将来に実現するかもしれないこと、
というコンセプトで舞台やシステムを組み立てた作品の性格から、
今になってもこの作品以上に現実に近いロボットアニメは存在しないし。
と言うか、この作品はいわゆるロボットアニメではないのでした。
この作品に出てくるレイバーって工業用の重機の進化形だから
※LABOR=働くという意味
人の形を模してより汎用的な作業ができるようになっただけの重機です。
主役メカのイングラム以外はわりと装飾性のない無骨なデザインだし。
※イングラムは警察という用途から見た印象を意識してる
恐らく技巧の差こそあれ誰でも操縦できるもので(免許はあるかも?)。
製造してるのも篠原重工みたいな普通の民間企業です。
最初に見たときはここまで徹底的に現実の延長で描いたことに感服したよ。

この作品のイメージする未来って制作時の10年後の1998年なわけです。
と言っても作中にはハッキリ年号って出てこなかった気がするけど。
主役メカの98式AVイングラムの98式がいわゆる1998年式って意味なので。
第一小隊の97式改も1997年式の警察用改良バージョンって意味ですよ。
既に旧世代機なので犯罪に使われるレイバーにパワーで負けてたり、
なんてみょーに現実的なパワーバランスを描いてるのも印象的だったよ。
※イングラムは導入当時の最新型で民間用としては最も高性能
そしてテレビシリーズの終盤には2000年式の次世代機ゼロが出てくる。

そして今、この作品でイメージした未来からさらに10年後の未来です(笑)。
いつのまにか近未来SFの世界で生きてます。レイバーは存在しないけど。
でもこの作品よりも現実の方が進んでしまった部分も多々あったりして。
一番特徴的な違いはこの作品には携帯電話が存在しないことだろうか。
携帯電話の先祖とも言える自動車無線ぐらいしか存在してないから。
当時は誰でも携帯電話を持ち歩く未来がすぐ来るとは思わなかったようで。
(もちろん未来SFの世界では携帯通信機みたいのはわりと定番ですが)
パソコンやネットの普及とネット犯罪の一般化も現実が先行ってますな。

表現について。
暗いところを真っ黒にするコントラストを誇張した表現が特に印象的っすね。
当時の流行と言うかうる星で押井さん本人が始めた手法なわけですが。
※監督が変わったテレビ版ではその表現は使わなくなってます
他にもうる星で散見した押井さんらしい表情やポーズが随所に見れます。
(当時の押井さんのコンテにはそのまんまな絵が載ってたりする)
例えば4話のお風呂で太田さんと進士さんが絡んでる絵であるとか。
2話の爆弾魔のニヤケ顔や遊馬の緊張で壊れそうな顔もいかにもです。
今ではマジメな作品の印象が強いけど意外と遊びの要素も上手いんだよ
押井さんの硬軟両方の要素を併せ持つ作品が見れる貴重な作品なわけです。

スタッフについて。
最初のOVAはやけに絵にクセが有るなと思ったら作監に黄瀬さんがいる。
元絵に似せようとしてもこの人の絵はクセがハッキリ出てしまうのだなと。
(テレビシリーズの方がクセが薄いので親しみ易いかも)
そして制作元請はディーンだけど制作協力としてIGが入ってたり。
以降の押井さんとIGとの深い関係はここから始まってたんだなと。
押井映画の音楽の代名詞の川井憲次さんともこれが最初の仕事ですな。
あと動画に西田亜沙子・菊地康仁・岩崎良明・千羽由利子とか
同姓同名じゃなきゃ大出世してる名前が有るあたり20年前なのを実感します。

後は1話ずつ簡単に。

第1話「第2小隊出動せよ!」
イングラムが特車隊に配備される日なのに道が混雑してて一向に届かない。
そんな時に湾岸で事故が発生してレイバーの届かない第2小隊に出動命令が。
なのでこちらからイングラムを受け取りに出向くことになる話。
ただのメカの到着をドラマにしてしまうところが芸が細かいっすね。
そして初登場にしていきなり首や腕がもげてしまう主役メカも凄いよ。

第2話「ロングショット」
ニューヨーク市長の来日を狙ったテロに際して特車2課の面々も出動する話。
元々は香貫花はこの件に関係して特車2課と行動を共にするのです(OVAでは)。
パトレイバー隊がヘリ到着場所の反対側の庁舎に立って警備してる理由が、
警備モニターに映った時に絵になるからとか大人の都合丸出しで呆れます。
この後も何度となく報道へのアピールとか大人の都合が随所で出てくるよ。

第3話「4億5千万年の罠」
湾岸で次々と車ごと人が失踪する事件を調べていたらなんと!な話。
最初はミステリータッチで始まるけどいつのまにか壮大なバカ話に(爆)
特車隊を沿道の人たちが旗振って見送るあたりから変だとは思ったけど。
ちなみに見れば分かりますがゴジラの(バカバカしい)パロディです。
この後も要所で何度か登場する刑事課の松井さんはこの回が初登場。

第4話「Lの悲劇」
街中でむやみに発砲する太田を含めた小隊のみんなを再教育するために
山中の研修所で合宿するんだけど、そこで奇妙な事件が続発という話。
いかにもホラータッチの話で見るからにやらせな感じがプンプン(笑)
(今までに見た作品だとこの手の展開はたいがいやらせなのです)
この話の面白いところは証拠を集めて辿り付いた結論と真実が違うとこ。

第5〜6話「二課の一番長い日(前編)(後編)」
第2小隊がオフでそれぞれが休暇を楽しんでいる頃、
仙台で一台のレイバーを載せたトレーラーが検問を強行に突破する。
さらに追っ手の警察を振り切るため搭載レイバーを起動し発砲した。
何とそのレイバーは自衛隊の軍用レイバーだったである。
てな感じで最初は静かに始まる2話続きの大掛かりなエピソードです。
テレビ版でも大掛かりな話は必ずこのフォーマットを踏襲してます。
内容はクーデターなので劇場版の次ぐらいにインパクトがあるよ。

第7話「特車隊、北へ!」
特車隊がレイバーを搭載した盗難トレーラーを追跡する話。
この回は6話までと体裁が違うのでテレビ版のプロト版みたいな感じ。
企業のレイバーが証拠隠滅のために行動するのもシャフトっぽいし。
※監督はテレビ版と同じで長さも6話までに比べて短い
そう考えると最終話的な意味合いが全くないのも当然なのかも。
どっちかと言うと6話のほうが最終回っぽいです。次回予告もないし。


「機動警察パトレイバー ON TV 1〜4巻」
1990年頃に放送された全47話のテレビシーリズ。DVDレンタル。
※レンタルDVDは各6話収録なので2巻でほぼ1クール

パトレイバーのテレビシリーズです。
アーリーデイズの後に作られた作品だけどそのまま続きではありません。
改めてイングラムがやってくる一番最初のエピソードからやってます。
どちらも設定はほぼ同じだし、多くのエピソードは読みきりなので、
最初が二つあるという以外は混ぜて見ても特に問題は無いと思いますが。
つまりアーリーデイズとテレビシリーズのどちらが先でも問題ないです。
わりと本筋っぽいシャフトの暗躍エピソードだけは前後関係があるので、
NEW OVAだけはテレビシリーズの後に見てください。
※劇場版はどれとも前後関係はありません

あと勘違いしてる人がいるので書いておきますが
パトレイバーのアニメはマンガをアニメ化した作品じゃ有りません。
そしてコミックはアニメをコミカライズしたものでもありません。
最初のOVA(アーリーデイズの6話まで)と劇場版の監督の押井守さんと
全作のシリーズ構成と脚本の多くをやってる伊藤和典さんと
コミックバージョンを展開したゆうきまさみさんに
キャラデザインの高田明美さんとメカデザインの出渕裕さんを加えた
ヘッドギアという原作集団によるコンセプトワークを元にして
アニメとコミックを平行して展開したメディアミックス作品なのです。
アニメとコミックは基本設定が同じなのに微妙に違ったりするのは
同じ原作を元にしてるけどあくまで別々の作品だからなわけです。

アニメとコミックの特徴な違いといえば
アニメでは香貫花がいるポジションにコミックだと熊耳がいるとこすね。
あとシャフト暗躍のレイバーがファントムとグリフォンとで違う。
あれアニメにも熊耳とグリフォンが出てくるじゃん?って思うかも。
実は後半の2クールにはコミックをアニメ化したエピソードも有るのです。
確かグリフォンとその搭乗者(バド)絡みのは全部そうだったはず。
このへんで全てコミックが原作という誤解が生まれたんだろうね。
香貫花は最初に半年って言ってるので途中から熊耳が出るのは既定路線で
コミックのグリフォンとアニメのファントムのエピソードを繋ぐのも
たぶんテレビシリーズが始まった時点で決まっていたんではないかなと。

見た目の話。たぶんLDを買ったすぐ後に見た以来に見たんじゃないかなと。
久しく見てなかったので脳内でずいぶん美化されてたような気がする。
なんか記憶より見た目がヘボいね(爆)。当時としてはいい方だったけど。
(スレイヤーズなんかはこれより後の時代なのに劣化してるけど)
そしてアーリーデイズから続けて見てたのでOVAとテレビ版の差が凄い。
当時はあまり意識してみてなかったけど改めて見ると密度が違いすぎる。
OVAが今みたいに動画枚数が多くて動きまくってるって意味ではなく、
画面の描きこみや脚本の密度やディティールへのこだわりが凄い。
続けてテレビ版を見るとアレレ?って気分が少なからずするよ(笑)。
描きこみはともかく同じ人の脚本の密度まで違うのが不思議ですな。
一年のテレビシリーズをOVAと同レベルで作りこむのは無理ってことかな。
今みたいに1〜2クールの短期決戦ならもっと作りこめたのかもね。
と言っても1〜2クールでは幅広くエピソードを詰め込むのは難しいけど。

キャラの話。久しぶりに見て思ったけどみんなキャラ濃い〜ね。
原作グループによって徹底的に作りこんであっただけあって、
役付きのキャラは誰もがキッチリと印象を残すようになってる。
いまどきの繊細なキャラ描写と比較すると凄くわざとらしいけど。
このへんはあえて誇張した記号キャラとして描いてるのでしょう。
かなり現実的な舞台の中で意味のあるポジションを与えてるので
わざとらしいキャラ描写なのにリアリティを感じるのが面白いです。
ちなみにシバシゲオって声を当ててる千葉繁さんがモデルだったりして。
うる星でのメガネの性格俳優っぷりを押井さんがいたく気に入ったようで
以降の作品では何度か一緒に組んでやってたのです(「赤い眼鏡」とか)。
そしてついにこの作品ではご本人が登場したわけです(笑)。
(性格がシバシゲオと同じかは知らん)

後は1話ずつ簡単に。

第1話「イングラム起動」
第2小隊に新型のイングラムが配属されることが本決まりになったその日、
なんと篠原重工の工場からイングラムがトレーラーごと盗難されてしまう。
偶然にもその盗難現場に居合わせた野明は一人で追いかけるのだった。
OVAとは全く違う内容の最初の話。すんなり納品されないのは同じですが。
OVA版だと1話の段階で第2小隊の隊長以外は新たに配属されてきたけど、
TV版では1話以前に野明以外は旧型機で活動中で野明だけが新配属でした。

第2話「香貫花が来た」
イングラムへの転換に絡む研修の仕上げに模擬戦をすることになるのだが、
そこにニューヨーク市警の香貫花が入隊するとして突如参加するのだった。
香貫花が登場するエピソードもOVAとTVでは全く別の内容だったりして。
基本設定は全く同じなので組み合わせを逆にしても成り立つのが興味深い。
ちなみに奥多摩の訓練場と教官の佐久間さんはOVAの4話にも出てきます。

第3話「こちら特車二課」
特車2課の事件のない平穏な日常の話。主に食のライフラインの話(笑)。
立地が埋立地の果てなので出前は上海亭のみで後はコンビニ1軒だけとか
ディティール細かくてかつチープな食生活の描写が実に押井さんっぽいね。
上海亭とかコンビニの描写とかビューティフルドリーマーを思い出すよ。
そして実にアホみたいな内容なのに終盤でえらく緊迫したりします。

第4話「魔の山へ行けっ!」
山中での巨大な生物!?の目撃情報をうけて第2小隊が捕獲に出動する話。
実際に巨大な生物がいたのだがその周囲に不審なレイバーも出現して……
信じがたい通報だったので警視庁のお荷物部隊にお鉢がまわってきたりとか、
本当に生物なら観光のため生け捕りを希望とか大人の都合にまみれてます。
イングラムの放送での初仕事が巨大生物の捕獲なあたりは画期的かも(笑)

第5話「暴走レイバーX10」
第2小隊に緊急出動の指令が下る。情報の何もない待機しろだけの指令が。
実は自衛隊の試作レイバーが無人で制御を離れ暴走していたのであった。
できれば自衛隊内部で秘密裏に処理したかったから情報は出さないけど、
でも失敗した場合に備えてバックアップで呼び出しとかってヤナ感じです。
情報統制と危機管理を両立させると現実でも割を食う人が出るだろうね。

第6話「ザ・タワ−SOS」
高さ1000mの巨大タワーの建設現場で火災が発生し人が取り残されてしまう。
さらに救助者のいる区画への内側の通路は消防レイバーが擱座して通れない。
なので上側からワイヤーで吊るして外側の資材搬入口から侵入することに。
本庁の広報が火災現場のそばに報道を入れるとか嫌な大人の都合が見れます。
そして太田さんの荒い手法で報道の上へ鉄骨をばら撒いて大失態に……

第7話「栄光の97式改」
旧型の97式改を擁する第1小隊に新型レイバーが試験的に配属される話。
あまりに美味しすぎる導入の条件には実は裏があったみたいな展開です。
新型機は表向きトヨハタオート製だけどその実はシャフトの開発製造で
試験導入は軍用レイバーへのデータ収集が目的という危ない話だったり。
利益のためにはルールを逸脱するシャフトの蠢動エピソードの序章です。
オチが太田さんなのはちょっと笑ったが。最終兵器太田……

第8話「まぼろしの緑」
首都環状線の工事現場で事件が起きてそれが御神木の祟りではという話。
明らかに誰かが仕組んでる展開だけど表向きはホラーっぽくしてある(笑)。
爆音を響かせるデコレイバーとか派手な舶来のレイバーとか凄く変だよ。
最後には3台のレイバーが一堂に会して第2小隊の恐ろしさを語り合うし。
ホラーかと思ったらいつのまにか喜劇なのはOVAの3話に似てるかも。

第9話「上陸 赤いレイバー」
酒田に入港する船に詰まれた密輸の軍用レイバーを過激派が強奪する
という公安による情報と依頼を受けて野明と遊馬が酒田まで旅をする話。
日本はスパイ天国だとか押井さんが好きな話とか思ったら脚本が当人です。
黒い眼鏡をかけた小太りの人は押井さんの作品にはよく出てきたりして。
※「とどのつまり」とか「赤い眼鏡」とか

第10〜11話「イヴの罠」「イヴの戦慄」
イブの夜、東京テレポートと通信が途絶し一切の連絡が不能になる。
車や電車による進入は可能だが行ったきり誰も戻ってはこなかった
この異常な事態に際して特車2課は総力をあげて出動するのだが……
シャフト蠢動エピソードその1でファントムと黒崎さんが初登場すね。
この後何度か出てくる航空自衛隊の不破さんもこれが初登場です。

第12話「太田惑いの午後」
太田さんが凄い美女と見合いをして上手く行きかけたのだが実は……な話。
落ち込んだり舞い上がったりするので周囲が気を使ってて大変だったよ。
かと思えば太田さんらしくない渋いことを言って呆然とさせたりした。
この見合い相手の声の島本須美さんは当時の清楚なヒロインの代名詞な人。
横手美智子さんってこの作品が最初だったはずなのでこれが初脚本か!?

第13話「殿下!お手柔らかに」
砂漠の国の王子様がパトレイバーの視察の名目で特車2課に入隊する話。
パトレイバーに目を輝かせてるあたりは実に男の子って感じですな。
(まるで野明にそっくりだとかみんなに言われてたけど)
メカに目を輝かせる少年で日高のり子さんの声だとジャンみたいです。
初めて目にしたカップ麺の便利さにいたく感動してたのも笑えたよ。
豪華ディナーがカップ麺に化けたのには同情してしまうけど(笑)。

第14話「あんたの勝ち!」
警視庁恒例の柔道大会で第2小隊の太田さんと遊馬が負傷してしまう。
機能不全のため臨時で野明と香貫花がコンビを組むが上手くかみ合わない。
そのため後藤隊長が2人が腹を割って話ができるように飲みに誘うという話。
隊長が立てこもり犯を説得する時の話が変だなと思ったらこれも押井さん。
そいや立てこもり犯の顔が押井さんみたいだなとか見てて思ったよ(笑)。
※お遊びでスタッフに似た人が出ることが良くある

第15話「歌を唄ったクジラ」
東京湾に鯨が迷い込んでそれを湾の外に逃がそうと警察や消防が奔走する話。
見物客が群がったり報道が追いかけたり街の人たちが好き放題に言ってたり
ザトウクジラのザトちゃんと呼んだりと現実に露骨に似せてて苦笑するね。
登場する目本テレビとかは今だと本物のアナウンサーがやったりしそうだ。
※これを製作・放送してたのは日本テレビ

第16話「小隊 海を渡る」
レイバー隊のイメージアップのため第2小隊が札幌雪祭りの設営に協力する。
と言うのは表向きで環境ゲリラの犯行予告に備えるためだったという話。
野明の高校の部活の先輩が出てきて恐ろしい事って身近に有るのねとか……
特車2課第2小隊の通った後は〜な悪名は日本中に轟いているのかいな(笑)。
野明の後ろに温かいコーヒーを置いて無言で去る遊馬が少しカッコいいぞ。

第17話「目標は後藤隊長」
後藤隊長に剃刀メールが届いて以降トラブルが続発するが裏にはある男が。
特車2課の面々は様子がおかしい隊長について色々調べようとするんだけど、
昼行灯と見せかけて実はそつがないのですっかり煙に巻かれてたりして。
カワイイ封筒を手に持ってすぐに磁石を使うあたり全く隙のない人っすね。
最後に手作りの騎士レイバーが登場するところは実に滑稽で笑えます。

第18話「スキスキ野明先輩」
アイドルの松本加奈がパレード行進の練習目的で特車隊に短期入隊をする話。
妹にしたいタレントとしてクリーミィマミの変身前みたいな少女が登場(笑)。
※キャラデザインが同じ人とは言えわざと似せてるっぽい見た目
ちやほやされ慣れてたから野明に初めて厳しくされて慕っちゃうのでした。
当時は女キャラだらけの作品が無いからこんな百合っぽいのって珍しいね。

第19話「ジオフロントの影」
東京大深度の巨大な地下都市の建設中に爆発が起こり作業員が取り残された。
その作業員が実は爆弾を設置した犯人だということで第2小隊が出動するが、
犯人の確保のために地下に潜った野明たちの前に謎の巨大生物が現われる。
最先端技術の粋を集めたSFな世界で怪物と戦うノリがエイリアンっすね。
レーダーに怪物のシルエットが映る画面からしてわざとやってるのでしょう。

第20〜21話「黒い胎動」「亡霊ふたたび」
レイバーを擁す民間の警備会社が登場し訓練のため自衛隊の演習に参加した。
その演習の最中、正体不明のレイバーが出現し自衛隊機が破壊されてしまう。
事態に際し第2小隊に出動の指令が下るのだが野明と遊馬の関係は拗れていた。
警備会社HSSはハリボテで実態はシャフトという蠢動エピソードその2です。
イブの時の香貫花といい最悪の相手と対峙する時に限って態勢が崩れてたり。

第22話「花とレイバー」
ヤクザの親分さん同士がレイバーのコレクションで張り合ってしまう話。
刀や車とかのノリでレイバーをコレクションする発想が独創的で面白いね。
数だ、いや質だ、いや活用した方が勝ちだとエスカレートしていきます。
しまいには野明を姐さんと呼んでヤクザが警察の手伝いをしたりする……
警察がヤクザに感謝状を贈るなんてあまりにもシュールな喜劇ですな。

第23話「香貫花レポート」
日本での研修を終え帰国する香貫花の送別会を内緒で行おうと
香貫花のマンションに忍び込んだ時にレポートを発見したという話。
それぞれのキャラにあわせて過去の内容を編集してあるほぼ総集編。

第24話「さらば香貫花」
香貫花がアメリカに帰国するために乗った飛行機がハイジャックされる話。
離陸前にハイジャックされたので見送りに来ていた第2小隊のメンバーと
暗号を散りばめた通信で連携して見事にハイジャック犯を撃退するのです。
見るからに香貫花の安全より犯人の安全が心配になるのがアレですな(笑)。
今だと身近に携帯電話があるから連絡手段も話の展開も全く違っちゃうね。


自分の目で確かめるということ (08/10/15) 次へ 前へ
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このところDVD-Rの8倍速のディスクの選択肢が狭まってきて
16倍速の方が価格も安く選択肢も豊富になってきてます。
録画はほぼDVD-RAMでDVD-R自体はそんな大量には使わないから
多少値段が高くてもそんなに問題がないとは言えますが。
でも真っ白いプリンタブルは印刷しないと逆に見栄えが悪いし……
ってことで最近は16倍速のカラーレーベルに手を出してます。
(最近は印刷もできるレーベルがざらざらのしかないけど)
で、重要なのはその16倍速のDVD-Rのメディアの話です。

あまり大量に使うわけではないし、余計なリスクは背負いたくないしで、
今までは品質的に鉄板の太陽誘電の8倍速を使ってたわけです。
ちなみに今市場に出回ってるDVD-Rで国産なのはほぼ中身が誘電です。
※メーカーが日本のかではなく原産国表示の方
そしてその流れで16倍速のも太陽誘電の(OEM)を選んで使ってるわけです。
おそらく品質的には一番信用できるだろうと勝手に思い込んで……
神経質にならなければ品質的には問題はないという話もあったから。

しかし、太陽誘電の16倍速(TYG03)は品質が悪いという話もあったりして。
某計測サイトだと2流メーカーのよりも質の悪い粗悪品扱いだったよ。
そのへんが気になってたので自分の目で確かめてみることにしました。
他人の言うことをそのまま真に受けるとろくなことにならないし。
データなんて見た人の思い込みでいくらでも違う解釈もできるし。
もしもホントに粗悪なら後で困ったことになってしまうわけだから。

そんな経緯で買ってみたのです計測用のDVDドライブを。
あれ、今使ってるドライブで計測できないの?って感じですが。
メディア計測は特定のメーカーのドライブでしかできないのです。
(あくまでも簡易な)メディア計測機能って標準仕様じゃないので、
今まで使ってたドライブのどれにもその機能はなかったのです。
※CDならPLEXWRITER Premiumで計測できる
今までは興味はあったけど買ってまで調べようと思わなかったのです。
でも今回の事情はかなり切実だったので勢いで買ってしまったよ。
今時はDVDドライブの値段が凄く安いからってのもありますが。

買ったのはLITEONのEZ-DUB(DX-20A4PU-09)という外付けのモデルです。
※DX-20A4PU-01とDX-20A4PU-09はほぼ同等のモノらしい
内蔵ユニット(DH-20A4P)だけならなんと3500円ぐらいで買えるけど
既にPCには2台ドライブが鎮座しててベイに空きが有りません(汗)
最初は内蔵ユニット+USBの外付けケースにしようとすら思ったよ。
でも丁度このユニットが入ったUSBの外付けタイプが存在してて、
それの方が安上がり(6000円ちょっと)なのでそれにしました。
ドライブが壊れた時にユニットだけ交換できるかは微妙ですが。
構造的には分解できるはずだけどぱっと見ネジが無いよ……
まぁ、そんなことは実際に壊れてから考えればいいことか。

買ったのを繋いで早速手持ちのDVD-Rを片っ端から測定してみました。
最初は測定結果の値が良いのか悪いのかすら分からなかったり(汗)。
あちこちのサイトと手持ちの結果を見ながら目安を作っていきました。
※ドライブごとに数値に差があるので他人との比較は無意味
あと、端から測定してて分かったけど同じ製品でもばらつきが結構ある。
ロット毎の差どころか同じパックでも2倍程度のバラツキはあるね。
(明らかな外れ品は5倍ぐらいエラーが多い)
さらに同じメディアを何度か測定すると全く違う結果になることも……
これだと神経質に比較するのはほとんど無意味のような気がした。
所詮はお手軽な簡易計測で業務で使える厳密な計測ではないなと。
明確にエラーが大量に出るようなのは問題があるぐらいの判断っすね。

で、肝心な計測結果について。
結論から言うと太陽誘電の16倍速(TYG03)に関しては問題はないようです。
PIFが8倍速(TYG02)より多めに出る以外はそんなにエラーは多くないし。
ドライブによって焼き速度が一定じゃないのも8倍速で焼けば問題はない。
ぶっちゃけTYG02とTYG03よりもメディアの個体差の方が大きいし。
良いはずのTYG02でもみょーにエラーの多いのが有るから……
店頭に残ったTYG02を集めようかと思ったけどこの結果ならいらんなと。

話はここで終わりではなく、むしろここからが本番です。
片っ端から計測していたら唖然とするようなDVD-Rを見つけました。
それはRD-XS36(DVDレコ)で直接書き込んだ誘電8倍(TYG02)のDVD-R。
直接とわざわざ書くぐらいなのでいつもは直接は書き込まないのです。
いつもはDVD-RWに書き込んでそれをPCでDVD-Rにコピーしていたのです。
※DVDビデオ形式にするときだけで大半はDVD-RAMへ高速ダビング
なんでわざわざそんな手間のかかる回りくどいことをしてたかというと、
この世代のドライブは8倍速のメディアがまともに使えないと聞いてたから。
この時はそこまで神経質に成るほど重要じゃないからいいかなと……
しかしその判断が甘かったのを計測データを見て痛感してしまった。

衝撃を実感してもらうために実際のデータを載せておきます。
※グラフをクリックするとグラフ以外の詳細なデータも表示します
RD-XS36で作成したDVD-R

ドライブは
パナソニック SW-9573相当
PCでコピーしたDVD-R

ドライブは
日立LG GSA-4167B
二つのグラフは縦のスケールが全く違うのでご注意!

上のは特別に極端な例でメディア自体も外れっぽいですが
よい個体でもPIE(PI Errors)が平均で15.0を超えるようなのばかり。
PIEの100超えの山がごく普通にできてしまう状況でした。
PIF(PI Failures)は目立つけれど致命的なほどは多くないので
運が悪くなければ再生にはそんなに支障はきたさないかもって感じ。
でも大事なものを保存するのには使いたくないデータっすね。
ちなみにRD-XS36のドライブファームはMT22というのもある模様。
運用中にファームアップして問題が出たら怖いからそのままだったよ。
それを使うと多少はマシになるらしいです。
TYG02に関しては大差ないという話も有るのでメディアの個体差かも。

あと参考までに太陽誘電の16倍速(TYG03)のデータを。
これはわりといいやつでPIEの平均値はこの3倍ぐらいまで幅があります。
PCでコピーしたDVD-R

メディアは
太陽誘電の16倍速(TYG03)
書き込み速度は8倍速
こんな感じでひたすら計測していたので更新がすっかり遅くなりました(汗)。


「魔法遣いに大切なこと 〜夏のソラ〜 1〜6話」
7月からテレビ朝日(のみ)とキッズで深夜に放送してた全12話の新番組。
同じ設定からアニメとコミック(と映画)で別のストーリーをやってます。
※セル・レンタルDVDは10/24からリリース
現実に極めて近い世界。魔法が普通に存在してることだけが違う世界。
この世界では魔法遣いたちは政府によって管理と育成がなされていた。
学校で魔法力の制御を学んで認証を受けないと魔法遣いにはなれないし、
正規の手続きを踏んで依頼を受けないと魔法を行使することもできない。
そんなファンタジーではない現実の道具として魔法が存在する世界。
主人公の鈴木ソラは魔法士を目指し北海道の美瑛から東京へやってきた。
そして東京で豪太やひよりなど同じ魔法士を目指す仲間たちに出合った。
この物語はソラを中心にした少年少女の魔法士をめざす日々を描いたもの。
なにげない日常のビビッドな断片と魔法遣いに託された心を描いたもの。
そんな日々を積み重ねソラたちはどんな魔法士に成長するのだろうか。

魔法遣い〜の6年ぶり2度目のアニメ化です。
2度目と言ってもストーリーやキャラには共通点はありません。
あくまで舞台設定が同じだけでそれぞれ別のキャラの物語です。
なので前作を全く知らなくても何の問題も有りません。
(むしろ前作を知ってると面食らうかもね)
実はコミックだけの「太陽と風の坂道」という作品も有るので
これは魔法遣い〜としては3作目だったりします。
ちなみに今回の「夏のソラ」にはアニメ・コミック・実写映画があって
それぞれ別々のストーリー展開になってるそうです(キャラは同じ)。
つまり先行するコミック版はアニメの原作では有りません。念のため。

作品の歴史や関係みたいのはここまでにして印象のこと。
まず作品を見てビックリするのが実写のような背景っすね。
あくまで限りなく実写風に描きこんだという話だったはず。
つまり実写っぽい背景にアニメ絵のキャラが乗ってるわけです。
まるで昔あった実写背景+アニメ絵のアドベンチャーみたい……
それって結構違和感が有るんじゃないだろうか?と思ってました。
でも実際に見てみると予想と違って全然違和感を感じなくて驚いた。
小林治さんの妙にデフォルメした生っぽい絵の表現がハマってるから。
※BECKの監督の人でキャラの表現スタイルがそっくり
これいかにもなアニメ絵だったら少なからず違和感があったかもね。

これを見た後に比較のために前作を見返してみたんだけど
表現スタイルがあまりに違うので同じ世界観の作品とは思えないね。
キャラデザ原案は今回も同じ人なのに小林治風味ですっかり別物だし。
音楽も同じ人なのにこれまた方向性が違うので雰囲気が全然違う。
前作の雰囲気が好きだった人はこれは違う!とか思ったりしそうだ。
実際、これは前作とは全くの違う作品なんだって思って見てたし。
でも原作・脚本が同じ人だから描いてる内容は前作にかなり近いです。
だから見続けてたらやっぱりこれは魔法遣い〜なんだって実感したよ。
魔法を使うときに依頼者の心に寄り添うのなんか前作と全く同じだもん。

かなりクセのある小林治さんの表現スタイルも嫌いじゃない。
生っぽくキャラを描いてると言う意味では比類ないレベルだしね。
キャラが生っぽいのでソラやひよりがとても可愛く見えるし。
キャラ描写が生々しいので感動的なエピソードも凄く響いてくるよ。
人気がないからイマイチなのかと思ったら、いいじゃん、凄く。
まぁ、見る人は凄く選ぶ表現スタイルなのは否定しませんが。
少なくとも前のが好きだった人はこれも見て損は無いです。
そしてこれが良かった人は是非前のやつも見てみてください。
(ストーリーの違う)コミック版もいい話なので良かったらどうぞ。

前作と今作を見比べると今作の特色みたいのが際立って見えてきます。
前作も今作も魔法が日常に存在する以外はほぼ舞台は現代そのままです。
前作はそれにプラスして少しだけSF的な味付けがしてあったっすね。
そして魔法を使うシーンでは多少ファンタジーっぽい見せ方をしてた。
しかし今回はSF的な味付けもファンタジーっぽい見せ方も全くなし。
魔法局の研修授業なんか現実にある学校の授業と寸分違わぬ体裁だし。
魔法を使うシーンなんかほとんど物理現象って感じの見た目なのです。
つまり前作は現実と非現実の側面を両立されるという方向で描いてて
今回は魔法すら現実の一要素として徹底的にリアル志向で描いてる
前作も当時としてはかなりリアル系の描写だったんだけどね……
キャラの外見や仕草とか妙なデフォルメ(小林治風味)が入ってるから
前作の方が自然な動きという意味ではそれっぽい感じですが。
でもこの妙なデフォルメが不思議なことに生っぽく見えるのであった。

見る前はなんで魔法遣い〜にこのスタッフ!?とか思ってたけど、
実際に見てみたらリアルな物語とリアルな描写で絶妙にハマってたよ。


「ネオ アンジェリーク Abyss 1〜4話」
4月からテレビ東京系(6局)とAT-Xで深夜に放送してた全13話の新番組。
原作はPS2/PSPの乙女(恋愛RPG?)ゲームでやったことはありません。
※レンタルDVDはセルDVDと同時リリース(3巻までリリース済)
ここではない世界。どこでもない世界。現実に似てるけど全く違う世界。
現代のようで近代のようで中世のような世界。自動車と馬車が同居した世界。
よーするに現実の歴史とは全く関係性のないゲームなファンタジーの世界。
このアルカディアには近年タナトスと呼ばれる魔物が出没するようになった。
タナトスの力の前に大多数の人々はなす術もなく被害を積み重ねていった。
数少ない浄化能力者の奮戦も辛うじて状況を押しとどめてるに過ぎなかった。
そんな日々の中で人々は古の伝説の顕現を心の底で願うようになる。

このアルカディアの片隅の女学校?にアンジェリークという少女がいた。
彼女は両親をタナトスによって失った経験から医者になろうと思ってた。
人々の苦しみを少しでも減らせる手伝いができるようにと考えていた。
そんな彼女には病人の手を握るとその病人の苦しさが和らぐ力があった。
その不思議な力によって彼女は奇跡の少女と噂されるようになっていた。
当のアンジェリークはただの偶然だと深く考えたりはしなかったのだが。
しかし、その噂は一人の男性とアンジェを引き合わせることになる。
その男性は陽だまり邸に住むニクスという名の知る人ぞ知る名士だった。
実は彼は浄化能力者で仲間と共にタナトス退治の活動をしていたのだ。
そしてアンジェの能力こそタナトスを滅する力を持つ女王の卵の証明で
是非一緒にタナトス退治のために活動をして欲しいと願うのだった。
話を信じられないアンジェはそんなことはできないと一度は断った。
しかし自分の真の力を知って、自分にできることをやろうと決心する。

アンジェの世界観やキャラを一新した新シリーズのアニメ版です。
見た感じは今までのアンジェと世界が繋がってないような気がする。
(今までのは時代が違うだけで世界が繋がってたはず)
でも名前を継ぐだけ有ってやっぱりアンジェっぽい感じはあります。

テレビアニメとしては「恋するアンジェリーク」についで2度目です。
※エトワール(本編3作目)が原作の変則2クール作品
それと比べると今回はすいぶん絵がマシになった気がします。
(絵柄の話ではなくて作画の繊細さとか安定度って意味で)
制作会社は同じなので制作体制が良くなったってことでしょうか?
物語の構成的にもいきなりパートナーが全員出てきた前作よりも
1人ずつ出会って仲間が増えていく今作のほうが入り易いっすね。
パートナー以外の主要キャラも順に出てくるので把握がし易いし。
このへんは原作の違いも有るのでアニメだけの問題ではないけど。
新シリーズでキャラが多すぎないのもアニメに馴染み易いところ!?

もうひとつ今回のを見てて思ったのはRPGっぽいってところ。
モンスターみたいのを倒しながら仲間が集まっていく展開だし。
いろんな場所に出かけて人と交流をしながら世界を動かしていくし。
最終的には世界を救って(?)女王になる展開みたいだし。
前作(というか元のアンジェリーク)の箱庭的な物語に比べると
わりと世界をまたにかけたスケールの大きい物語って感じがする。
このへんは原作のテイストがそんな感じで違うのでしょうか!?
そんな感じなのでRPGっぽい作品が好きな人ならわりと楽しめそう。
主人公以外は見事に男キャラしか出てきませんが(笑)。

RPGっぽい展開なのでとても気になったポイントが。
この作品はタナトスと言うモンスターを退治するために戦うのです。
このタナトスを退治できる人間は浄化能力者で稀なのだそうです。
その手の設定は珍しくもないのでアリとして。
浄化能力者が銃やら鞭やら棍棒やら物理的な武器で攻撃してるのは
稀な存在という設定からすると視覚的にかなり違和感があるね。
そもそも体を鍛えなくても強い力を行使できるのが銃とかなわけで。
(的に当てるためには訓練しないとダメですが)
浄化能力者でなければ銃を使っても意味ないのを見せてくれないと。

アンジェの浄化能力の扱いについても同様の疑問が。
アンジェの能力だけは他と違って離れてても直接相手を浄化できるのです。
それで極めて稀な女王の卵というのを実感させることができてます。
しかしそんな能力が有れば他の人が攻撃する必要って無いんだよね……
4話で1人で浄化しようとしたら相手に邪魔されてできなかったけど。
だったら他の人にその間だけ防御してもらえばいいわけだし。
(強力だけど呪文の詠唱に時間がかかるみたいな感じでしょうか)
さんざんオーブハンターが攻撃した後にアンジェが浄化する手順に
もっと視覚的な説得力をもたせる必要が有ると思ったよ。
多数の雑魚をオーブハンターが倒してボスはアンジェが倒すとかさ。
みんなの力をアンジェが増幅するとか(4話みたいに)。

ゲームを映像化するときにはただ設定を映像にするだけではなく
お約束をいかにそれっぽく見せるかの工夫が必要ってことっすね。
ストーリーがわりと見れるのでそのへんをもう少し考えて欲しかった。


「ネオ アンジェリーク Abyss -Second Age- 1〜4話」
7月からテレビ東京系(6局)とAT-Xで深夜に放送してた全13話の新番組。
原作はPS2/PSPの乙女(恋愛RPG?)ゲームでやったことはありません。
※セル・レンタルDVDのリリースは12/17から

タイトルが少し変わってるけどよーするに2クール目です。
同じ枠で続きなのにタイトルが変わるのも珍しいっすね。
どうやら1クール目は最後に大きな事件が有って終わったみたい。
それから半年ほど時間が経過した状況で物語はリスタートします。
続きには違いないけどキリのいいとこで2つに分割されてるので
最近よくある分割2クール放送みたいな感じの体裁になってます。
枠確保や制作状況次第でそうなってもいいように作ったとか?
何にせよ完全に続きなので順番に見ていくことをオススメします。

完全な続きで改めて書くことはそうないけど
ちょっと気になったことをつらつらと。
1クール目では物理攻撃をしてなかったアンジェが剣を持ったのが印象的。
剣を振るうために服もドレスみたいなのから戦士みたいな服に変わったよ。
まぁ、そもそもずっと同じ服を着てるのはどーよ?って気もするけど(爆)。
ちなみに剣を教えてくれて服もくれた人が珍しく女キャラでした。
いや、この作品は主人公以外に見事に役付きの女キャラが出てこないので。
女キャラが出てきただけで驚いたよ。とっても漢らしい女キャラでしたが。

あと、1話は主人公が一言も喋りませんでした。
それどころか主人公とその仲間たちすら最後にちらっと出てきただけ。
物語のリスタートなので視聴者の意表をついたのだと理解できます。
しかし主人公が一瞬しか出ないし喋りも動きもしない1話って凄いね。
(実質は14話だと考えれば他に探せばちらほら有りそうだけど)

このアンジェが(まるで)死んだように眠ってしまった原因については
直前の話を見てないのでわからないけど(大きなショックでとか)。
半年も眠り続けたわりには簡単に目を覚ましたので拍子抜けした。
もっとわかりやすいきっかけみたいのが有った方がよかったのでは?
半年ぶりに雲が切れて日が差したのがきっかけなんだろうか!?
どちらかと言うとアンジェが目を覚ましたから日が差した感じですが。
しかし半年も日が差さなかったら植物は枯れてしまったりしないの?
人間も半年も点滴とかなしで寝てたら餓死するような……
(寝てるというより仮死状態だったようですが)
まぁ、ファンタジーにリアルを求めるのが間違いな気もするけど。


憎しみの連鎖から解き放つ (08/10/1) 次へ 前へ
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前回の続き。
修理に出したアンプは結局マイコン基板の交換になりました。
なんかいろいろやったけど動作が安定しなかったんだそうで。
回路を再起不能にするコンデンサの液漏れ恐るべしって感じですな。
前回の故障時はコンデンサだけですんだけど今回は結局ダメでした。
ちなみに基板まるごと交換だと部品代だけで1万円以上しそうだけど
マイコン(だけ)交換という名目にして部品代はオマケしてくれたみたい。
もちろん技術費とか出張費がついてるから総額15000円ぐらいだけど。
※つまり基板やドライブを交換すると総額2〜3万以上になる

そしてもう一つの懸案ですが、、実はまだクリアになってないので、
そのへんの目処がたったら改めてということで。
すでに更新日が押しまくりで長々と書いてる時間がないとも言う。
何度もラックからユニットを出し入れしてえらい時間を消費したし、
急な気候の変化で体調がおかしくなったりといろいろ有ったので。


と言うわけで(?)予定してたコミックお薦めを更新しました。8月分です。
更新日がこんなに押してるぐらいなのでもちろん追加はありません。
てゆーかできれば更新も来週に延ばしたかったぐらいなので……


「コードギアス反逆のルルーシュ R2 23〜25話」
見事だ!こんなに見事なケリをつけてくるとは!
というのが最後まで見てまず思ったこと。

確かに予想してたのと違うショッキングな結末をになったけど
よく考えていればこの結末は十分に読めていたはずで……
つまり物語が始まった瞬間からこうなる可能性が高かったのです。

世界を大きく変革するにはそれに相応しい強大な力が必要なわけで。
そしてそれを動かす強大なカリスマも持った人物がいるわけです。
この作品ではそのカリスマがゼロでありルルーシュであった。
ルルーシュによる世界の変革は予定表どおりほぼ達成したわけです。
しかし問題は世界を変革したその後の体制だったのでした。
むしろ壊した後に新体制を作ることの方がはるかに大変なのです。
既存の強大な権力が崩壊すると平穏よりも混乱が来る可能性が高いから。
(フランス革命の後なんかがとてもいい例だと思う)

実は新たな体制を作るときに混乱をさせない方法が一つあるのです。
それは革命を指導した人物が新たな権力を掌握すること。
よーするにゼロ(ルルーシュ)が新たな君主になるしかないわけです。
作中でもルルーシュはブリタニアの新皇帝になったりしたけど。
あえて憎まれるようなことをせずにもっと穏当な手法を使ってれば
世界から支持される素晴らしい指導者として君臨できたはずです。
問題はルルーシュはそんな世界を望んでいなかったというところ。
今日という形で権力を固定することは生きていないのと同じだと。

強大な権力によって世界を一つにまとめるのではなく、
小さな力の集合体(合衆国連合)によって世界を分割して統治しながら
しかしそれらは一個人への憎しみという価値観によって結びついてる。
(外敵の存在によって内部が一つにまとまるのと似てます)
それによって未来永劫に争いが全くなくなるわけではないけど、
少なくともここ数十年はそれ以外より争いの少ない世界になるだろう。
ルルーシュが最初に望んだのはそんなささやかな幸せだったのです。

ルルーシュが世界を変えるための道程を頭に描いたとき、
最後のシーンをどこまでイメージしてたのかなと思ったよ。
皇帝を倒すのとブリタニアを壊すところまでは考えてたはず。
だけどその後のことまではイメージできてなかったような気がする。
もしかすると考えてるだけで一生行動に移さなかったかもしれないし。
あまりにも大きすぎる目標はその先の道を覆い隠してしまうから。
皇帝を倒したことで初めてその先の道筋が見えたんだろうね。

最後まで見てふと気づいたこと。
この作品っていかにもな悪役って出てこないのだった。
他人の権力に頼った小悪党みたいのはいたけど。
世界の趨勢に関わるような大きな力を持った悪役は存在しなかった。
ルルーシュから見たら絶対的な悪役のはずだった皇帝シャルルですら
全ての行為が争いのない世界を求めてのことだったのにビックリです。
(シュナイゼルは圧倒的な力によって平和をもたらそうとしたし)
戦いは正義と悪の間ではなく異なる正義の間で行われていた
勧善懲悪なんてものは絵空事な物語の中にしか存在しないのだから
より現実に近い題材を描くのならむしろこれこそ必然だったのだけど。
正義の味方という言葉を象徴的かつ嘲笑的に使ってたのは凄かったね。

シャルルもシュナイゼルもルルーシュもユーフィやナナリーも
求めていたのは同じような争いのない世界だったはずなのに……
もちろんその世界をどう実現するかはそれぞれ違っていたけれど。
シャルルは昨日を、シュナイゼルは今日を、永遠に固定しようとした。
だけどルルーシュは幸せな明日を求める人々の力を信じたわけです。
安定して変化のない世界より間違えても進んでいく未来を求めたのです。
それはルルーシュに反旗を翻したナナリーの願いでも有って。
(この時点でナナリーはルルーシュの仮面の下の真意は知らない)
同様に志半ばで倒れたユーフィの願いでもあったのでした。
ユーフィとナナリーは二人ともシュナイゼルのお膳立てで権力を握るけど
ただのお人形ではない強い意志を持っていたのが印象的だったなと。

その終盤に物語の大きな鍵になってくるナナリー。
ルルーシュがこの物語が動かした唯一の目的がナナリーの幸せだった。
望んだのは目が見えない歩くこともできないナナリーの幸せだった。
だけどただ守られているだけに見えたナナリーにも意思が有ったのです。
そんなことは当たり前のはずなのに、うっかり失念していたこと。
ナナリーのために仮面を被り嘘をつき続け多くの犠牲を出したのに
その行為をナナリーに否定されてしまったらどーなるだろう?
実際、そーしてルルーシュは何度か行動の意味を見失ってたわけで。
ルルーシュの目的の前に最後に立ち塞がったのがナナリーと言うのも
最初に望んだ世界を考えたらあまりに残酷としか言いようがない。

ルルーシュには多くの人を欺いてまでなすべき目的が有ったとはいえ
ナナリーの意思を曲げるギアスを使うのはさすがに躊躇してた。
だってそもそもナナリーの幸せのために始めたことなんだから。
ナナリーとの会話でルルーシュはナナリーの真意に気づくのです。
そしてそれならもう思い残すことはないとばかりにギアスを……
これ表面的にはナナリーの意思を曲げてるように見えるけど、
ルルーシュとナナリーが行おうとしてたことって実は同じだから。
自分でそこまでの考えと覚悟を持てるなら大丈夫だと思ったのでしょう。
ナナリーまで自分と同じ罪を背負う必要はないと思ったのでしょう。
と言ってもナナリー自身は虐殺の十字架を背負って生きるだろうけど。

にしてもルルーシュが最も願ったことは叶わなかったんだよね……
いや、ルルーシュ的にはあれは理想的な結末だったんだけど、
(ルルーシュ=ゼロを知ってる人には真意が伝わったはずだから)
ナナリーからしたらあんな結末になるぐらいなら前の方がマシだよと。
みんなの大きな歓声の中で一人だけ泣き叫んでる姿は胸に痛かった。
ナナリーがささやかだけど幸せに暮らせる世界を望んだはずなのに、
みんなが幸せになってナナリーだけが幸せではない世界になった。
どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう。
もっといい結末は無かったのだろうかと考えずにはいられない。

あとは蛇足みたいなこと。
最初にこの作品と銀英伝はいろいろ共通点が有ると書いたけど
今回の3話分でも笑っちゃうぐらい似てる場面がいくつかありました。
まずルルーシュがブリタニアの皇帝になった後にやったことが
ラインハルトが新銀河帝国の皇帝になってやったこととそっくり。
過去の皇帝の痕跡を壊すとか貴族制度を廃止するとかね。
「血統種と過去の栄光にすがる愚かしさと浅ましさ」
ってセリフなんかそのまんまラインハルトが言ってるみたいだし。
※ラインハルトも似たよう言葉を言ってたはず

ダモクレスとの最終決戦での陣形を変えつつにらみ合う場面も
銀英伝ではお馴染みのライハルトとヤンの艦隊戦の様相なわけで。
ルルーシュとラインハルトを重ねて描いてることに気づいた人は
物語の最後が似たようなカタチになることも気づいてしまったかも。
もちろん作品そのものも体制的にも全く違う結末なんだけどさ。
両方を最後まで見た人には言ってる意味がわかるはず。
離れ離れになってた最愛の親類とわかり合うのまでそっくりだ。
※ルルーシュとナナリー、ライハルトとアンネローゼ
そんなところまでそっくりにしないでもとか思ったよ……

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