日本の歴史がまた一頁 (06/1/26) 次へ 前へ
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すっかり遅れました。
それというのもテレビで楽しいことをやってるのでつい見入っちゃって(爆)。
ライブドアがヤバイ会社だというのはそれなりに知ってはいたけど
想像してた以上に凄い会社だったとは……これぞまさしく想定外!(笑)

それなりに知ってたとは「ライブドアが買収したものは死ぬ」という話。
買収によって見かけ上の売上を増やして株価を吊り上げるためだから、
買収した先の業務なんぞに興味もないし、資産を吸い上げるだけだし、
社員は叩き出されたり辞めたりして、残りカスのような状態になる。
(新社長の「弥生」の会計ソフトの品質が急降下したのがいい例)
これだけでも十分とんでもない話だったのに、次から次へと凄い話が……
よーするにライブドアって1から10までペテンによって成り立ってたのねん。

プロ野球参入とか、ニッポン放送買収とか、なんであの程度の会社が
そんなに資金を大量に持ってるのかと今までずっと不思議だったんだよ。
株価分割・情報操作等々で株価を吊り上げて、度重なる公募増資によって
株主から金を巻き上げて、その金で買収してさらに株価を吊り上げる。
買収してるから見せかけの売上は上がり急成長してるように見えるけど
買収した会社の中身はボロクソなので実際の資産価値はほとんどない。
つまり資産は(実態のない)株価だけだから、株券はほとんど紙くずだよ。
誰かがライブドアの本業は株式発行業とか言ってたけどまさにそうだね。

それはともかくとして「ぽすれん」はどーなっちゃうんだろ。
今回の絡みで新聞にグループ会社の収益が載ってたけど
「ぽすれん」は赤字だったよ。なんとなくそんな気はしてたけど。
だってあの価格設定だとどう計算しても黒字になりそうもなかったし。
(DISCASがサービス内容を落としたのは黒字化を目指したからだと思う)
今まではライブドアのデタラメな経営でなんとかなってたけど
収益性を考えたら果たして存続してくれるのか心配になってくるね。
ライブドア解体で他社に売却するにしろ、ライブドアのままにしろ、
サービスの品質を多少落としてでも存続してくれることを願います。

ブログとWikiに関しても同様の心配が。
この手のネットサービスは広告収入がないと成り立たないんだけど
信用失墜で広告収入が減るのが確実なのに存続していけるんだろうか。
使ってないから自分の心配はないけど、愛用してるサイトが……

あ、ホリエモンの行く末に関してはどーでもいいよ。


そんなわけで恒例のオススメへ。10月分です。

女性誌の今月の1冊はジョージ朝倉さんの「溺れるナイフ」に。
「回転銀河」とどちらにするか迷ったけどコメントが書けたこちらに。

この作品を読んでて印象的だったのは彼がキレイに見えるって表現。
キレイという表現は一般的には男が女に対して使うイメージがあるけど
この作品では女が男に対して使うのです。と言っても美形って意味ではなく。
自分の目にはキラキラと輝いて見える、それをキレイって表現してる。
いわゆる恋をした状態を理屈ではなく感覚的な映像として描いてる
感覚的な側面をそのまま映像にしてるせいか、とても激しく感じる。
叫んだりするわけじゃないけど、剥き出しの感情が伝わってくる。

にしてもホント上手くなったよ。センスは最初から良かったけど、
巻を重ねるたびに技巧が伴ってきてもはや凄みを感じるほどだし。

「スエちゃんはヒミツ」
この話っていわゆるファンタジーだけど特別な共感があったりする。
それは自分自身もつい最近おばあちゃんが亡くなったから。
さらにここ数年はずっと寝たきりだったと後で聞かされたから。
他愛ないファンタジーの体裁を取ってるけど作者自身の祖母への想いが
そのまま作品に滲み出てるので、似た境遇だと共感するんだと思う。
現実を描いたモノは受け手の現実によって感じ方がまるで違ってくる
コレを読みながらそんなことを実感してしまったり。

「tsunamix 2」
今まで収録されなかった短編を寄せ集めた第2弾。
今作はなんとかなり初期(「なかよし」時代)の作品まで収録されてる。
一番古い二作なんか絵柄が当時の講談社少女マンガの流行りの絵柄で
まだ「つなみ風味」みたいなスタイルが確立してないのが感慨深いっすね。
もしかすると一番古いコミックスの収録作品よりも古いかも!?
そして最後の作品は同じ「なかよし」なのに既にスタイルが確立してたり。
ちなみにコメントはVanillaに掲載された「2番目に好きな人」から。


男性誌の今月の1冊はありません。
「xxxHOLIC」か「不思議な少年」にでもしようかと思ってたけど
コメントを書きなおす時間がありません。すっかり恒例ですが(汗)。

「たまごのきみ」
カワイイという言葉から100万光年ほどかけ離れてた前作とは変わり
今作は主人公が美少年&美少女で見た目だけはとても可愛くなりました。
しかしノリは相変らずイカレてるので前作よりも際立ってしまってたり。
にしても可愛いけど変な話というと往年のぶーけの作品を思い出します。
よーするに少女マンガの変な作品みたいって意味ですが。
(Gファンタジー自体が少年誌と少女誌の中間みたいな内容)


放送してはやばいレベルの完成度 (06/1/16) 次へ 前へ
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なんかARIAの第2期やるそうで。
DVDはまだ1巻も発売になってないんだけど……
(1巻の発売は1/25でレンタルは1/28から)
続編って何の数字を根拠にして決まったんでしょう!?
世間の評判なんてそれこそ商売の根拠にするには危険すぎるし。
視聴率はそれで売れ行きが有る程度読めるなら根拠になるけど、
視聴率のとれてた「ごくせん」のアニメなんかDVD売れてないし。

そもそも深夜アニメのビジネスモデルでは視聴率が取れても意味ないから。
DVDを含めて関連グッズが売れて初めてペイするシステムだし。
だからせめてDVD1巻の(推計)実売が出てから決めた方がいいような。
まぁでも既に続編が決まるほどいい数字が何か出てるんだろうね。
例えばDVDの発注数とか。

1クールで放送中に続編が決まったのってあのマリみてがそうだけど
マリみての場合はたった3ヶ月のインターバルで続編をやったっけ。
その例に倣うなら4月から続編が!はさすがに可能性は薄いような。
でも今期の「あまえないでよっ!!」や「プレイボール」のように
直前になるまで放送予定すら出ない作品もあるので可能性は有るかも。
(この2作品も3ヶ月のインターバルだね)

ところで「あまえないでよっ!!」って続編を作るほど売れてるようには
全然見えないんだけど、これどーいう基準で続編なんでしょう?
いちおーペイする程度は売れたから作るとか?
出版社にとってアニメ放送はコミックスや雑誌の販促になるから
DVDやCDがそこそこでもペイする程度に製作費を負担してるのだろうか!?


「月詠 -MOON PHASE- DVD 6巻」
前に初回版のミニサントラ目当てで5巻を買ったと書いたけど
実は6巻と7巻の初回版にもネコミミアワーとかいうCDが……
(ミニドラマとミニミニサントラをカップリングしたCD)
もはやサントラ目当てで買うにはあまりに割に合わないけど
ここまで来たら完璧を目指すしか!と突撃してしまいました。
もちろん7巻まで(汗)。

にしても5〜7巻のサントラ部分を集めると45分ほどあるので、
出そうと思えばサントラ単品でもう1枚出せたんじゃん!
まさにDVD販促の人質(!?)にされてしまった感じだよ。
(これ以降にもCDが付属してる巻がいくつか有るし)

それはさておき、この6巻にはあの12話が収録されてます。
放送であきらかに映像がおかしかった(放送事故レベルの)12話が。
テレビで流れてた6巻のCMでは見たことない映像を使ってたので
DVDで修正されてるであろうことは容易に予想できました。
そのへんずっと気になってたので意を決して詳細に比較してみたよ。
2台で同時に再生してセレクタで切り換えて見比べるという手法で。
その結果は予想以上のものでした……

今まで見たDVDのリテイクで一番大掛かりだったのはダフネだけど
あれでもその回のキャラ絵の大部分を修正するレベルに留まってた。
しかしこの12話の修正はあまりに凄いレベルだよ。
ハッキリ言って修正と言えるレベルではないです。
なにしろカットの追加・差し替えは大量にあるし。
レイアウトからリテイクしてたり背景の追加・差し替えも目立つ。
配色やコントラスト・ライティングの変更をしてるカットも。
もちろんキャラ絵をリテイクしてるカットも大量にある。
最初のほうのひろみの服装が変更されてたりなんて違いもある。
(放送版は館と同じメイド服!?でDVDだと普段着っぽい)
放送版と同じカットが全体の1割あるかどうか……

ちなみに音声トラックは放送版とDVDで同じっぽいです。
つまり放送版で(DVDで追加された)本来有るはずのカットがなくて
他のカットの絵やとりあえずの絵で代用してると思われる部分は
あきらかに映像と音声トラックが合ってないのでした。
(異常事態に見えたのはつまりそーいうこと)
よーするにDVDが修正版というより放送版が未完成版ってことです。
それも放送してはやばいレベルの完成度の。

実は全カットの対応表を作ってたりして。
これ大変な作業だよ……完成するのはいつの日か。


「ローゼンメイデン トロイメント 1〜6話」
10月からTBS系(2局)で木曜日の深夜に放送してる新番組(あと2回)。
BS-iとキッズ(1月〜)でもやってるので地上波で見れない人はそちらで。
※BS-iは(地上デジタルも?)ワイドで他は左右カットの4:3サイズ
原作はマニア誌(バーズ)のマンガでもちろん全巻持ってます。

というわけで前作から9ヶ月ぶりのローゼンメイデンの第2期です。
1期の終盤あたりのコメントが無いのに2期を書くのもなんですが。
実は1期もちゃんと最後まで見たけど時間がなくて落ちたのです。
時間が経ちすぎてもはや見返さないとコメント書けない状況で
せめて2期の前に見返してコメントを入れておく予定だったのに……
このままだといつまでも2期が見れないので仕方なく飛ばすことに。

1期を見てた人なら説明するまでもない話ですが、
このアニメは途中で原作の内容とはずいぶん離れてしまいました。
まぁ、そもそも原作のストック量やまだ未完であることを考えれば
ある程度はオリジナル要素を付加しないと作品にならないんですが。
だからアニメで原作をアレンジしまくったのは気にはならなかったよ。
と言うか知ってる作品の知らないストーリーって結構楽しかったりする。
原作のエッセンスに添ってさえいればアレンジは大歓迎って感じかも。

とは言え1期のラストに水銀橙がアレしちゃった展開はさすがに驚いた。
ここまで原作と離れちゃうと続きを作るのが大変なんでは?と思ったよ。
だって原作がどれだけ進もうとそのままでは使いようが無いわけだし。
なんてことを考えつつ実際に見てみたら……
オリジナルのエピソードと原作のエピソードを変幻自在に組み合わせてたり。
確かにどこに挿入しても使えそうなエピソードも有ったけどそー来るとは。
見てて特に展開に不自然さはないので、どの話が原作を元にしてるか
ぱっと見は分からんぐらいに上手く組み合わせてしまったね。

2期は1期に比べて序盤の展開がわりとまったりしています。
真紅は自分の行為を悔いていて他のドールと戦いたくないと思ってたし。
新たに登場した金糸雀(かなりあ)は超ボケボケキャラで緊張感ないし。
ドールたちの日常のドタバタを中心にした平和な日々がずっと続くような
そんな錯覚を覚えはじめた頃、事態は突然に緊迫してくるのでした。
そう、復活すると言われながらずっと出て来なかった水銀橙がついに登場!
ドール達の仲良しごっこを終了しアリスゲームを再開しろと言わんばかりに。
と言うかそのために(ある人の意志で)水銀橙は復活してきたんです。
この後、仲良くなったドールたちも互いに戦ったりするのだろうか?

復活した水銀橙のマスターはなんとめぐだった。
こんなところで原作に沿った設定を持ってくるとは思わなかったよ。
原作と全然違う場所を進んでるかと思えば原作をトレースしてたりもする
まさにこのへんの構成こそが変幻自在っぷりを象徴する部分っすね。
これなら原作の本筋エピソードも上手に組み込めそうな感じ。
ジュンくんが学校へ行く準備をしてるのも例のシーンに繋げられるし。
原作と分離してるしストックも少ないし、で心配してた2期だけど
1期同様にアニメスタッフが頑張っていい感じに仕上がってるようで。

サウンドトラックについて。
1期のサントラは耳がタコになるほど聞いて完璧に覚えてます。
なわけで2期を見てても聞き覚えのあるメロディが続々登場……
と言うか水銀橙が復活するあたりまで全ての曲に聞き覚えが。
あれ?もしかして今期は前の曲をそのまま使うのかな?と思った。
でも水銀橙が復活したあたりで使われてるボーカルを使った曲。
あのいかにも梶浦さんが作りそうな、声をフィーチャーした曲。
あれは新曲すね。記憶に間違いがなければ。
(1期のサントラにはもちろん入ってない)
2期用の新曲を用意したってことは残りは後半に使うんだろうか?
ちゃんと2期のサントラが出てこの曲も収録されるといいけど。

オープニングについて。
オープニング映像は凄いカッコイイ映像っすね。
アメコミのような切り絵のような枠を強調したイラストタッチで
バラとレースが画面を彩りまくり、独特な文字のクレジットが踊る。
1期のオープニング映像も結構良かったけどそれよりはるかに凄い映像に!!
ALI PROJECTの不思議なメロディと組み合わさると強烈なインパクトがあるよ。
10月組のオープニング映像の一番は(本命の一つだった)これだなって感じ。

独特な文字のクレジットを見てると月詠(ネコミミモード)を思い出します。
これはクセをさらに強調して変形し記号みたいな文字にしてるのでした。
月詠を彷彿するという意味では配色センスも新房さんに近いかも。
映像センスも含めてどことなく新房カラーに影響受けてるみたいな。

最後に恒例の原作との対比を超簡単に。
1話。オリジナル。
2話。オリジナル。
3話。原作22話の冒頭部分を超拡大パワーアップ
4話。翠星石が契約するのは原作17話。ただし原作とはかなり違う。
5話。原作24話と4巻のextraと28話の一部を組み合わせてアレンジ。
6話。原作23話をアニメ設定に合わせて再構成。


「くじびきアンバランス 1〜3話」
「げんしけん」の中で放送されてるアニメ番組(劇中劇)です。
この手のは普通は必要な部分だけを毎回でっち上げて挿入するんですが、
この作品ではシリーズ構成をしてそのうち3話分を実際に制作したのでした。
もちろん「げんしけん」でも各所で少しずつ挿入されてます。
さらにDVD-BOXには特典として1話ずつ付属してました。
単品DVD及びレンタルDVDには入ってないのでレンタルは有りません。
※昨年末にキッズでげんしけんと一緒に放送したのを録画したもの

ある学園があってその学園は(神聖な)くじ引きによって班分けを行って、
一年かけてそれぞれの班同士がスポーツやら料理やら様々な対決をして
勝ち残った班が次の生徒会のメンバーになる。って設定があるみたい。
主人公は新入生で。一緒の班にはキノコ好きなかなり変な女がいたり。
そのキャラを勝手にライバル視してる口調の変な嬢様キャラがいたり。
ブカブカのヘルメットを被った生徒会長(女)が主人公と幼馴染だったり。
さらに主人公のまわりのキャラがほとんど女キャラばっかりだったり。
というコテコテに狙い過ぎな萌えアニメって感じの内容です。

ちなみに全3話の内訳は1話(最初)と25話(佳境)ともう一つは総集編(20話)。
総集編はそれぞれの対決の模様を振りかえるという名目で編集されてて
いかにもげんしけんで利用しやすい形の素材になってるなと思ったり。
3話分を見れば作品全体がなんとなく見通せるって意味でもある。
と言っても途中の内容は対決の部分しかないので人間関係とかはさっぱり。
特に1話のラストで匂わせた主人公と会長さんの関係は実にさっぱり。
全26話中の3話だけ見て状況が理解できるほうが凄いけど……

そんな作品としての体はなしてないコレだけど
1本目(1話)だけは単品で見ても結構楽しめました。
キノコ女のキャラが爆発してるし、仕草がみょーに色っぽいし(笑)。
特に図書室のテーブルに足を乗っけるあたりの動きがムハーって(以下略)
お嬢様キャラとの対決もバカバカしさてんこもりで笑わせてくれたし。
単品でもいけるかも!?なんて思ったよ。

しかし2本目の総集編は対決を繋いであるだけだから
部分的には面白いけど作品としてはとても評価できない。
3本目はいきなり深刻なシリアス展開に……
2クール作品の構成としてはアリだと思うけど、これ3本しかないから。
そこまでの内容を全く知らないでシリアスな話をされても途方にくれる。
キノコ女の突きぬけたキャラ設定もあんまり効果的に使われてないし。
2本目以降は完全にげんしけん用の素材でありDVD-BOXのオマケって感じ。


「Prayers 1〜2巻」
現在リリース中の30分×4本のOVA。DVDレンタル。
原作は小説(トクマノベルズ)らしいです。よく知らんけど。
なんか理由があって日本から切り離され隔絶され廃墟になった渋谷の街。
ここに残された若者たちは退廃と混沌の中でもたくましく生きていた。
そしてこの世界では今あるゲームの勝敗の行方に皆が熱狂をしていた。
それはドラッグの効果をより過激に味わうために非合法で開発された
インプラントを互いの演奏(Pray)で刺激して相手をノックアウトするゲーム。
負けた方は死に至る場合もあり、その方が観客はより熱狂したという。
※命がけの発声が祈りに似てるからPrayと言うのだそうだ
この物語は天才的だが決して相手を殺さないPrayerタスクと
演奏中にその上に落ちてきた謎の少女ショーコとの愛の物語。らしい。

まず思ったこと。とにかくツマラナイ。
毎回演奏シーン(バトルシーン)が長々と入ってるせいもあるけど
1本あたり30分とはとても思えない中身の薄さは一体ナニゴト?
二つの勢力が対立するみたいな思わせぶりの雰囲気を匂わせてるのに、
匂いだけでほとんどストーリーらしきストーリーが無いし。
あるのはタスクとショーコのラブストーリーらしき三文芝居だけ。
いきなり出てきた知り合いがいきなり死んでもただ白けるだけだし。
ここまでアレだとヒロインの喋りがどーだろうと気にもならんよ……


命がけで人を愛するということ (06/1/12) 次へ 前へ
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今回は更新日が詰まってます。
それというのもAIRのことを長々と書きすぎてしまったので(爆)。
他のと混ぜるのもなんなので特別に更新して載せておきます。
いちおー日曜日頃にも再び通常の更新はする予定。
しかし、新年からなにをそんなに根を詰めてるんだか……(汗)


「劇場版 AIR」
2005年に公開された劇場用アニメ。DVDレンタル。
去年テレビシリーズも放送されたAIRの劇場版です。
前にも書いたけどテレビシリーズと原作ゲームは当然のように同じだけど
製作・制作スタッフが全く別なので兄弟のような関係の作品だったりして。

すでに一部とはいえテレビシリーズになった作品を見ていたので、1クールの
内容を1本の映画にまとめられるのか?と言うのが一つの懸念材料だった。
けど実際に作品を見てその懸念は全くの杞憂だったことを思い知ったよ。
と言うかこの劇場版のAIRならば間違いなく傑作だと言いきれます。
見る前は出崎(統)さんとエロゲー原作の組み合わせの激しいミスマッチ感に
いったいどんなものが出てくるのかと戦々恐々だったわけで(笑)。
さすがに出崎さんだわ。今でも有象無象の敵わない凄い力量を持ってる。
しかし出崎さんって今いくつだろ……
※「エースをねらえ」「あしたのジョー」「ガンバの冒険」等の監督さん

テレビシリーズのストーリーが原作にわりと忠実だと仮定すると
劇場版は大まかな展開は原作を踏襲しつつ大胆に再構成してある。
テレビでも重要なキーになるシーンは違った形で再利用してたりするし。
多少設定を変えて過去と現在をオーバーラップするように描いてたり
見る者をぐいぐい引きつけるようなドラマチックな構成になってる。
劇場版を見た後に比較の意味もこめてテレビ版を最後まで見たけど
よりいっそう劇場版のストーリー構成の上手さを実感することに。
正直なところAIR初心者はまず劇場版から見た方がいいと思う。
テレビシリーズは初心者だと途中で投げちゃう危険性があるから。

作品の映像面に関して。
恐ろしく気合の入った描きこみのテレビシリーズがあったので
劇場版の絵でもさほどパワーアップした感じはないかも。
でも白飛びしちゃうほどの強烈な光と影の表現だったり、
意外なレイアウトや変形したパースの仕掛け映像を使ってみたり、
動く絵と止めの絵のメリハリを極端につけたり(出崎さんの十八番)と
映像センスとしてはテレビシリーズより格が上って感じだよ。
テレビ版では希薄だった世界の実体感もしっかり表現できてるし。
(テレビ版は描きこみは凄いがなんか現実味が希薄なので)
よく動くことや描きむことだけが素晴らしい映像だと思ってるなら
テレビシリーズの方が上に見えるかもしれないけどね。
つーか時間あたりの動画枚数はテレビシリーズの方が上かも(笑)。
そもそもDVDの価格を考えるとテレビ版の方が時間あたり予算は上!?

ストーリーがテレビシリーズと違って再構成されてると書いたけど
実はキャラ描写もテレビシリーズとは多少違うのでした。
テレビ版の御鈴は不思議系というにはちょっと変すぎで幼すぎたけど
劇場版では年齢相応っぽい現実的で少し不思議なキャラに修正されてるし。
テレビ版の他の(変な)ヒロイン達も丸っきり存在を抹消されてるし(爆)。
ちらっと出てくるクラスメートも劇場版はリアル系のキャラだし。
晴子さんも見た目も含めてもう少し落ち着いた感じになってる。
キャラデザインも原作の印象を残しつつ大幅にバランスを修正したので
いわゆる美少女(エロゲー)モノっぽさがほとんど無くなってます。

美少女モノの見た目やキャラ描写の不自然さは初心者には厳しいので
まず劇場版から見た方がいいと言うのはそう言う意味でもあるのです。
これを見た後ならテレビシリーズの方も見ようという気になるから。
多少見た目がアレだとしても(爆)。
つーかそもそも現状では劇場版しかレンタルが出てないし……
テレビ版はいったいいつになったらレンタルするんですか?

ここでテレビ版と劇場版でどこが違うかいくつか書こうと思ったけど
あまりネタバレするのもなんなんで自分の目で確かめてみてください。
と書いて二日経ってやっぱ気が変わったので書きました。別に。
※ブログの場合は記事の下のAIRから関連記事が全部見れます

あ、ふと書くことを思い出した。
劇場版のストーリーのテーマはテレビシリーズとは(たぶん原作とも)違い
出会って(まさに)命がけで人を好きになるみたいな感じになってる。
そして現代とシンクロする過去が平安っぽい雅な雰囲気だし。
なんだか少女マンガっぽい内容だな〜〜とか思いつつ見てました(笑)。
(テレビシリーズだとそんな印象は微塵もありません)
たぶんこれ君望と同じく恋愛モノが好きな人の方が面白いと思う。
エロゲー原作とか美少女モノとかそのへんは意識しないでも大丈夫です。

しかしまぁ、Amazonのレビューはボロクソだね(笑)。
脚本のデキはこっちの方がテレビ版の100倍いいのだけど
原作とあまりに違うから評価対象ですら無いって感じで。

※テレビ版の方にもいろいろ書いてあります。


「AIRの劇場版とテレビ版」
最初にテレビ版を4話まで見た後に放置していて
劇場版を見てから改めてテレビ版を最後まで見ました。
原作ゲームは知らないけどテレビ版が原作に忠実だと聞いてました。
だから劇場版が原作と違うのは序盤の展開からも分かってました。
劇場版の感動の余勢をかって一気ににテレビ版も見てみたんだけど
ポイントになるシーン・セリフを劇場版では違う場所で使ってたりして
なるほどコレをアレに再構成したのかとその手腕に感服したのです。

と言うわけで構成の違いを詳細に比較してみました。
以下100%ネタバレなので未見の人は読まないことをオススメします。
ARIAもこんな感じで別にしておけばよかったかも。
※原作は知らないので全てテレビ版との比較です

あとこれは劇場版・テレビ版のコメントより後に書いた内容で
すでに書いた内容を詳細に書きなおした部分もわりとあります。

出会い。
テレビ版のいきなり御鈴が声をかけてくるのは変です。
いちおー先に進むとなぜ御鈴が声をかけてきたのか理由がわかるけど。
クラスメイトとかは御鈴の病気(呪い)を知ってて相手をしてくれないから
あえて知らない人に声をかけたのはそれなりに説得力がありました。
しかしそこに至るまで変だという印象しか残らないのも事実。
さらにテレビ版では続いてサブヒロインとの変な出会いが続くので、
いかにも美少女アニメらしい作品って印象が強くなるのでした。
※美少女アニメは出会いのシチュエーションがいい加減なのが多い
実はこのへんを見てて「絵がキレイになっただけ」のKanonと思った。

劇場版では最初の出会いは偶然。だけどお互いが認識してる。
そして再び往人を見かけた御鈴は勇気を出して声をかけてくる。
御鈴が一方的に認識して往人から見えない伏線の意味をなさない
テレビ版よりも出会いのシーンとしては圧倒的に説得力があります
と言うかテレビ版の設定でもまずインパクトのある顔合わせをして、
一度別れてから御鈴が遊ぼうって声をかけた方が良かったように思う。

口癖。
いわゆる「ガオー」とか言うアレです。
テレビ版を見ててむちゃくちゃ違和感あるんだよあのキャラ描写。
この手の変な口癖はエロゲーアニメの伝統みたいな側面があるけど
キャラの実体感が損なわれて緊張感をぶち壊すって分かってない。
(テレビ版すら終盤の展開ではキャラ描写を軌道修正してるし)
D.C.のさくらは「うにゃ」って口癖を言うけど、アニメでは喋り方を
工夫して露骨に口癖に聞こえないようにしてあって感心したよ。

この口癖も劇場版では使い方をさり気なく自然な感じにしてある。
雰囲気をぶち壊すのをわかってて、原作のカラーを尊重するために、
あえて変な口癖を使うために、最大限に苦心して埋めこんである
「御鈴ちんピンチ」なんてシーンが絶妙すぎて不自然さが全くないし。
これ劇場版しか見てないと変な口調の一つだなんて気づかないよ。

呪い。
御鈴が友達と遊ぼうとすると泣き出してしまうという呪い。
これは神奈に受け継がれた呪いが転生した後にも残ってる設定です。
他人と関係を深めようとすると発動するって意味なのだろうか!?
いきなり激しく泣き出してしまうのはインパクトが強いんだけど
いまひとつ整合性が弱いというか展開からでっち上げた感が強いかな。

劇場版は呪いを受け継いだというより同じ運命という描きかたに。
過去の流れを全て説明しないと成り立たないテレビ版の設定をやめて
あえて説明をしない奇病(呪い)として描くことにしたわけです。
さらに他人と関係を深めようとすると発動するという呪いの意味を
人を好きなるほど体が蝕まれ「好き」と伝えると命を落とすみたいに
悲劇的でドラマチックで尚且つわかりやすくアレンジしてある。
このへんあまりに恋愛至上主義的で少女マンガのようだなと(笑)。

他人と関係が深まれば具合が悪くなるから他人との関わりを避けていた
それ故に不登校だったって設定に、なるほど!と感心してしまったり。
遊ばなければ呪いが発動しないテレビ版ってなんか唐突だしね。

夢。
御鈴が見るどんどん過去にさかのぼる連続した夢。
これは前世である神奈の記憶を垣間見てるって意味です。
そして夢が進むにしたがって奇病が進行し最後に死に至る。
翼人の魂は人の器には大きすぎて受けとめられないからだそうで。
夢を見始めたきっかけが往人と出会ったからなのかはわからない。
と言うかこの設定だと往人と出会う必然性もあまり無いっすね。

劇場版は夢に関しては丸っきりカット。
代わりに御鈴の街に伝わる翼人伝説を自由研究で調べる展開に。
そして調べていった神奈の話を御鈴の現在と重ねるように描いてる。
これてっきりテレビ版の夢と過去編を構成しなおしたんだと思ったよ。
とりあえず全然違う過去編でのストーリーの違いは置いとくとして
劇場版は過去と現代を重ねて描くことで関連性をより強調してるのです。
※テレビ版の奇病の進行は劇場版では呪いに統合されてる

テレビ版の構成だと夢の内容は絵がないので実感としてわかりにくい。
(夢の時間が戻っていくのもわかりにくい上に必然性が見えない)
これゲームだと文字だからもっと詳細に描写してある可能性が。
だけど映像作品であまり言葉を多用するとテンポが死んでしまう。
だからあえて絵として挿入した劇場版の構成はなかなか絶妙ですよ。
テレビ版もいっそ御鈴の夢を絵で見せても良かったような気がしたり。

過去。
御鈴の呪いと奇病の理由と往人の祖先の話。
先に劇場版を見てたのでアレ全然違うし、とか思いつつ見てました。
しかし現代のかなり深刻な状況を置いて長閑な過去編が展開するのは
ストーリーの構成としてはいったいどーよ!と思ったりするんですが。
神奈と柳也と裏葉が神奈の母に会うために一緒に旅をする展開は
かりそめの家族みたいな三人の構図を描くことに意味があった感じ。
(もちろん現代のいろんな設定を説明する側面も有ったけど)
これ見てて劇場版の最後の三人の構図はこれの対比なんだと気づいた。
テレビ版も最後にそうなるのかと思ったら往人はカラスだし……

劇場版の過去編はすでに書いてるけどテレビ版と全く違います。
時間が限られるので現代編の設定の説明という側面を捨てて
過去と現代を対比させる形でエッセンスだけを再利用してる。
つまり御鈴が神奈の生まれ変わりって設定ははっきり示さない。
単に同じような奇病(呪い)を持ってるって感じに描いてる。
(これだけでも御鈴は生まれ変わりだという解釈はできる)
往人は柳也の子孫という設定も全く存在しない。
だけど御鈴と往人の関係を神奈と柳也の関係と対比して描いてるので
往人がそこに存在する意義はテレビ版よりむしろ大きいと言える。
さらに御鈴は自分を神奈と重ねることで自分の運命を予見してる。
すでに死期を悟ってて最後の一瞬に輝こうとしたように描いてる。
だから往人との過去は無いのにテレビ版より運命的に見えるわけです。

サブヒロイン。
テレビ版ではサブヒロインの佳乃と美凪のエピソードが語られます。
この二人の話も家族の関係を描くという意味でテーマに添ってるけど
序盤に本筋から離れた内容を描くのは構成としてどーなのかなと。
本筋の物語に引きこむまでやってはいけない手法なんですが。
でも、この展開だと本筋に引きこんだ後にやりようが無いけど(爆)。

劇場版を見て気づいたけど劇場版の神奈が最後に羽を撒き散らすのが
テレビ版のサブヒロインたちの羽のエピソードに繋がってたりする。
でもテレビ版にはそのシーンが無いね。劇場版で作ったシーンなのか?
それとも原作にはあってテレビ版ではカットされたシーンなのか!?
劇場版を見た方が原作に近いテレビ版の理解が深まるのってどーよ?

劇場版ではサブヒロインの話は完全にカット。
本筋の物語を語る上で必然性がないので仕方ないです。
サブヒロインのファンの人には申し訳ないけどこの構成の方が妥当。
つーか1クールやった君望ですら中心の三人以外は完全に脇役だし。
時間に余裕があって尚且つストーリー構成で不自然でない形でしか
サブヒロインのエピソードを物語中に埋めこむのは不可能です。
今さらにD.C.(1期)の構成は凄く上手かったのだと思い知ったよ。

そういえば劇場版で御鈴がお母さんをヨロシクと祈るシーンは
佳乃のお姉さんをヨロシクを再利用したシーンだったりするね。
佳乃は構成上出すことは無理だけど可能な限りパーツを再利用して
原作のエッセンスを再現しようと苦心してるのがよくわかる。
御鈴の街にある神社が翼人伝説の舞台で神奈を奉った場所っていうのも
佳乃の羽と過去編を組み合せつつ設定を集約した感じになってるし。
つーか劇場版を見てててっきりこっちが本来の設定かと思ったよ。
ここに限らず個々の設定の融合度は再構成した劇場版の方が強いです。

家族。
テレビ版のメインテーマである家族の関係。
御鈴と晴子さんとの関係。サブヒロインたちのエピソードもそう。
序盤はまだお互いにホントの家族として対することができないでいる。
だけど終盤に至って心を決めてホントの家族になろうとする。
実は言葉とは裏腹に序盤から互いに相手を思ってるのは見えるので
仮にソラで裏側から見るシーンが無くても唐突な感じはあまりないよ。

ホントの家族になれたと思ってたのに病状が進んで記憶を失うのは
晴子への試練と最後の時が近づいてる予感という意味があります。
せっかくホントの家族になったのに再び一から始めないといけない、
さらに間の悪いことに御鈴の実の父が引き取るとか言い出すし。
このへんは序盤のだるい展開とは対照的に素晴らしい内容だったなと。
ここに至ればさすがにテレビ版AIRの素晴らしさがわかって来るね。
しかしここまで初見の視聴者を引きつけて来れるかと言うと微妙としか。
(原作ファンは中身を知ってるからついて来るだろうけど)

ところで記憶を失うシーンを見ててD.C.で音夢が記憶を失う展開って
もしかしてAIRのここから引用したのかな?とか思いました。
D.C.はいろんな作品のエッセンスを引用してると聞いたことがあるから。
どちらも原作を知らないし時期の前後も知らないのであくまで印象の話。
でも影響を受けたと思ったほうが自然なほどシチュエーションが似てる。
しかし(引用した?)D.C.の方が記憶喪失の使い方が上手いよーな(爆)。

劇場版では家族の扱いがかなり違います。
家族の繋がりをテーマとして描くには時間が足りないので
家族も含めて人を好きになるという意味に集約してしまってる。
(テレビ版は)家族を描くことと往人さんとの物語に関連性が薄いので
限られた時間で描く場合はどちらかを捨てるしか方法は無かったのです。
ここで往人さんを全カットするという大胆な選択肢も有ったけどね。
まだ劇場版の選択の方が筋を残してるだけ原作を尊重してると思うよ。

次第にホントの家族になっていくというテレビ版の意味づけは
呪いとリンクして原因不明の症状がどんどん進行する形にしてある。
だって家族になっていくということは他人を好きなることだから
テレビ版の病気が進行する要素と二人の距離が近づいていく意味を
こんな形に集約して再構成してしまったことは脱帽の一言です。
テレビ版にない思い出の写真を掘り出して燃やすシーンなんかも
二人の距離が決定的に近づいたことを実感される内容になってるし。
そしてこの学校に忍び込むあたりは御鈴の先が短いのを予感させてる。
だからこそできる限り楽しもうとする御鈴の姿は涙を誘うのです。
にしてもこのへんD.C.(アニメ)終盤の美春と頼子の話を彷彿とするね。

そんな感じで劇場版ではテーマこそ家族の繋がりではないけど
テーマが持つエッセンスはきちんと埋め込んで描かれてるのです。
テレビ版の大筋の展開とテーマのエッセンスを可能な限り尊重しつつ
限られた時間で描けるように大胆に再構成したその手腕は凄いなと。
しかも劇場版の展開の方が終盤の往人に存在意義がずっとあるし。

ソラ。
カラスです。と言うより途中で往人がカラスになるんですが。
そして御鈴と往人が出会ったあたりからの展開を違う側面で見ていく。
これ今までよく見えなかった部分を見せるという意味は確かに有る。
でもそれなら往人の魂が一時的にカラスに入るだけで十分のような。
カラスになった時間まで見て戻れば法術が見せたとも解釈できるけど
その後もカラスのままなのであまりに説得力に欠ける展開でした。

とか思ってたけど、なんでカラスのままなのか今気づいたよ……
たぶん原作ゲームが往人の一人称視点だからいなくなった後の
展開を見せるためにはカラスの中に入るしか無かったってことだね。
それをそのままテレビ版はトレースしたんだろうな。
しかしそう理解してもこの設定にまるで説得力がありません
ゴールの後に晴子さんがソラに言うセリフも正直言って蛇足だし。
呪われた輪廻の運命から解き放つ役割も往人は全く果たせてないし。
終盤の往人の使い方には疑問を覚えずにはいられない。

劇場版では御鈴と友達のカラスという設定になってる。
自分が死んだら魂を空に運んでもらうって御鈴が言うけど
これは神奈が最後に大空に飛び立つシーンと重ねている。
さらに晴子さんの言葉の意味を生かしたという側面もある。
ここは劇場版の御鈴が言うセリフの方が切実さが滲み出てるね。
(劇場版は最初の段階から自分の死期を悟ってるみたいだし)

劇場版もテレビ版と同じように往人は御鈴の前から逃げるけど
劇場版では本来の目的(祭で稼ごう)を思い出して戻るのです。
と言うか劇場版は御鈴から逃れられない運命みたいに描いてる。
バスに乗って街を出てみようとしたのに途中で終点だし、
しかもそれが最終バスで街へ戻らざるをえなくなってるし。
街に戻ったのは仕方ないことで再び会う気は無かっただろうけど
近い場所にいれば再び会ってしまうのがまさに運命って感じ。
バスの終点までソラが追っかけて来てたのも実に意味深だなと。
オマエは御鈴を見捨てて逃げるのか?と責めてるみたいで。

ゴール。
御鈴が決めた人生のゴール。
往人さんに頑張れと言われたから一人でも頑張ってきたけど
ここまで頑張ったからもう終わりにしていいよね?ということ。
このシーンはテレビ版だけ見てればとても感動的なシーンです。
しかし先に構成の素晴らしい劇場版を見てしまったので……
いやもちろん劇場版を先に見てたとしてもテレビ版は感動的だけど
終盤のポイントになる部分を一点に集約してる劇場版と比較すると
ポイントがいくつか分かれてるテレビ版は感動も分散してしまってる。

劇場版で「ゴール」「海に行きたい」「髪を切る」が集約されてるのは
テレビ版と比較して改めてその再構成の凄さを感嘆した部分です。
テレビ版だと髪を切るのはあくまで日常の一シーンに過ぎないのに
劇場版では最後の晴れ舞台を前に禊をするような意味付けにしてある。
海に行きたいは過去編に重ねることで、果たせなかった小さな願いを
時を越えて改めて果たす、それが最後の望みという感じにしてある。
(このへんを見てるとやっぱ生まれ変わりみたく描いてるようだ)
自分を神奈と重ね往人と柳也を重ね、これで願いが叶ったから
だからもうゴールしてもいいよね?に繋いだ展開はお見事でした。
テレビ版の呪いの輪廻って意味でも劇場版の方が多少は救いがあるし。
てっきりテレビ版もこうだと思ってたから実際に見てアレ?と思ったよ。

以上詳細に比較してきて思ったこと。
劇場版はテレビ版のエッセンスを短い時間に凝縮するために
あまり重要でないエピソードを端折るという手法を取らずに
設定そのものを大幅に差し替えて再構成してしまってる。
説明不足にするぐらいならと最初から無かったことにしてる
再構成する過程でテレビ版の持つ設定の不自然さや詰めの甘さを
ついでに修正してしまったので物語としての完成度も高くなってたり。

テレビ版(原作)と全然違うという意見はもちろん理解できる。
でもテレビ版と違うからダメって意見には全く賛同できないね。
そもそもテレビ版のストーリーを90分で描けるわけがないのに。
もしも無理矢理テレビ版のストーリーをトレースする映画を作ってたら
あちこち端折られ説明不足な感動と程遠い作品になった可能性が高い。
テイルズオブファンタジアのOVAといういい例があるので見てご覧よ。
もしくはテレビ版を自分で90分に編集してみればいい。できるものなら。

削ることで説明不足にしないために大胆に再構成するという手法。
でもテレビ版で重要なパーツは見事なぐらいに劇場版でも使っている。
テレビ版と比較してて思ったけど、むしろ原作をよく知る人の方が
この劇場版のストーリー構成の凄さは実感できると思うんだけどね。
だってこんなに内容が違うのにちゃんとAIRになってるんだから。
全く感動は薄れてないし、むしろはるかにパワーアップしてるし。
原作を蔑ろにしてるとか理解してないとか馬鹿言ってんじゃないよ、
趣旨をよく理解してたった90分の中に凝縮して描いてるじゃないか!


「AIR 1〜12話」
ほぼ1年ぶりの続きです。
つーか前に見た分は記憶が不鮮明だったので改めて全部(一気に)見ました。
正直なところ劇場版を見なければ続きは見なかった可能性が
たまった視聴中途の作品の中では優先順位はそんなに高くなかったし。
だってキャラがみんな変で魅力的に見えないし……
レンタルが出てたら残りは消して気が向いたらレンタルになってたかも。
レンタルが未だ出てなくて消さずに残ってたから劇場版の余勢をかって
一気に全部を見てしまったのでした。劇場版との比較の意味もかねて。
※何度も書くけどテレビ版はまだレンタルが出てません

しかし、こーして改めて見てみてもやっぱ序盤は焦点がボケてるね。
これが原作にわりと忠実なんだとしても初心者には厳しいのでは?
それに3〜6話にサブヒロインの佳乃と美凪のエピソードを入れてるのも
本筋のストーリーが見えないという状況に拍車をかけてるのでした。
まぁ1クールでサイドエピソードを入れるとしたら序盤しか無いけどね。
佳乃と美凪のそれぞれのエピソードもそれなりに感動的ではあるけど、
なにしろこの二人も多分に漏れずキャラが変なもんで……(爆)
正直この構成だと終盤まで付き合わずに投げちゃう人かなりいると思う。
原作に結構忠実らしいからファンのための作品なのかなとか思ったよ。

中盤になっていきなり事態は緊迫してくるのです。
丁寧に伏線を張ってあった劇場版に比べて唐突な感が否めなかったり。
つーかなんで時間に余裕のあるテレビ版の方が展開が不自然なんだか。
そして物語のもう一つの舞台の過去へと話は移ろう。
しかしこの過去編がまたクライマックスまでは緊張感が薄くて……
確かに要所要所で感動的に盛りあがるんだけど持続しないのだった。

そしてこのへんでこの作品のテーマに気づきました。
これって悲劇的な物語だし羽を重要なキーとして描いてるけど
よーするに家族の繋がりの物語みたいっすね。
逃避行をしてた神奈と柳也と裏葉はかりそめの家族って感じだし。
サブヒロインの話も確かに家族の繋がりがテーマになってるし。
本筋は御鈴と晴子さんがホントの家族を始めようとする話だし。
往人はソラになったあたりで存在意義はボケちゃうけど……
これ劇場版の往人の方がラストの方の使いかたが上手いよ。

上手いといえば過去の使い方も劇場版の方が圧倒的だね。
つーか劇場版を見てててっきりテレビ版の過去編の展開を圧縮して
現代編とシンクロさせるように構成しなおしたんだと思ってた。
しかし過去編はテレビ版と劇場版で全然話が違ったり……
テレビ版を見ながらこれをあれに再構成したのかと凄く感心したよ。
まるで劇場版の方が元来のストーリーだったような気がするほどだし。
いちおー劇場版を見た後にテレビ版を見ると時間の関係で省略された
設定をいろいろと見れて理解が深まるという利点はあります。
例えば御鈴が神奈の生まれ変わりって説明がさっくり省略されてるし。
(劇場版も見てればなんとなくそんな感じには見える)

過去から戻って再び現代編だけど、なぜか往人はカラス(ソラ)に……
えーーと、その展開における説得力のある説明はどこに?
往人がソラになって1話からの内容を違った側面で見ていくのは
いろいろ見えなかったり隠されてた面が見えてよかったけど、
再びあのシーンまで行って元に戻るのかと思ったらそのままだし、
ここから往人はいったい何のためにいるのかさっぱりな感じに。
一見重要なぬいぐるみを引っ張るのも別に無くても大差ないし。
ちなみにこのあたりは劇場版とテレビ版は大幅に違う内容なのでした。
ソラ(カラス)の使い方も劇場版の方が絶妙だね。

クライマックスはテレビ版も感動的だけど劇場版は何倍も強烈だった。
もうラストの10分ほどは目がパンダメイクで(違うって)。
てゆーか劇場版はラストだけじゃなく最初から物語が進んでいくにつれ
次第にこみ上げるものがあって、それが時々目からあふれ出る感じだった。
つまり終盤に至ったら溢れ続けて止まらなかっただけです(汗)。
なんて恥ずかしいことを詳細に解説してどーするよ……
残念ながらテレビ版にはそこまでの破壊力はないっすね。
時々突発的にドカンと来る程度だった。

なわけでエロゲー原作のアニメとしては素晴らしいとの評判だけど
正直なところD.C.(1期)や君望とは比較になってないなーって感じ。
確かに絵はキレイだけど全体の構成や脚本がいま一つなのが痛いよ。
同じ1クールの「君が望む永遠」はシリーズ構成が実に上手かったなと。
2話の最後にあの事故があって、そして4話の最後に遥が目覚める、
つまり4話で作品の構図と方向性がハッキリと示されるわけです。
初心者の心をがっちり掴むにはこれぐらいの構成でなくてはダメです。
そーいう意味では物語の序盤からぐいぐい引きつけてくれる劇場版は
D.C.や君望ともエロゲー原作アニメNo.1かけて十分戦えるぞ(笑)。

劇場版のとこにも書いたけど
AIRに興味があるけどよく知らない初心者はまず劇場版を見ましょう
それで感動できたなら改めてテレビシリーズも見ればいいと思う。
劇場版を見た後ならテレビ版を最後まで付き合おうと思えるから。
たとえキャラ描写が変でも。たとえキャラデザインが変でも(禁句)。
たとえストーリーの方向性がボケてていまいち乗りきれなくても。
たとえ往人が途中でカラスになって何じゃそりゃー!と思っても(爆)。
最後にはきっと劇的なラストがあるに違いないと期待させるから。

あ、あと総集編1話と夏編2話があるけどもういいやって感じ。


素敵な奇跡が始まった場所 (06/1/8) 次へ 前へ
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新年早々から書きたいネタが時間切れで書ききれない事態に。
調子に乗ってARIAのこと書きすぎました……
今年もこんな感じで慢性的に時間が足りない日々を予感させます(汗)。


では新年一発目のアニメ感想を。

「ARIA The ANIMATION 7〜13話」
1クールなんでこれで全部です。
原作の量や作品のテイストからして2クールでも良かったような。
とはいえこの手の作品がテレビアニメになるだけで貴重なので
少ない!とかもっとやれ!とか贅沢なことは言いませんが。
(蟲師はなんと2クールやるようで)
原作をアレンジしまくったりエピソードを組み合わせたりしたのは
1クールで可能な限り原作のエッセンスを見せたかったからなのかも。

原作が大人気ってほどでもなく(それなりに売れてますが)、
いわゆる売れ線だったり売れそうな属性があるわけでもなく、
じわじわと支持されてた作品なので1クールなのは仕方ないっすね。
でもAmazonのランキングを見てるとそこそこ売れそうな雰囲気だよ。
「ぱにぽに」もだけど原作の人気度からすると大成功ではないかと。

スクエニやその傍系(マッグガーデン・一迅社)は漫画の販売力が弱くて
面白い作品はいろいろあるのにあまり知られてないのが現実なのです。
(スクエニ関係ではないけどローゼンメイデンも似たような感じ)
だからアニメ化で多くの人の知るところになるのは良いことですな。
この作品に関しても知られればある程度の支持は得られると思ってたよ。
にしても「かみちゅ」もだけど売れてる作品のほうが1クールなのは
DVDを売って成り立つ深夜アニメとしては見通しが間違ってるような気も。

ところで間違ったことを書いてる人がいるのでここに正確な情報を。
AQUAはステンシルが休刊したからBLADEに移籍したんじゃないです。
当時エニックスで何かがあって(詳しいことは知らん)編集者と作家が
大量にエニックスの雑誌から抜けるという事件が有ったのです。
丁度その頃ステンシルを毎月買ってたけどある号で(確か)予告もなく
看板連載がいきなり何本も終了になって唖然としたのを覚えてます。
そしてその少し後にマッグガーデンの設立と新雑誌の創刊が告知され
そこに天野こずえさんなどの名前が並んでたというわけでした。
あと一迅社(ZERO-SUM)関係の作家たちもほぼ同時期に抜けました。
実はエニックスを支えた作家陣の多くがこの2社に流出したのです。
スクエニ傍系という表現を使ってるのはそういう理由からでした。

スタッフクレジットを見てたら企画協力にあの萩原さんの名前が。
初期のコミックスの後書きに必ず登場したポエミー萩原さんですよ(笑)。
※必ず柱にリリカルなアオリを入れるので作者がつけたあだ名(らしい)
確かこの場所に入るのは担当編集さんなので今でも担当してるみたいだね。
(コミックス7巻の後書きの打ち合わせの絵で作者の隣にいるのが萩原さん)
そして萩原さんはステンシルの初代編集長でもあります。
この人が編集長だったからAQUAが生まれたんじゃないかと思ってたり。
この手の作品はよほど実績があるか作家を信用してないとできないし。
BLADEへも萩原さんが移籍したから一緒について行ったんだと思う。
(作家は雑誌よりも編集さんとの関係の方が深い)

では後半の原作との詳細な比較を。
もちろん細かい違いはいちいち書いてません。大量に違うので
以降の内容は比較の性格上かなりネタバレしてるのでご注意!

7話。晃さんの特訓のベースエピソードはARIA5巻の「マルガリータ」
このエピソードは原作には前半のお客を乗せる部分はないのでした。
確かに実際に仕事してる姿を手本として見せるのは意味が有るね。
街の目立たないところに素敵なモノがある部分は直接の原作はないけど
ARIA7巻の「停電」にちょっとだけそれっぽいシーンがあります。
後半はほぼ原作どおりの構成だけど当然ながら原作にはお客はいません。
アリシアさんが登場してブレイクする部分も原作にはないです。
アリスの「ゴンドラ通りまーす」の声が小さいエピソードは
アニメではそれ以外のシーンにもかけ声を追加してより際立たせてるね。

8話。この回はいつもと構成が違ってアリア社長の話が2本立てに。
1つ目がAQUA2巻の「社長はツライよ」で2つ目が同じ巻の「ヒーロー見参!」
半分なら長さは原作そのまんまで丁度いい、と思うかもしれないけど、
どっちも番外編っぽい短い話なので結構内容がふくらましてあります。
1つ目だと料理をしてるシーンなんかが追加されてる部分っすね。
材料をテキトーに鍋にぶちこむ絵面でちぃ(ちょびっツ)を思い出した(笑)。
しかしあの緑のドロドロをどーやって食べれるようにしたのでしょう?
あとケロロが特別出演をしてたり。このへんも追加された部分っすね。
アリア社長に新しい家族ができました」にはすっかり笑わされたよ。
※ネコは人語を喋らないのでこの回は吹き出しみたいのが画面に出る

2つ目は1つ目よりさらに原作が短いので怒涛のように追加されてます。
そして原作の一つ一つのシーンがとても大げさにパワーアップしてる。
さらに藍華の出現するシーンが原作とは違ってたりして。
アテナ先輩の部分が原作では藍華なので。
つまりこの藍華の出現するシーンもヒメ社長との笑えるやりとりも
全部アニメで追加されてる部分。一緒にいたアルくんは実は初登場だね。
暁さんもウッディさんもアルくんもアニメでは初登場から知り合いなのか。
(原作にはそれぞれに出会いのエピソードがあります)
ヒーローのピンチ〜アリスの出てくるあたりも原作にはないです。
「わたしはそのような者では〜」のアリア社長の発声が面白すぎ!(笑)
路地にボールが転がってくる〜サーカスの練習の部分も追加された部分。
つーかこの回は追加されたシーンのほうがずっと多いっすね。
ちなみに、この回は佐藤順一監督自ら脚本をやってます(1話もそう)。

9話。グランマに会うのベースエピソードはARIA4巻の「伝説の大妖精」
この回は全体の構成が原作の1エピソードにそのまま沿っていて
細部をふくらませたりアレンジしつつ余韻を強調する感じになってる。
アレンジの仕方がいつもと違うのは脚本が吉田玲子さんじゃないから!?
てっきり全部の脚本を吉田玲子さんがやるんだと思ってたのだけど。
(1話と8話も監督が脚本を書いてるけど)
そんなわけでこの回は構成は原作と変わらず細部だけが違います。
まぁ、原作付きのアニメとしてはむしろこの方が普通ですが。
原作との大きな違いは季節が原作は夏でアニメは秋なとこかな。
※アニメは1クールで春〜夏〜秋〜冬になってる
だから原作ではトウモロコシでアニメだと栗拾いや芋掘りになってる。
麦わら帽子は原作にもあるというか原作は夏だから当然なわけで、
しかしアニメは秋なので「今日は日差しが強いから」とか言ってたり。
栗が爆発するシーンとかは当然ながら原作には無いっすね。
お風呂や星を見る部分や流れ星もアニメで追加された部分です。

10話。温泉に行くのベースエピソードはARIA2巻の「桃源郷」
雪虫のエピソードは同じくARIA2巻の「雪虫」から。
この回は前半が「雪虫」中心で後半が「桃源郷」中心だけど
単純にエピソードを繋いでるわけではなく織り込んであります。
6話に続き吉田玲子さんの構成テクニック炸裂って感じですね。
あ、原作だとヤダチモでアニメはヤチダモなんて細かい違い発見。
言い間違い!?それとも言いやすいように変えたのかな!?
この2つのエピソードは原作だと時期的にアリスはいないです。
街に買い出しに行くシーンも無いので当然暁さんも出ないです。
アニメは他のキャラが出るシーンをマメに追加してるっすね。
温泉でコーヒー牛乳を飲むシーンも原作とタイミングが違います。
アリスが正しい作法とか言うポーズも当然アニメで追加された部分。
桃のカクテルがソーダなのは風呂で酒を飲むのは放送上マズイとか!?
(カップの大きさが違うので飲んでるものも違うのに気づいた)
最後に晃さんとアテナ先輩が来るのもアニメで追加された部分だね。
これ3人の関係を考えれば実に当たり前のアレンジなんだけど……
11話で内容の不整合を起こしてしまいました。

11話。3大妖精の過去のベースエピソードはARIA6巻の「オレンジの日々」
この回は9話と同じ人が脚本でアレンジの手法が同じなのでした。
ちなみにこのエピソードは原作では晃さんは出てこないです。
灯里たち3人の先輩も同じような関係だったのを強調するために
晃さんも出して対比させたアレンジはいい感じだと思いました。
しかし「久しぶりに3人で会おう」って10話でも3人が会ってますが……
見返して不整合に気づいたぐらいなのでスタッフも見落としたのかも。
練習シーンのアテナ先輩のボケボケっぷりはアニメで追加された部分。
アテナ先輩の歌を披露する部分も原作より凄くパワーアップしてる。
やっぱり中身を詰め込みまくる吉田玲子さんのアレンジと比べると
この人(藤咲あゆなさん)の脚本は余韻を強調する構成になってるね。

12話。これもなんとオリジナルエピソードです。
しかも4話の続きというか応用編みたいな感じになってるのでした。
アリア社長を追いかけて不思議な場所に迷い込むのは原作でも何度か。
って4話にも書いたけど。今回はトンネルの中が猫の王国っぽかったり。
にしても原作の不思議なことが起こるシチュエーションを継承しつつ
猫が過去と未来を繋ぐみたいにアレンジしてあるのは面白いっすね。
水が初めてやって来るシーンは素敵が始まった瞬間って感じで感動的でした。
4話と12話のオリジナルは作品世界を過去に向かって掘り下げることで
この綺麗で素敵な空間により説得力を持たせることに成功してる。
特に12話はシリーズのクライマックスみたいな位置付けになってたり。
まさかオリジナルをクライマックスに据えてくるとは思わなかった。

13話。年越しのベースエピソードはARIA2巻の「アウグーリオ・ボナーノ」
この回も9話と同じ人が脚本で余韻を強調するアレンジになってます。
このエピソードは原作ではまだいない人が多いので顔ぶれが全然違ったり。
アニメでは主要キャラが一同に会するシチュエーションになってるけど
原作では灯里、藍華、アリシアさん、暁さんの4人だけだったから。
そんな感じで構成こそ原作通りだけどアレンジ率はかなり高いすね。
アイちゃんがアリア社長を追いかけるあたりももちろん追加された部分。
アイちゃんはオリジナルキャラだし、時間を越えるのもアニメ設定だし。
あ、掛け声が微妙に違う。アウグーリ・ボナンノだ。これが本来の発音?
初日の出をみんなで見た後のアリシアさんと二人のシーンも追加された部分で
作品の余韻を感じさせつつシリーズの終わりを実感させる感じになってる。

アニメは1クールで春〜夏〜秋〜冬の表情を駆け足で描いてきたけど
そのラストを年越し(年明け)で飾るところは心憎い構成だったっすね。
区切りはいいけど物語が終わるわけではなく1年が終わったってだけだし。
やろうと思えば第2シーズンも作れるし。好評だったら作るとか!?

シリーズを最後まで見て思ったのは佐藤順一さんの相変らずの手腕と
吉田玲子さんの原作を再構成するテクニックの凄さだったです。
特に原作をよく知る作品だったから脚本の鮮やかな技法には舌を巻いたよ。
もし全部を吉田玲子さんが書いてたらどーだっただろうとか思ったり。
最終回なんかまた違ったアプローチでまとめてたかもしれないなと。
今のままでもそんな不満はないけどね。

原作はARIAの7巻(通巻9巻)までで50本ほどエピソードがあるので
アニメでは使われなかったエピソードも当然ながらいっぱいあります。
例えば暁さんの案内で浮島に行ったり(ちょっとだけあったけど)
アルくんの案内で地下を見たりなエピソードがほぼカットされてる。
つーか暁さんやウッディはともかくアルくんは出番が少なすぎです。
アニメ化で喜んだアルくんのファンの人は今ごろ泣いてるかも……
あと季節のイベントの類も年越し以外はほぼ全部カットされてるね。
原作には季節ごとの様々なイベントを描いたエピソードがあるけど
アニメではごく普通の日常のステキな側面を強調する方針だったようで。

そんな感じなのでアニメが気に入った人は是非原作も読んでみて下さい。
アレンジされまくってるけど原作とアニメのテイストは同じだし
アニメ→原作でもイメージが違うってことは無いから大丈夫だよ。
ゲームと違って全部読んでもたいした時間はかからないしね。

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