極限の愛のカタチ (07/12/27) 次へ 前へ
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ホントは次の更新は年明けの予定だったのですが
長々と書いてしまったので前倒しで更新しておきます。
今の状態だと何日経っても状況はあまり変化ないだろうから。


「ef - a tale of memories. 9〜12話」
1クールなのでこれで最後です。
あまりに強烈な千尋エピソードの結末がついにやってきます。
それを見終わった感想を一言で表現するなら。背筋が震えるほど凄かった
11話の千尋の選択と最終回の(事実上の)ラストの仕掛けには脱帽だった。
そんなやり方があったなんて!と感嘆して、感動が目から溢れてきた……

この作品のように重い設定を使っている作品は他にも存在しています。
重い設定を使えばそれだけで作品自体の印象は強烈なものになります。
だから、と言うわけでもないけど物語の仕掛けは単純なのが多いです。
この設定だからこそ出来るストーリーみたいな作品は滅多にないのです。
重い設定を物語の根幹の仕掛けで使っているこの作品は稀有な存在です。
強烈な設定に負けない、設定を十分に使い切った作品は貴重なのです。

千尋の保護者で蓮治のアドバイザーの火村さんの口癖に、
「この世に奇跡なんてものは存在しない」というのが有ります。
そう、この作品のどこにも奇跡なんて存在しないのです。
絶体絶命のピンチを神様が助けてくれたり、なんてことはないのです。
事態をよりよく変えたいなら、とにかく自分が行動するしかないのです。
ラストに奇跡のようなことが起こるのも二人の行動の結果なわけだから。
奇跡じゃないのにまるで奇跡のようなラストなのがとても感動だったよ。

話は9話の千尋の記憶が消えたところまで戻る。
千尋の記憶が消える事態に際して初めて見えてきた事がありました。
かすかに引き継いだ記憶だけとはいえ繰り返してる事実は知ってた。
それを全て忘れてしまったので千尋の主観では事故直後なわけです。
そう思ってる人間に今までこう過ごしてきたと自分の日記を見せられる。
そこに書かれていることは、延々と何もない変わらない日々の繰り返し。
「こんなもの読んでも読まなくても同じです!」と千尋は吐き捨てた。
このシーンを見ながら何だかとても人間的な反応だななんて思ったよ。
蓮治が最初に会った頃の千尋は人として何かが欠落してたのだなと。
千尋が諦めていたのは物語を書くことだけではなかったのだなと。

蓮治が千尋と三度目に会った時。
空を見ている(ような)千尋に蓮治は何を見てるの?と尋ねるのです。
この時千尋は「何も見ていませんでしたけど」って最初答えてた。
空を見てたのでは?って言われて、空を見てました、と言いなおしてた。
この何気ない二人のやり取りにはとても重い意味が含まれていたのです。
終盤の千尋のある告白の中でその時の行動の意図が明かされたのでした。
(それについての具体的な内容は自分の目で確かめてね)
これを知ると序盤のただ可愛く見えたシーンの印象が全く違ってきます。
たった3回会っただけで泣いて抱きついてきた理由が痛いほどわかります。
普通なら再見しても初回ほどの感動は無いのに、この作品は違うのです。

8話の最後に千尋は蓮治のことを完全に忘れてしまった。
いったいこの物語はどこへ行くのだろう?と全く見当もつかなかった。
自分の日記を読み返して蓮治に怒りをぶつける姿は別人のようだった。
しかし日記が今に近づくにつれて蓮治の知る千尋に近づいていった。
いや、意識的に蓮治と会っていた以前の千尋と同じになろうとしてた
千尋のあまりの変貌ぶりに驚いた。少し都合がよすぎではとも思った。
でも千尋の視点で考えるなら前の千尋になろうとするのは必然だから。
ここまで見た人には理由なんて説明するまでも無いことでしょう。
それにこのすぐ後に千尋自身がその答えに相当する話をしてくれるから。
(ここも具体的な内容は自分の目で確かめてね)

記憶を全て失う前に近い状態に戻った千尋が言うのです。
記憶って何なのでしょう?記憶が変わると人格も変わるのでしょうか?と。
これ偶然にも前回(5〜8話)に書いたっすね。記憶はほぼ人そのものだと。
記憶が変われば性格は変わるし、自我も変わると言ってもいいかも。
でも自意識という意味では記憶が変わり性格が変わっても同じ人ではある。
千尋が言って蓮治が否定した(かった)以前の私は死んだのかもという話も、
絶対にそんなこと無い、と言い切れるほど脳の構造は単純ではないのです。

物語の終盤に蓮治と千尋が恋人としてデートするシーンがあるのです。
この物語の中でも最も幸せそうな楽しそうな光景が展開していくのです。
あまりに幸せすぎる光景なので逆に怖かった。とても嫌な予感がした。
死亡フラグ。世間的によく使われる表現に喩えると、そんな感じだろうか。
デート中の千尋がいつもに比べてやけに涙もろいのがとても気になった。
映画がハッピーエンドで本当に良かったと泣いてるのがとても気になった。
そして「ハッピーエンド」という言葉の意味をすぐ後に思い知ることになる。
この後に来る展開を知ってればこの時の千尋の気持ちは痛いほどよくわかる。
全てを知った後にこの楽しそうなデートを見返すのは結構ツライものがある。

ハッピーエンドとは言葉どおりの幸せな結末。
だけど現実には絵に描いたような完全に幸せな結末なんてない
楽しいこと幸せなことは苦しいこと辛いこととは切り離せない。
みんなに一点の曇りもない幸せな結末など存在しないのだから、
自分にとって次に良いと思える結末がハッピーエンドなのです。
だから千尋の選択は彼女にとってのハッピーエンドだったのです。
それが「女の子にとって最も幸せな終わりかた」だったのです。
実際のところ理性的には千尋の選択が正しいのです。蓮治にとって。
そして感情的にはその後の蓮治の選択が正しいのです。二人にとって。
(詳しいことは書かないので自分の目で確かめてね)

この物語の最後の最後にホントの意味のハッピーエンドが来ます。
だけど物語が終わった後に楽しいことだけが待ってるわけじゃない。
むしろこれからもずっと困難と向き合って生きていくしかない。
それでもなお蓮治と千尋は二人で一緒にいたいと選択したわけです。

これぞまさしく「愛」だよね。それも極限の愛のカタチ
ラブストーリーが大好きで今まで腐るほどラブストーリーに触れてきた。
だけど、これほど素敵なラブストーリーにはそうお目にかかれないよ。
それほどこの物語は良かった。凄い良かった。大好き、と繰り返したい。

この作品を見終わって、心の中がこの作品でいっぱいになって、
他のことをしなきゃいけないのに、とてもやる気が起きなくて、
それでついつい蓮治と千尋の話だけを抜き出したDVDを作ってみたり。
この千尋エディションで見たら全編を見た時より感動が何倍も大きかった。
※「千尋エディション」の詳しいことは次(↓)の記事に書いてあります
何度も見返したくなって、作った日から毎日のように見返してしまってた。
既に完成版の千尋エディションを通して4回も見返してしまったほどです。
とても好きなシーンを部分的に見返した回数は数え切れないほどだし。
何度も見返したので、ふとした瞬間にシーンがフラッシュバックしてきます。
外出前に見ると大変なことになるので我慢してるのに外出先でヤバイことに。

放送版を最後まで見終わった後、2007年の私的ベストを更新しました。
実はこの時はコードギアスを1位にしてefを2位にしてたんです。
凄くいい作品ではあったけどコードギアスほどではないかなと。
しかし、千尋エディションを何度か見てたら気が変わりました。
これだけの内容と怒涛の感動は文句なしに2007年の1位だろうと。
コードギアスも完結していたらどーなってたかわからないけどね。
実はefの1位と言うのは「千尋エディション」の評価だったりします。
放送全編の評価だと2位な気もするので、ちょっと反則かもしれない。
2003年1位のD.C.だって事実上後半の評価だからまぁこれもアリかなと。
それに抜き出して繋いだだけなのだからこの作品の実力には違いない。

誉めてばかりはなんなんで不満点も。
この作品の新房さんに近い表現スタイルに戸惑う人は少なくないでしょう。
でも私は以前から挑戦的な表現スタイルが好きなのでそこは問題ないです。
※新房フリークだと公言してるし
とても雰囲気のある美しい光景を見せていく手法なんか凄く良かったし。
2本のエピソードが平行して展開する手法も初体験で興味深かったよ。
片方の話だけ抜き出した千尋エディションとか作っといてなんですが。

じゃあ何が不満なのかと言うと……
それはエピローグです。事実上のラストシーンの後にある部分。
千尋パートは12話のAパートの最後で事実上エピソードは終わるのです。
同様に紘パートは10話のBパートの最後でエピソードが終わります。
そして12話のBパートは全員のエピローグを描いてるのです。
最終話のBパートがエピローグという構成は実は珍しくはありません。
しかしこれのようにクライマックスにドカーンと情動が振り切れる作品は、
あまり長すぎるエピローグだと感動が水で薄まってしまう感じなのです。
2本のエピソードが並立してるから最後はああせざるを得ない気もするけど。
千尋エディションに比べて全編の感動が小粒なのも並立してるせいだから。
2本立ては手法としては面白かったけど結果的に裏目に出てたのかなと。
実は千尋エディションを作った理由の一端はこの不満があったからです。

そんなすっかり邪魔者扱いしてる感じの紘パートについて。
一応念のために書いておくけど紘パートがダメなんて思ってないです。
むしろラブストーリーとしてはとてもよくできてるし、好きな内容です。
物語中に特筆すべきシチエーションがいくつも存在してるぐらいだし。
ただ千尋パートがあまりに凄すぎるので影に隠れてしまってるだけです。
絶望した!よくできた内容なのに影に隠れてしまうことに絶望し(以下略)

紘パートで特筆すべきシーンと言えば前に書いた7話の携帯電話のシーン。
そして6話の景とみやこのセリフの刃が飛び交う踏み切りのシーン。
クライマックスである10話の景との別れと関係の再生のシーン。
物語のラストであるカウントダウンしていくみやことの電話のシーン。
表現的には他にもいっぱいあるけど特に印象に残ったのはそこらへん。
それはラブストーリーとして特に重要なポイントだからでもあるかな。
映像表現はあくまで物語を伝える手段なのだと実感してしまうよ。

景との別れのシーンがあるということはつまりそーいうことで。
前回書いた内容は思いっきりネタバレだったけど、もう仕方ないか。
残念ながら1話で物語が動き出した時点でこの結末は決まってたから。
そこに至るまでにどう展開するか、それを見守るしかなかったのだから。
だから景との別れのシーンもついに来るものが来たという感じだった。

でもその内容は頭の中で思い描いていたシーンとはかなり違ってた。
好きですと告白して断られるのは恋愛モノでよくあるシチュエーション。
だけど振られた後の別れの前に好きですと言う作品は初めて見たよ。
ダメだと判ってるけどそれでも自分の気持ちを伝えたいとかではなく、
言葉にして伝えるまでもなくとっくに相手に気持ちは伝わってたのに、
それでも言わずにいられなかったみたいな。見ててズキっとくるシーン。
だからこそ、恋人にはなれないけど関係を再び紡いだのが感動的だった。
ここは紘パートで最も感情を揺さぶられたシーンと言ってもいいぐらい。

にしても両パートとも別れのシーンに最も感情を揺さぶられるとは……
(千尋パートに関しては物語の核心なので自分の目で確認してね)
この物語を作った人に「いじわるです」と千尋のセリフを差し上げたい(笑)。

ちなみに千尋パート同様の紘エディションが作れるかというと、、、
単純に繋ぐことは可能だけど恐らく内容が足りないんじゃないかなと。
千尋パートは紘パートが無くても物語としては成り立つのです。
景のことが何度か出てくるけど作中の簡単な説明でも十分に足りてるから。
紘パートに事故に遭うまでの話があるから見ればより理解は深まるけど、
蓮治の視点が中心の千尋パートでは知らなくてもさほど問題はないのです。

しかし紘パートにおける千尋の存在は物語の根幹に関わってくるのです。
事故に遭った千尋は出てくるけどその後どんな状態かはわからないのです。
もっと単純な障害なら断片を繋ぎ合わせればある程度想像はつくけど、
千尋の障害はかなり珍しいので実際に見せないとわからないと思われます。
景の「あの子そんなことできる状態じゃないのに」が説明不足でないのは、
千尋パートで千尋の障害がどんなものか物語として実感させてるからです。
つまり千尋パートが有って初めて紘パートが成り立つと言えないこともない。
2本のエピソードが並立した構成は紘パートを描くために必要だったのかも。

あとは気になったことをいくつか。
紘パートには羽山ミズキという景の後輩がいます。
彼女の景の料理に対するあまりにストレートな物言いは凄く印象的です。
それは別としてもう一つ、とても記憶に残ったシーンが有りました。
それはベットに寝転がりながら携帯で景と話してるシーン。
そこで話してる内容がどーとか、構図がどうとか、服がどうとかではなく、
ミズキが使ってる携帯が自分の使ってるのと同じモデルだったってところ。
どっかで見たようなデザインだと最初は思ったよ。さっさと気づけ!(笑)
さすがに色はミズキが使ってるピンク(花柄)とは違うけどな。

もう一つ。この作品にはちゃんとエッチシーンが有ります。
恋愛のステップの一つの到達点として両方のエピソードに1回ずつ。
恋愛と性欲は表裏一体だから恋愛モノにエッチはわりと必然なわけだし。
エロゲーアニメだからあって同然、ではないのが今の表現規制の現実です。
今まで熱心に見たのでちゃんとエッチシーンがあったのって君望だけだし。
Canvas2なんか最後の最後にシーツに包まってる二人という構図だけだし。
D.C.だって前後の流れからやってるっぽいけど確定的な表現は全くない。
※やってるっぽいのは19話の最後のところ
AIRに至ってはどちらもエッチなシチュエーションの欠片もないのだった。

そんな感じなのでちゃんとエッチシーンがあるのは久しぶりに見たよ。
と言っても手を繋いでるとか、布団の中で裸でいるとか、だけですが。
体を絡めてるシーンとか艶かしい声を出したりとかは全くありません。
まるで一昔前の少女マンガのような露骨な隠し方にちょっと苦笑したよ。
※イマドキの少女マンガには体を絡めてるシーンも有ります
おかげで恋愛モノは好きだけどエッチな雰囲気が苦手な人も見やすいかな。
まぁ、その手の人がこの作品を見るかと言われるとかなり疑問だが(爆)。

サントラについて。
作中にはピアノや弦楽器を中心にしたキレイな曲が散りばめられてます。
いつもは試聴して確認するけど、いきなり買っていいとすら思ってます。
作品を気に入った度合いが高ければ多少曲がイマイチでも問題じゃないし。
(この作品の音楽がイマイチって意味じゃないです)
作品のイメージをリフレインするのにサントラは凄く便利だし。
サントラをリピートしてると作品のコメントが書きやすいのです。
だからリリースされたら即欲しかったのです。が、発売を2ヶ月延期……
おかげでOP曲と千尋ED曲の2枚のシングルを延々とリピートするはめに。
(他の2つのED曲は買ってない)

OPとEDで書くことをもう一つ思い出した。
この作品は新房アニメ同様にOPとEDが何種類も存在します
特にEDは曲も映像も千尋・みやこ・景のヒロイン三人分が存在してる。
さらに千尋とみやこのEDは2パターン存在してたりして。
みやこは7話の他の二人と似た系統のEDが1回きりの特別版みたいだね。
最初あぼしまこさんの一枚絵のバージョンが暫定版だと思ってたけど。
千尋は11話だけセピアバージョンで曲の編集位置も違ったりする。
最終回もEDはシリーズエンディングと言うことで別の曲だったりして。
これはまた別にシングルが出るのだろうか!?

OPは曲自体は1種類しか有りません。
が、シングルを持ってれば知ってるけど実は日本語版と英語版があります
そーいや月詠もED曲はバイリンガル(日本語・フランス語)だったなと。
ずっと英語版を使ってたので日本語版は使わないのかと思ってたら
なんと最終回に日本語版を使ったのでした。そして映像も特別版でした。
3話から11話までは同じ英語版で、映像もずっと同じだと思ってました。
しかし何か違和感があって確認したら7話からカラーリングが一部違ってた。
これって後半が正式版なのか?それともいつものように微妙に変えただけ?
※「ぱにぽにだっしゅ」は毎回少しずつ違う(らしい)
あと1話のアバン後のクレジットを流すシーンも特別版のOPと言えるかな。

では、続いて(↓)千尋エディションの話をどうぞ。
作った直後に書いたので文章を書いた時間が前後してますが。


「DVD ef - a tale of memories. 千尋」
efの蓮治と千尋の話だけを抜き出して編集した自作のDVDビデオです。
名付けて「スペシャルエディション 千尋」とでも言う感じでしょうか。
(「スペシャルエディション 蓮治」でもいいけど)

放送(録画)を見てる最中にも千尋編だけを集めたらどーなるかなと思ってた。
2本のエピソードが平行して展開してても十分すぎるほどインパクト有るので、
ひたすら千尋編だけの内容ならさぞかし凄い内容になるんじゃないかなと。
1クールの半分程度なら6話×本編の長さ20分でだいたい2時間程度だし。
ものすごく劇的な映画みたいなものが出来るんじゃないかと想像しました。
そして最後まで見た感動の余勢を駆って、その日のうちに作っちゃった(笑)
慢性的に時間がないとか言いながら、いったい何やってるんだろうね?(汗)
結果的に首が絞まるとわかっていても、やらずにはいられなかったと言うか。

該当のシーンを全て抜き出してブロックの繋ぎ目を確認しつつ調整して、
ざっと繋がった状態で通しで見ながらさらに繋ぎの部分を多少修正して、
いちおー完成品と言える編集になったのを再エンコードしてDVDを作成する。
そうして出来上がったDVDをさっきじっくり見てみたところです。
ほぼ完成状態で通して見ながら確認したので構成については知ってたけれど、
半日ほど時間を置いて改めて完成品として見てみたら凄かった。予想以上に。
中身は凄く濃いし情緒が豊かだし感情の揺れ幅が激しいので随所で滝涙だし。
ここ数年のアニメ映画でこれと勝負になる作品は何本もないとすら思うから。
結構手間だったけどやっただけの価値は十分すぎるほどあったと思ったよ。

通してみてもう一つ実感したことがありました。
それは通して2時間程度とは思えないほど内容が盛りだくさんなこと。
2時間だと1本の映画ぐらいだから1エピソードがせいぜいのはずなのに、
このスペシャルエディション千尋にはイベントがいくつもあるのです。
テレビシリーズだからドラマ仕立てで山あり谷ありなのは当然ですが。
それを全て繋いでもたったの2時間しか無いということが凄いのです。
たったの2時間で喜楽と悲哀の間を何度も行ったり来たりするのです。
物語が進むにしたがってその揺れ幅がどんどん大きくなっていくのです。
大きい幸せにはそれと同等な苦しみがついてまわるとでも言いたげに。
これだけの内容がよくこんな短い時間に収まったものだと感心してしまう。
(編集したのは自分だけど内容はほとんど放送そのままだし)

時間のわりに内容が多いのに作品として成り立ってる理由。
それも通して見てたら何となくわかりました。
この作品(全体)は新房アニメと極めて似た表現スタイルを使ってて、
※監修が新房さんで監督は新房組の大沼さん
人によってはあまりいい印象にとらない止め絵を多用してるのです。
特にこの作品では空間を見せる絵にセリフを重ねる手法を多用してます。
物語を進めるためにはセリフを喋ったりキャラを動かす必要があります。
しかし動きを見せるためにカメラが寄ると物語空間が見えにくくなります。
なので普通なら動くシーンとは別に空間を見せるシーンを入れるのです。
しかしこの作品の特に千尋パートは動きが少なくてセリフばかりなので、
物語空間をじっくり見せつつセリフを喋らせて物語を進めているのです。
だから2時間と思えないほど中身が濃いのだなと。感動が大きいのだなと。

せっかくなので具体的な編集内容を書いておきます。
興味があったら自分で作ってみてください。できるものは凄いので

編集の基本は千尋パートを放送内容に沿って単純に繋いでるだけ。
千尋パートの前のサブタイトル・アイキャッチは入れてあります。
音が本編に繋がってるのと入れた方が繋ぎに違和感がなくなるから。
映画っぽい体裁なのでオープニングとエンディングは1回ずつです。
オープニングは放送同様に2話の最後のシーンに続いて入れてます。
ただしテロップの量の関係で3話のものを使ってます。
エンディングは12話のAパート(事実上のラストシーン)の後に入れてます。
使ってるエンディングは千尋タイプ11話Ver(色がセピアトーンのヤツ)。
12話のエンディングは前後に絵も音も繋がってて使いようがなかったので。
エンディング後にエピローグとして12話のBパートの一部を追加。
ピヨとポヨのカットから「それは45秒未満の邂逅だった」まで。
(音楽が前の部分から繋がってるので音だけFIした方がよいかも)
最後の6人の部分は蛇足なので無し。この終わりの方がカッコイイし。

あといくつか細かい編集のポイントとして。
1話のBパート冒頭のアイキャッチと文字ワイプは
その直前の「〜45秒未満〜」が黒バックで繋がりが悪いので削りました。
※本編の一部の文字ワイプを削ったのはここだけ
同じくBパートの「気を許しては」の部分は続く紘パートに音楽が続いてます。
なので試しに音楽のキリのいいところまで食い込んで切って繋いでみました。
しかしそれだと繋がりが悪いのでBパート最後まで全部入れてしまいました。
かわりに2話のアバンの部分は教会カットの前を削りました(1話の編集だし)。
音楽が途中からだけどそんなに気にならない感じで繋がったので良いかなと。
10話のエンディング後のPC画面は無くても大丈夫そうだけど一応入れました。
11話のエンディング後の短い海のカットは削らない方がいいようです。
(蛇足かなと削ったら繋がりが微妙になった)
前後の繋がりから考えてここはもっと尺が欲しいけれど無いものは無いので。

8話の「結婚(ちぎり)」の文字ワイプには紘パートの音が被ってます。
※みやこが屋上の扉を引っ張ってる音
音声トラックがいじれるならここの音は消した方がいいかも。
ドーン音が入ってるままでも不安を表現してるみたいで良さそうですが。
あと千尋が制服を初めて着るシーンも音が紘パートまで続いてるので
完璧を目指すならカットの切れ目を調整するなりした方がいいかも。
[追記] 4話と5話の間には黒画面を1秒程度入れた方がいいかも。

以上のポイント以外はそのまま繋いだけど特に違和感は無かったです。
話と話の繋がりもアイキャッチや文字ワイプのおかげで特に違和感ないし。
場所によっては黒画面を挿入した方がいいかなとか考えていたのに。
あ、(エピローグの)最後のシーンの後には黒画面を5〜10秒程度つけました。
最初なしで作ったらすぐにタイトル画面に戻ってあまりに情緒なかったから。
余韻を感じさせる意味で黒画面かなんかをつけた方がよいみたいです。
PCで編集するなら黒バックに白で「完」とか入れてもいいかもね。
(編集はRDの機能だけを使ってやってたので)

ちなみに時間は約129分でほぼ映画と言っていい長さ。
内容もドラマチックな恋愛映画と言えば多くの人は信じそうだし(笑)。

さて、もう1回見るかな(おいおい)。
[追記] 既にこの後3回ほど見ています……


三歩進んで三歩下がる (07/12/21) 次へ 前へ
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先週の予定だったコミックお薦めを更新しました。11月分です。
なんとか先月と同じ20日に間に合わせたかったけど無理でした……
そんな相変わらず綱渡りの状況なのでタイトル追加なんて夢のまた夢(泣)。
来月は1日でも前にずらせるといいね。


「さよなら絶望先生 7〜12話」
1クールなのでこれで終わりです。1期は。
1期はということは2期目をやるって意味でもあります。同じ枠で1月から。
間が1クールってことはかなり早い時期(放送中)に2期目が決まったわけで。
12話の最後のスロットは2期やるのわかっててわざとやってたんだなと。
むしろ2期目をやらないならあんなネタはやらないとも考えられる。かも。
12話の体裁が全く最終回らしからぬのも変則2クールと考えると納得!?
まぁ、このスタッフなら最終回のセオリーを敢えて覆してくるのもアリだが。

11話の最後に糸色先生は暴れチンチン電車(オイオイ)に轢かれ危篤になって、
読みきりナンセンス作品だけど一応最終回っぽい体裁に?とか思ったら……
12話は何やらいつもと雰囲気が違うし見たことないキャラがメインだし。
もしかして昏睡中の糸色先生の夢の中なのかなと。最後は夢オチなのかと。
しかしそんなことなどなく、11話の事故など既に無かったことになってたり。
最終回なのにいつもと1ミクロンも変わらない読みきりエピソードでした。
違うのはキャラ紹介にすらない新キャラが登場したことぐらいか。最終回に。
夢オチと見せかけてリセット技の上に最終回に新キャラという意表コンボ。
相変わらず視聴者の意表をつくことに執念を燃やしまくってますね(笑)。

意表と言えばなんとオープニングの映像が10話から変わります
1クール作品なのにオープニングを途中で変えてくるとは……
しかも「苦情があったから変えたんじゃない」とか注意書きまで入れて(笑)。
ツッコミを入れられる前に先回りして作っちゃうあたり用意周到と言うか。
9話まで(見ようによっては)問題映像を流しまくって何を今さらと言うか。
隙あらば(?)OP・ED映像を変えようとしてくるのもいつものことだしね。

この新オープニングの映像はいつものテイストとはかなり違うもので。
Illustratorっぽいタッチというかフラッシュで作ったアニメっぽいというか、
線や色がハッキリしてる(階調のない)イラストみたいなテイストなのでした。
これでも他の作品に比べれば異彩なのに、おとなしめに見えるのが不思議。
ちなみに映像だけではなく曲も違います。OPマキシに入ってたもう1曲の方。
そーいや、よく見るとサブ・オープニング主題歌とか書いてあったり。
まさか残り3話なタイミングで変えてくるとは思わなかったけど。

10話からオープニングが変えたからさすがに最後まで使うだろう。
そう思いつつ12話を見たらまたオープニングが変わってた……
なぜか最初の文字だけ(超有名コピペつき)のオープニングを使ってるし。
たぶん「どう見ても○○です。本当にあり(略」が入れたかったのでしょう。
11話の最後がアレで12話はいきなりコレだから意表の大盤振る舞いっすね。

意表をつくといえば10話のED後の週間絶望先生批評もそうだったなと。
実際の反応を内容に反映するにはこのへんが妥当なあたり生々しすぎる。
とは言えあの意見は作ってる段階でも十分予想できる反応でもあるから
最初から仕込んでたのもあながち否定はできん。このスタッフですから。
ちなみによく見てるとハガキと読んでる内容が微妙に違ったりするし。
「望総受け」ハガキの回答も全く答えになってない定型文だったりする。
(どーにも回答しようがない場合のお約束です)
相変わらずどーでもいいとこまで手を抜かない芸の細かさというか。

原作とアニメの違いなど。
前半の6話分を見た後に原作コミックを買ってきたのです。1巻だけ。
そしてざっと読んでみた感じではアニメはかなり原作に近いっすね。
細部にアレンジが多少入ってる以外はかなり原作を忠実に再現してある。
ネタも原作の連載と放送タイミングの違いで時事ネタが変わってるぐらい。
かなりヤバげなネタも次々と繰り出してくるネタに紛れて入れてあるよ。
見た目は原作のテイストを生かしつついつもの新房アニメになってますが。
内容もネタもテイストも原作通りなのに新房アニメになってるのが不思議。
あとアニメは原作に比べて無駄にキレイで色気増量なので萌えアニメっぽい。
けど内容は原作譲りのブラック全開なので見た目とのコントラストが凄い。

構成としては原作の1話がほぼアニメの半パートと考えていいようです。
(細切れにしてワイプっぽく挿入してるエピソードも有る)
さりげなく半パートずつサブタイトルがついてたりするし。
つまり原作1巻を全てアニメ化すると5話分に相当することになります。
今の深夜アニメのテンポは1巻4〜6話ぐらいなので妥当なページ配分だね。
このページ配分なら原作にかなり忠実に作れるという意味でもあります。

前回書き忘れてた毎回のサブタイトルを出すシーンのこと。
ルパンっぽく一文字ずつ表示されて最後にサブタイトルが出るのです。
この一文字ずつ出てる部分は実はサブタイトルと全く違ったりして。
例えば10話は早打ちの「いちわでうちきりかとおもっていました」が
タイトルでは「一人の文化人が羅生門の下で雨やどりをしていた」だよ。
※前半部のタイトル
じっくり見てる人以外はわからないと思って好き勝手にやってますな。
新房アニメに慣れてる人はアヤシイとこをスローで確認するだろうけど(笑)。

あとは特に印象に残ったネタをいくつか。

8話の非難訓練の話。
非難訓練と言っても火事とかの災害から避難する避難訓練ではなく、
些細なことでも非難される時代に上手く対処するための訓練です……
と言ってもみんなを片っ端から非難しまくってただけだけですが。
消防署の「ほう」から来たなんて言う実に胡散臭い人が指導してるし。
そこは視聴者がツッコんでくれと言わんばかりに作中ではスルーだし。
そんな内容はともかく非難に対処する訓練は現実でもした方がいいかも。

9話の本人であることを証明する話。
本人しか知らないことを話さないと本人だと認めないとか言ってるけど、
本人しか知らないってことは本人しか真実だとわからないわけで……
本人ではない第三者には本人であることを判断できないんじゃないかと。
他の人が真実だと判断できる情報は偽装したい人にも入手できるわけだし。
作中でも戸籍を偽装してる人が一番正確に個人情報を答えてたわけだから。
てな感じでナンセンスだけど目の付け所が鋭いのがこの作品らしいっすね。
みんなが思い描く糸色先生という凄い絵面オチも爆笑モノだったよ。

10話の文化祭に出すクラスの出し物の話。
最低限文化的な〜という内容についてではなくて表現技法のこと。
画面を良く見てると小さい文字を山ほど出すシーンが随所に有るのです。
ここ以外にも文字だけ出すシーンは山ほど有るし黒板ネタもお馴染みです。
それではなく本来なら本編にやるべきシナリオ(ト書き・セリフ)の一部が
そのまま短い時間だけ画面に表示されるという前代未聞の表現です。
一瞬しか表示されないからと伏字だけどかなりギリギリのネタが満載だよ。
文字だけの分は映像やセリフがないのに違和感を感じないのも上手いすね。

12話の加害妄想の話。
被害妄想の逆で自分の行為が他人に迷惑をかけてると思い込む妄想の話。
そんな言葉ははじめて聞いたけど実際に存在しそうな症例のような。
傍若無人な人は別として誰しも多少は周囲に与える影響が気になるから。
それの極端な例、言うなれば病的な潔癖症みたいだと考えればアリかなと。
映画館で後ろの人〜は自分でも考えたことが有るしね。
(実際に座高が高い人の後ろだと頭が邪魔になったりする)


貼りたいブログパーツ (07/12/10) 次へ 前へ
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今週は予定ではコミックのお薦め更新だったのですが……
まだ全然読み終わっておりません
これでもいつもより本を読んでる時間は増えてたんだけどね。
どーしてもあと一歩のところで本を読むのが追いつきません。
なぜこんなにも時間が足りないのでしょう!?

あ、そーいえば前から気になってた作業をひとつだけやりました。
それは全てのページからメールアドレスを撤去すること。
ホームページを開設した頃はあまり悪質な人もいなかったので
利用者の利便を考えて全部のページにメールアドレスをつけたのです。
しかし時代は変わり迷惑だと思われようとスパムをばら撒く時代に。
そしてウェブをクロールしてそれっぽい文字列を収集する時代に。
おかげさまで毎日数百のスパムメールであふれかえる状況に……

ずっとどーにかしたいとは思ってたけど何しろページが多すぎたので。
ブログや新たに追加したページにだけは載せないようにしてたけど。
それに既に収集されたアドレスに関しては今さらと言う気もしたし。
全てのページを雛型から生成するツールを用意してからとも思ってた。
でも慢性的な時間不足でその計画は遅々として進展しなかったし。
新たなボットの収集によってスパムが今より増える可能性もあったので
一念発起で全てのページからメールアドレスを手動で削除しました
なんだかとっても疲れたよパトラッシュ……


と言うわけでいつものアニメネタに行きます。
が、その前にひとつ(これもアニメネタだけど)。

数日前にさりげなく(もないか)efのブログパーツを貼ったのです。
※ブログの全ページと本家のアニメ索引に表示されてます
今までは運営ポリシーの関係であからさまな宣伝素材は使わなかったけど、
個人的にとても応援したい作品なのと宣伝映像のデキが素晴らしいのとで、
特別に期間限定(数ヶ月程度)で貼ってみることにしたわけです。
自分のサイトやブログに飾りたくなるほどデザインがいいってのもあるね。
※キャラやレイアウトの違いで6パターンあります
他の作品でもこんな感じにブログパーツを作ってくれるといいのに。
知ってるのだとあとスカイガールズぐらいしかパーツを提供してないので。

このパーツの再生ボタンを押して流れる映像は今TVで流れてるCMです。
作品を見たことない人もこの映像を見れば少しは雰囲気がわかるかも!?
これを見てもらえば新房組の映像センスの凄さが少しは伝わるかも!?
(バックの音楽もいいのでよかったらボリュームを上げてみて)
ちなみに前半が本編の映像で後半はオープニングの映像を編集したもの。
※オープニングの映像の全編は公式サイトで見れます
使われてる素材も素晴らしいけどCM用に30秒に凝縮した編集が凄くイイね。
セリフも文字も全く使ってないのに雄弁に内容を伝えるセンスの良さが。
てゆーかアニメ関連グッズのCMでこんなデキがいいのは滅多にないから。
最高級の灰羽やLASTEXILEのCD・DVDやクラウのサントラのCMに匹敵する。
※本編の映像に強めのぼかしをかけた綺麗なやつ(たぶん全て同じ人)
こんな素敵な映像を自分のページに貼れるのがとても嬉しいよ。


「DVD よみがえる空 -RESCUE WINGS- 1〜2巻」
前にレンタルDVDを借りて見たけど今回のはセルDVDです。
気持ち的にはずっと欲しかったし安かったしってことで買ってみたよ。
(まだDVD-outletに残ってるよ)
予算の都合で3巻以降が手に入る予定は今のところ全くありません(泣)。

ちなみに本編の映像はセルもレンタルも全く同じです(BVは全てそう)。
違いはセル版には映像特典が入ってるというところ。
※この作品のレンタル版には映像特典が全く入ってません
それも何だかやたらと力の入った映像特典がいっぱいついてます。
本編は2話収録で50分ほどなのに映像特典が30分近くもあるよ(笑)。
さらに1巻の初回版には別の映像特典ディスクまでついてるし(値段同じ)。
見るからに大ヒットしなそうな作品に何をそんなに力を入れてるんだか。

映像特典の内容について。
まず1巻ごとに1人ずつ主要キャストの人の作品についてのインタビューが。
(公式サイトによると3巻の本郷三佐役の石塚さんまでみたい)
2巻の能登さん(めぐみ役)の特に印象的なのは4話全てって話が凄く同感だった。
あとめぐみは現実にはあまりいないぐらい良い娘ってのも確かにそうかもと。
見たことある人は説明するまでもないことだけどこの作品は男ばっかりで。
でもいわゆる女性向けの幻想キャラではなく男性視点の現実的なキャラで。
その代わりに(あまり出てこない)女性キャラが多少美化されてるのかもね。
美少女モノのような記号的美化ではなく現実の延長の魅力的な人間として。

ある意味真の主役たちとも言える現実の救難隊員のインタビューも各巻に。
実際の救難の仕事の話や印象に残ってる現場の話とか凄く興味深かったよ。
大きな災害だとテレビで見て知ってるから話の内容に現実感が凄くあるし。
ちなみに救難隊員の人たちが作品を見た感想も話したりする。
この文脈だと出てこないのかなと思ったらいきなり作品に触れてビックリ。
全てがハッピーエンドじゃないところがとてもリアルだとか言ってたよ。

この人たちは1巻の特典ディスクのドキュメント航空救難団にも出てきます。
おそらく3巻以降でインタビューしてる人たちも出てると思われます。
大量にインタビューした内容を各巻とこれに分けて収録したのではないかな。
このドキュメント航空救難団では救難隊員たちによる活動内容の説明を
実際に救難団が活動している映像をふんだんに散りばめて見せてくれます。
この作品の映像特典としてはこれ以上ないぐらい的確な内容だと思ったよ。
このアニメが好きなら1巻の初回版が手に入るうちに買った方がいいと思う。

各巻にはミュージッククリップなんてのもついてます。
よーするに主題歌や挿入歌・イメージソングに映像をつけてあるもの。
1巻のエンディング曲は本物の救難団の活動を編集したもの(実写)で、
2巻のオープニング曲はアニメのシーンをいい感じに編集したものです。
さらにそれを歌ってる人のインタビューもついてます(2巻まで?)。
3巻以降も6巻までずっとミュージッククリップはついてるみたい。

エンディングを歌ってる影山ヒロノブさんのインタビューのこと。
この作品は1クールなのに変則的なエンディングが何度もあるのです。
最初のエピソードが終わる3話のエンディングも変則バージョンでした。
ここ最初は曲だけで歌が流れなくて今回は歌がないのかと思ったら
途中から歌が流れてさらにさびを繰り返してくれて凄く感動したそうな。
確かに主題歌がここまで作品と一体化して使われることは希だからね。

オープニングの三郷あきさんも凄くカッコイイ映像で感動したそうな。
作品の内容も凄く良くてそんな作品の主題歌が歌えて嬉しかったとも。
ブックレットにも作画スタッフがこの作品に携われて良かったという話が。
(女の子がもっと描きたいなんて言ってるのは俺だけだったな話の流れで)
アニメのように多人数で作り上げる作品は大多数のスタッフにとって
作品の面白さに自分の意志が直接的に介在することは滅多にないわけで。
だからこそ出来上がった作品が予想以上に素晴らしいものだった時は、
そこに自分の手が少しでも加わったことがとても嬉しいわけです。
逆にあまりアレなデキだとスタッフリストから名前消したくなるが……

あと各巻の映像特典としてはWEB予告編映像というのが。
公式サイトに掲載されてる予告編を収録したものです(今もまだ見れる)。
中身は次のエピソードを短い時間にダイジェスト編集したもので、
いわゆる予告編映像とはちょっと違う感じ。ブチっと途切れるし(爆)
ちなみに放送の次回予告は黒字にサブタイトルだけの簡素なものでした。
放送枠いっぱいいっぱいまで本編に使いたかったからなのでしょうか?
通常のOP/EDを使わない変則構成も本編が長いからそうなるわけだし。

1巻の特典ディスクにはドキュメントとは別に小松救難隊訪問記と言うのも。
めぐみ役の能登麻美子さんがアニメの舞台(モデル)になった小松救難隊の
施設の各所を隊長さん他の人たちの案内で見て回るという内容です。
これはアニメDVDの特典映像なのですぐに見比べられるわけですが、
アニメに出てくるシーンそっくりそのままなのにちょっと感動したよ。
施設だけではなく飛行機や仕事内容も含めて綿密に取材してあるのだなと。
スト4の時も思ったけど現実に存在する場所を細部まで再現することで
作り物の作品世界でも実存するような説得力を与えられるのだと実感した。
特にアニメのように1から画面を作る場合はそこは特に重要なんだなと。
最近の作品で実在する場所を再現する作品が多いのもそこが理由だね。

他の映像特典としては1巻の通常ディスクの番組宣伝スポット(30秒版)が。
特典ディスクにも番宣スポットの短い(15秒)版が入ってました。
録画でしか見ない人間だと番宣はあまり見る機会がないので貴重ですね。
作品のDVDやCDのCMは番組内のCM枠で流れるから見る機会もあるんだけど。
ちなみにCM等は公式サイトによると7巻(SPECIAL)に収録されてるらしい。

特典ディスクには公式サイト用のプロモーション映像なんてのも。
作品の紹介と言ってもアニメの映像はなくほぼ全て救難団の映像なやつ。
※公式サイトのほうにはもうその映像は無いようです
これを作った時点ではまだアニメの映像があまり無かったのかもだけど、
ある意味とってもこの作品らしいプロモーション映像だとも思いました。
何しろ映像特典では実際の救難団の紹介する映像がやけに多いわけで、
ブックレットも作品の内容より救難団の仕事や設備の解説が多いし(笑)。
今さらに出た(らしい)公式ガイドブックも内容はそんな比率らしいし。
杉山プロデューサーの燃え燃えっぷりが実感できます。いい意味で
公式サイトのブログが今でも更新されてるしな。

CMといえば自衛隊のイメージCM?の「よみがえる空」バージョンなんてのも。
実際に流してるのは見たことないけどこちらにあるので見てみたり。
※「あなたの空に…」のIとIIがそれ
なんだかよくできた「よみがえる空」のCMにしか見えないんですが(笑)。
だって一部にアニメ映像を使ってるんじゃなくて全編アニメ映像だし。
まぁ、これ以上ないぐらいに絶妙なコラボレーションだとは思ったけど。
自衛隊のイメージCMとしてはちょっとカッコよすぎな気もするがな。
(軍隊というのは本来は人を殺すのがお仕事だから)

中身についても前に書かなかったことを少し書くつもりだったけど
時間がなくて見返せなかったので次の機会があればと言うことで。
(4話までは今までにも3〜4回ほど見返してたりするけど)


「DVD Canvas2 〜虹色のスケッチ〜 1〜12巻」
レンタルで全部借りて見返してみました。
放送版も一部の話は何度か見てたけど通して見返したのは初めてかな。
ちなみに放送版と詳細に見比べたわけじゃないので違いはよくわからん(爆)。
放送時にも絵が荒れてたわけじゃないからそう劇的な違いはないはず。
一部の良い絵の回を除いてずっとそれなりのレベルだったとも言うが。

3話の最後の面白い顔のところが修正されてるのだけはさすがにわかった。
このシーンは別にあの面白い顔のままでも良かったと思うけどね。
この作品は少女漫画的にキャラ絵を派手に崩す路線だから違和感なかったし。
修正された絵も崩し方が多少抑えられてる程度で整った絵にはしてないし。
と言う感じで修正はされてるみたいだけど気にするほどの違いはないなと。

内容の大筋については前に山ほど書いたのでそちらを参照してください。
今回は改めて見て気づいたことや前に書かなかったことをいくつか。

1作目のヒロインたちがこれにもゲストやエキストラとして登場してるのは
Canvas(原作1作目のエロアニメ)を見たときに確か書いたはず。
4話にゲストとしてしっかり登場してるのが美咲菫のお姉さんの美咲彩。
あとエリスの担任の先生として全編通して時々登場してるのが篠宮悠。
2話と18話にみょーに存在感のある端役として登場するのが桜塚恋。
やけに存在感があって重要キャラかと思いきや全く内容には絡まないし。
※「むかちく〜」と言ってる人

理事長代理の妹で本当の理事長だけど15話の電話越しの声だけな鷺ノ宮藍。
8話の祭りでおみくじ売ってる巫女(背景キャラ)が君影百合奈と御薗瑠璃子。
18話でダーツを投げてるお子ちゃまみたいなの(ほぼ通行人)が七城柚子。
橘天音だけは見つからなかった(Wikipediaには出てると書いてあるけど)。
出てると言っても藍以外はなぜか名前があるエキストラって感じだけど。
そんなエキストラキャラにも関わらず声を当ててるのが有名な人だったり。

他にもなぜか名前のある端役の人として2話の食堂のおばちゃんが。
みょーに華やかで場違いなキャラだと思ったら他の作品のキャラだったとは。
※PALETTEという作品のキャラらしい
1作目のキャラも含めてゲストキャラの声優さんがなにげに豪華なこの作品。
(若本さん、川澄さん、釘宮さん、能登さん、水樹奈々さん等々)
実は名前のないエキストラに毛の生えた役にもさりげなく有名どころが。
最終回の霧の髪を切ってる美容師が堀江由衣さんだし、
5話でエリスの横で浩樹にちゃちゃ入れてるのは小清水亜美さんだし、
霧の高校時代のバスケ部員の門脇舞さんや22話の斎藤千和さんなんてのも。
普通なら1回きりの名無しキャラとしてこのクラスは使わないんだけどね。
1作目のキャラが内容と無関係に登場するのも含めてサービス精神旺盛だなと。

見返しててもう一つとても印象に残ったのが食に関するシーン。
料理やグルメアニメ以外でこれほど料理や食事のシーンが多いのは珍しいかも。
日常の表情を描いてるシーンだけではなく物語上で重要なシーンも多いし。
確かに現実の生活における食の比率は決して小さいものではないのだけど
食がテーマではない物語でここまで目立つ扱いなのは特筆ものかもしれない。
エリスの口癖?の「デリ〜シャス」も食事のシーンが多いから違和感ないよ。

重要なシーンに食事のシーンが多いので勿体無いことになるのも目立ちます。
決して料理が下手くそで食べられないことになるとか言う意味ではなくて。
(みんな不味いとか言いながらちゃんと食べてたりするし)
例えば2話で霧が浩樹の家にお邪魔してエリスも含めた3人でご飯を食べる場面。
霧と浩樹の会話に不機嫌になったエリスは途中で食事を終わりにしちゃうとか。
エリスが絵のコンクールで入選したのを霧が料理を作って祝ってくれたときも、
「何でここにいるの」「帰って!」と料理を作った人を追い出してたりとか。
物語が進むとエリスも霧に対してここまで露骨な拒否反応はしなくなるのです。
料理でも赤を克服しようとするのを含めて食でも成長を象徴的に描いてるなと。

勿体無いことになる重要なシーンはもう一つあって。
柳との再会を祝して霧の家でみんなで食事しようという展開になった回。
浩樹は一度は行こうとしたんだけど結局理由をつけて行かなかった。
柳は隠してた高校時代の重い話を打ち明けて食べずに帰っちゃったし。
それを聞いたエリスはお兄ちゃんが可哀想とこれまた食べずに帰るし。
せっかく霧が頑張って作った料理なのに三度勿体無いことに……
そーいや釣りに行くのを浩樹にすっぽかされて(一応理由はあったんだけど)、
霧が二人分作ったお弁当を公園で一人で食べるなんてシーンもあったっけ。
このときは偶然散歩に来てた理事長代理が相伴に預かったみたいだけど。

料理を作ってるシーンで「あっ!」なことになるシーンもあります。
一番印象的なのがエリスが体育祭のお弁当の卵焼きを作ってるシーン。
浩樹への想いが届かなくて気まずくて朋子ちゃん家にプチ家出してた頃の話。
体育祭がちょーどエリスの誕生日で霧がプレゼントの希望を聞いてたのです。
で、朋子が「お兄ちゃんを頂戴」って霧先生にお願いしたら?とか言ったり。
エリスはその発言に動揺して卵のボールに砂糖をぶちまけてたよ……
それ見て「私、絶対食べないから」とキッパリ拒絶する朋子ちゃんだった。
これぐらいが丁度いいとか言ってたエリスが食べた時の顔が見たかったよ。
(とある経緯で結局は橋爪くんが食べて保健室送りに)

映像特典について。映像特典はレンタル版にも全てついてました。
と言うかセルとレンタルのディスクが全く同じみたいです。
時かけもそうだしハルヒもそうらしいから角川エンタは全部中身同じかも。
※「時をかける少女」はレンタルした後セルを買ったので間違いない

で、収録されてる映像特典ですが。
各巻にワーニングコメント劇場というしょーもない三文芝居が(爆)。
しかも一部を除いてちっともワーニングコメントをしない三文芝居です。
映像は本編の絵をテキトーに繋いだだけという手抜き感が超満点だし。
あいかわらず角川はろくな映像特典を作ってこないなと実感したり。
平野綾さんがリュミエール(キディグレイド)のネタをやったりとか、
エリスの乙女の法律がどうとかネタ自体はそれなり楽しめるけど。

他はノンクレジットOP・EDやDVDやCDのCMという定番のやつ。
それと怒涛の次回予告総集編という単純に23話分の予告を繋いだものが。
そんなのDVDを全部集めれば見れるじゃん!とか言いたくなるが……
まぁ、この作品は予告が結構面白いからまとめて見るとなかなか楽しいかな。
毎回、恋愛についてのキーワードを上げてくるのもなにげに親切だしね。
エリスバージョンはたまに変なことを口走ってたりするけどな(笑)。
幼馴染の話から「恋は半径50メートル以内で!」になったりするし。
浴衣の話がなぜだか「恋を盛り上げるのはコスプレよ!」になったりだし。
(確かに浴衣は昔から存在するコスプレみたいなもんだけど)
そんな(夫婦)漫才みたいな内容をひたすら堪能できます。

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