Game Column & News



まともな情報誌や評論誌には載らないこと。
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そんな他愛のないことを、超マジに斬る。
ナンセンスで皮肉たっぷりのコラム&ニュース。
ゲーム好き? ■△■

■▽■ 年末商戦とマーケッティング戦略 (98/1/19)
■▼■ たまごっちはいつまで流行る (97/6/14)
■▽■ 最近元気なSCE (97/4/27)


年末商戦とマーケッティング戦略 (98/1/19) 先頭へ

今回は、去年の年末商戦の話でもしませう。
ちょーどその頃のデータが出てきたタイミングだし。

それにしても異常に盛り上がってたよ。店頭の状況も凄い有り様だったし。
そーなのです、リサーチと称して何が売れてるのかを時々店頭で観察して
くるのです(爆)。1時間ぐらい眺めてる場合もあるよ。なんて怪しい(笑)。

この年末商戦は、大本命(バイオ2)が年明けに延びてしまったので、
めぼしいタイトルが無いんじゃないかって見方も事前にはあったのです。
でも12/23に発売になったタイトルが怒涛のように売れてて、
発売当日の店頭はかなり凄いことになってました。
あんなに客が集ってたのは、鉄拳2の発売日以来かもしれない。

「チョコボの〜」が100万本ぐらい売れるのは予想していたんだけど、
「グランツーリスモ」があそこまで売れるとは……
もしかすると100万本ぐらい売れるかも、ってイメージはあったけど。
もしか、どころか今ごろは余裕で100万本超えてそうな売れ行きでした。
「みんなのGOLF」に続いて、またもやSCEの快進撃といった感じです。
しかもSCEが〜商戦の主役になったのって初めてじゃない?

さて年末商戦というとやはり語らなくてはいけないのが「電車でGO!」
宣伝担当者の目標は100万本って話は、キツイ冗談だと思ってのに。
ぜんぜん冗談では無かったのだね……もしかするとホントに行くかも。
それなりには売れると思ってたんだけど。
ショップの店頭ではスーツ軍団の指名買いが異彩を放ってたよ。

逆に予想ほど売れなかったタイトルというと「グランディア」かな。
少なくとも見た目はとてもインパクトがあって、良さそうなのに。
目標にした(らしい)100万本はとても行きそうもない。
「ドラクエ7」の行方が決まって以降、サターンのソフトのヒット規模が
ちょっと小ぶりになってる。ソフトを買い支えるのを止めたのか?

それと、もともとサターンでは(N64もだけど)続編や移植ではない
純粋な新作の売れ行きは、あんまり良くないのです。
目立つのは「サクラ大戦」と「E0」ぐらいだし。
去年の3月以降に5万本以上売れたソフトでは3本だけしかない。
そんな意味では別格によく売れたと考えられるのかもしれない。
でもあれが100万本行かないなら、これから超えるタイトルは出るのか?

ちなみに、プレステは純粋な新作も目立って売れてます。
代表的なのは「バイオハザード」「みんなのGOLF」「パラッパ〜」
「クラッシュ〜」「IQ」「モンスターファーム」「グランツーリスモ」
などなど、他にもいっぱいあります。なんか全部持ってるな(笑)。
去年の3月以降に5万本以上売れたソフトの中で21本が純粋な新作。
実はプレステの初期からこの傾向は、はっきりとあって。
それが快進撃の大きな要因の一つでもあるのです。

豊富なアーケード資産をベースに、売れるタイトルを揃えて
固定したユーザー層をがっちり掴んだサターンと、
実績も資産も何もないから、新たなタイトルで市場を開拓したプレステ。
最初はサターンが有利そうに見えたのに、途中から引き離されたのも
そんな戦略の違いによるのです。なにもスクウェアだけが要因ではない。
と言うより、スクウェアは新たな市場を切り拓こうというプレステの思想に
共鳴したんだと思う。あそこはもともとそういう会社だから。

じゃあN64はというと、セガに近い戦略。アーケード資産ではなくて
家庭用ゲーム機ソフトの豊富な資産でユーザーを掴む……ハズだった。
でも、セガと違って自社以外のソフトに頼る部分が大きかったのに、
前時代的で尊大な応対によって大物ソフトに逃げられてしまってる
慌てて新たな遊びを提案するなんて、付け焼き刃な方針を打ち立ても。
戦略の整合性が全然取れてないので、実態は恐ろしく寒い状況。
いつまで経っても鳴かず飛ばずなのは、当たり前なわけです。

そんなN64の「ヨッシーストーリー」も売れ行きはちょっとイマイチかも。
「マリオ64」も「マリオカート64」も100万本近く売れてるんだから、
これもそれぐらい売れて当然なのに、現状ではかなり遠い状態だし。
N64でも「ドラクエ7」の行方が決まって以降は、ソフトのヒット規模が
ひとまわり落ちてる。ドラクエの期待票はそんなに大きかったのか?
人気タイトルが出揃ってきたのに、市場はまるで盛り上がってない。
このままでは、プレステはおろかサターンを超えるのも無理っぽい。

まー任天堂はポケモンとゲームボーイでぼろ儲けなので問題ないか。

話は戻って「グランディア」のことについて。
こんなことを言ったらサターンのユーザーは怒りかねないけど、
プレステで出てたら100万本ぐらい売れたと思う。たぶん。
なんと言っても実績のないソフトが最も売れ易いのはプレステだし。
ライトユーザーが多いというコトは、ハッタリが受けるんだよ(爆)
まーセガにしてみれば、これで今までと違う新たなユーザーの獲得
とかをもくろんでいたのだろうけど。

ちなみに、実績のないソフトはプレステで出すのが一番よい、
とは必ずしも言えないのです。市場は広いけど、タイトルも多いから。
デキが良くても埋没する危険性は十分にある。埋没した傑作も数知れない
さすがに「クランディア」級のソフトなら埋没はないだろうけど。

じゃあサターンはというと、普及台数の割に売れ筋が偏ってるのがミソ。
RPGなんかは明らかに不振なので、そこに出すのはチャレンジャーかも。
弱い分野はチャンスなのも事実だけど、市場の伸びが鈍化してる状態で
果たしてその理屈は通用するのかは、かなり微妙なとこなのです。

N64については、正直言って止めとけ、としか言いようがない。
ブランドに頼る戦略のおかげで、ブランド以外のソフトは
まるで売れない状態になってる。面白さと売れ行きは無関係なのです。
なのに「新たな遊びの提案」……まるで整合性が取れてないんだけど。
今度はポケモンでゲットだぜ〜とか言ってるし。
そんなやり方では「新たな遊びの提案」は永久に見えてこないのに。

逆の話として、ブランド系ソフトに向いてるハードはと言うと。
N64、サターン、プレステの順にブランド系が強いのです。
が、市場規模がその逆順でしかも差があり過ぎるから。
市場規模ほどは差がでない、という程度の違いになってる。
特にスポーツ系やテーブル系のようにユーザー層の広さがそのまま
売れ行きに直結するようなソフトは、プレステが圧倒的なのです。

ハドソンの戦略はそんな意味で、迷走にしか見えなかった。
ドラクエを持ってるエニックスなんかは、
それだけに旗色を明らかにできない事情があったのだけど。
プレステ以外の全てのハードに参入してたハドソンが、
参入しない理由に説得力のある説明はまるでないわけです。
開発ラインが足りなかったとか言ってたけど……
年末に出た「桃鉄7」の売れ行きは、97年に他のハードで発売した
ハドソンの全ソフトの売れ行きの合計に匹敵してたわけで。
それはまるで、できの悪い冗談にしか聞こえない。

ゲーム市場のキャスティングボードは、
ハードメーカーからソフトメーカーに移ったといわれる現在。
個々のソフトメーカーの戦略の重要さは遥かに増してきてる。
大量に発売されるソフトの中で、いかに埋没しないようにするか
市場の傾向をしっかりリサーチしなくてはいけない。
そして、投入のタイミングを見誤ると利益をふいにしかねない。

正直言って、ゲームマスコミの人たちはマーケッティングに無知すぎ。
なんたら批評とかに書いてある内容なんか、へそが茶を沸かしそうだよ。
あんな内容に惑わされずに、ちゃんと知ってる人を使って
コンサルティングを受けるとか、戦略を立てるとかしないと
この競争の激しい現状では生き残れないと思う。

そんな意味でスクウェアの戦略は凄いです。売れて当然。
なんか言いがかりにのような批判をする人をよく見かけるけど、
あそこの戦略は今のハリウッドのやり方そのものだから、
ハリウッド映画を面白いって見てる人には批判する資格はないね。
金ばっかりかけて哲学をドブに捨てたような、そんな映画は面白くない、
とか言ってるNAVIぐらいだよ、批判していいのは(爆)。
だからもちろん、スクウェア作品の問題点も判ってはいる。
でも、他の大多数のメーカーよりはマシだよ、少なくとも。



たまごっちはいつまで流行る (97/6/14) 先頭へ

ホントは、セガとバンダイの合併におけるメリット・デメリット。
なんてことをテーマにしたかったんだけど、いきなりボツに……
あまりに予測できる展開だったとはいえ、書いてからにして欲しかった(笑)。

そんなわけで、今回はちまたを騒がす「たまごっち」について。
と言っても人と同じコトはここには書かないのです。
「たまごっち」に見るブームの構図について。

NAVIが「たまごっち」の話を聞いたのが去年の暮れ頃だった。
ちなみに、その時は「タワーウォッチ」って聞こえたけど(笑)。
耳がぎゃーぃじんさん仕様か(笑)。
話を聞いてて「そんな原始的なモノはいらん」って感じだったっす。
今さらあんなレベルのモノで満足デキるよーなNAVIではないから。
せめて「がんばれ森川君2号」とか「すらいムしよう!」ぐらいの、
そんな高度で刺激的なコトをやってくれなきゃー。って思った。

もちろん「たまごっち」を楽しんでる人にケチを付ける気はないヨ。
そもそもアレは、あんまりゲームをやってこなかった人たち、
例えば女子高生をターゲットにしている、だからアレはアレでよい
だけど、日本人ってプライドが無いのか、自分ってモノが無いのか、
それともセンスが悪いのか。なんか、女子高生にウケるとすぐ飛びつく。
なんか安易では?

それはさて置いといて。
女子高生ってのは消費社会のトレンドリーダーみたいな扱いをされてる。
確かに面白いものを求めた貪欲な消費意欲は特筆すべきだけど。
でも、そのエネルギッシュな消費行動は良い面ばかりではなくて、
あっという間に飽きて食い散らかす、という側面も持ってる。
女子高生がたかった後にはペンペン草も生えない、って感じか。

でも、飽きるのは何も女子高生に限ったことでは無くて、
誰しもが持ってる消費行動のパターンの一つの終局
人によってその時間軸の長さが違うだけで。
だから、もちろん「たまごっち」の流行にも終わりはいずれ来る。

すでに終わりの兆しは少しずつ見えてたりもする。
3月頃のTVのインタビューで、
今は「おやじっち殺し」が流行ってる、と言うのを聞いて、
殺すのを楽しむのは遊びとしては末期なのでは?って感じがした。
あくまでも先端での話なんで、流行にニブい人たちには
まだまだこれからかも知れないけど。

具体的にあとどれぐらいで流行が終わるのかと考えると。
「たまごっち」のよーな単機能ゲーム機はもって1年ぐらい、
そんな感じが漠然とする。データが余りナイのであくまで勘だけど
ある程度パターンが見えてもやってくれるのは、一般人じゃないから。
ゲーム(に限らない)ライターって、
どちらかと言うとマニアな人種に属するわけです。
だから飽きるって感情をイマイチ理解してない。って思えるふしが。
それはそれでもイイんだけど。人それぞれだし。

この話を単機能じゃないいわゆる家庭用ゲーム機に当てはめてみる。
じゃあ家庭用ゲーム機は飽きられないのか、
と言うと実はそんなことはないのです。
とっても有名な話があるじゃないですか。アタリショックとか言う。
あれについて、ソフトの氾濫と粗製濫造みたいな言い方が横行してるけど、
実体をどれだけ理解してるのか……それも確かに遠因には違いないけど。
もっと直接の要因は、似通ったソフトばかりが溢れてしまって
新しい遊びを提案できなかったこと。飽きられてしまったからなのです。
これは機械の表現力の問題もあったのだけど。

だから今の某ハードウェアに対する、
ソフトの氾濫イコール粗製濫造、そしてアタリショックの再来。
みたいな理論を振り回すゲームアナリストの人たち。誰とは言わないけど。
あまりに説得力ナイから。市場原理をもっとちゃんと勉強してきてよ。

ソフトを厳選して品質は上げる、けど定番ソフトの続編ばかり
なんて状況の方が飽きられる可能性が高いって分からないのかな?
だから変なソフトも含めてソフトが氾濫してた方がイイ。
ソフトを選ぶのはアンタ(ハードメーカー)じゃ無い、ユーザーなんだよ。
3ヶ月も1本のソフトで持たせるのは、一般人の感覚じゃないのだから。


さていずれは廃れる「たまごっち」の話に戻ると。
せめて今年のクリスマスにも人気商品であるよー祈ってマス。
そーしないと、せっかく叛乱したバンダイ社員にとって
今よりずっと力関係の悪化した後の吸収合併なんてオチになりかねない。


最近元気なSCE (97/4/27) 先頭へ

と言っても、ハードメーカーとして絶好調のSCEのことではナイ。
イマイチパッとしなかったソフトメーカーとしてのSCEのことである。
ハードメーカーなら、ソフトメーカーとしてもトップメーカーであって
不思議は無いはずで、事実他のハードではそうなっている。
なのに、ナムコやカプコン、そしてスクウェア等に比べると
SCEはかなり影が薄いのだ。

SCEには「ポポロクロイス物語」(以後ポポロと省略)とか、
「ジャンピングフラッシュ」のような好きなソフトが何本もあって、
個人的にゲームの作り方のスタンスに好感を持っている。
しかし、大ヒット作が続編中心というゲームソフト市場においては、
過去に歴史のないSCEは厳しい現実が待っていた。

ソフトタイトルが少なかった頃の「アーク・ザ・ラット」(以後アークと省略)は
別として、「ESPNストリートゲームス」や「ポポロ」は口コミでロングヒットしたが、
50万本の大台には届いていない。「ポポロ」は初動(最初の1週間の売れ行き)が
10万本で最終的に40万本程度売れたので、無名のソフトとしては
大成功なのだろう。それでも50万本超のソフトが「アーク」と
その続編の「アーク2」しか無いのは寂しい限りであった。

しかし、最近のSCEはかなり違う。年末に発売された「パラッパラッパー」と
「クラッシュバンデクー」が50万本超の大ヒット。そして「I.Q.」も
今の勢いなら余裕で50万本を超えるだろう。

これらのソフトは確かに凄く面白い。でも、面白ければ売れるわけじゃないのが、
この業界(に限らないが)のツライところ。特に、続編や移植モノではない、
有名なクリエーターのモノでもない。そんな場合はかなり厳しい。
現にそれぞれのソフトの初動は3万本〜5万本だったのである。
ほとんどのソフトは発売後1週間で全販売本数の半分強を売るという現実があり。
そんな中で軒並み初動の10倍以上という常識ハズレの売り上げは
驚愕に値する。あの「バイオハザード」ですら8倍ぐらいなのだから。

ここから何が読み取れるのか。それは新たなユーザーの獲得という符号。
過去の無い全くの新作ソフトなのだから当然とも言えるコトだけど。
積極的な体験版の配布。イメージ優先型のCM。などなど。
既につかんでいるユーザーよりも、もっと別の外に向かった指向

本来なら全てのソフトハウスがやるべきコトなのに、いつの頃からか
置き去りにされてしまった部分、ゲームソフトの売れ筋の傾向を偏らせた
最大の要因。ここに根本的にメスを入れてきた。
これはまさにハードメーカーとしてのSCEの戦略であって。
そして奇跡的な市場のひっくり返しを具現した戦略でもある。
その戦略がソフトメーカーとしてのSCEの側面にも、
ジワジワとボディブローのように効いてきてるのだ。

SCEブランドのソフトの品質向上というのももちろんある。アイデアや発想は
良くとも、技術や作り込みといった、ノウハウに欠ける部分は確かにあった。
これはソフトメーカーとしてのSCEの歴史の浅さを考えると、しかたないのかも
しれない。しかし質は確実に上がってきている。過去に捕われない斬新な発想、
ケチのつけられない品質、そして親会社譲りの強力な戦略。これらが噛み合った
その時、はたして他のソフトメーカーは太刀打ちすることができるのか?
今から想像力をフルに動員して考えておいても、決して遅いことはない。

[追補]
5/26日発売のオリコン The Ichibanで「I.Q.」がついに50万本を突破。
上位に張り付いてるので、まだまだ行きそう。

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